打ち合わせが終わり、少し遅めの昼食でも取りますか、と目についた店に入るとカウンター席に通されました。座ったのはカウンターの端っこで、すぐ隣はバックヤードや厨房に続く少し広めの通路となっています。そこにはスタッフの方が待機して、できた料理を運んだりお客さんが来たらホールに出て接客したりしていました。
忙しい時間帯が過ぎて余裕ができたのか、女性スタッフが壁によりかかり小休止、そこに先輩と思しき女性が近づいて軽い指示を出しました。
「ほら、ここの棚、ちゃんと整えておかないと」
「はい」
「あんみつ野郎が見たらぐちぐち言ってくるよ」
私は思わずスプーンでピラフをすくう手を止めました。
あんみつ野郎。
おそらくここにいない誰かのニックネーム、そして彼女らに「ぐちぐち言ってくる」のだから立場的には店長だったりリーダーだったり、支配的な権限をもつ人であることは間違いない。
そして、まあどちらにも言い分はあるにしろ、彼はスタッフにあまり良く思われていないのだろう。
しかし、あんみつといえば説明するまでもなく、名を聞くだけでうきうきするような甘くてかわいい和スイーツの定番で、そんな幸せの総和ともいえるワードが「野郎」なんてネガティブに言い捨てられるようなケースがあるのだろうか。
「パワハラ気質で『お前の考えはあんみつよりあめえんだよ!』が口ぐせ」、いやもっと深遠で「白玉、あずき、寒天など多くの食材を寄せ集めたあんみつのように言動や指示に一貫性がない人物」とかかな。
理由はピンとこないが、ポジティブとネガティブの遠い距離を越えた出会いが生み出すなんともいえない詩情に魅せられて、いつかいろんなスイーツで野郎戦隊を組みたいと思いました。
ブッシュ・ド・ノエル野郎、くずもち野郎、マリトッツオ野郎、やはりリーダーはあんみつ野郎しかない。さあ棚を片付けよう。

そんなこんなで本日の記事のご案内です。
豆腐屋さんのソフトクリーム群生地をトルーさんが歩いて回ります。豆乳を使ったものから豆腐自体がぶっこまれているものまで、皆うまそうなのですが、何より全体に漂うゆるっとしてどこか渇いた感じが比類なきトルーらしさを醸し出していて、くせになる食レポになっています。
で、ヨシダプロになって怒涛のテンポアップ。備蓄米がなければカリフォルニア米をああしてこうして食っちゃえばいいじゃないとあの手この手で米の存在感をうすくしてゆきます。調理写真はいつものようにシズル感ゼロ!づけ丼の彩度の無さに爆笑しました。