保育園に入ってしまったのか、どこにも見当たらない。さっちゃんは「保育園に入ってみようよ」と提案するが、クリさんに却下される。保育園は住居も兼ねていて、ヘイを超えれば住居不法侵入となる。自由研究のためにヘイの中に入るのか。ダブルミーニングでもあるがダブルバインドでもある。結局、戻ってくるまで待つことにする。

そして４時間。そうめんを食べ、ごろごろしながらゲンの帰りを待つ。栗林家のクリさんは昼寝。さっちゃんが２階から庭をながめていると、ノラネコの白黒まだらの通称オバサンが現れる。ゲンがまだ小さくて外に出してもらったばかりの頃は、このオバサンの少しあとをずっとついて行っていたそうだ。人生の師、オバサン。デジカメを構える間もなく、視界から消えていってしまった。ゲンを見失い、オバサンも見失う。ふがいないばかり。

自分の動物写真家としての適正のなさにがっかりしていると、なんと！左からゲンが庭を横切ってくるではないか！やっぱり保育園にいたのか？？？　あっというまに目の前を通り過ぎると、庭に面したガラス戸の前へ。

「ゲンが帰ってきたー！」大騒ぎで１階に下りる。「イレロー」「イレロー」とガラス戸の向こうで鳴いている。まったく現金なやつだ。イママデドコニイタンダヨウ。あー帰って来てよかった。

さっちゃんが足をふいてあげる。縁側から帰ってくる昔のこどものようだ。また肉球を破ってきた。３度くらいしか会ったことのない私にも、すり寄ってくる。かーわいー。炎天下に出てたせいか、体が熱い。

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