デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

特集


ちしきの金曜日
 
人はファービーを好きになれるか

●もう隠せない、この気持ち

 翌日、仕事から帰宅すると、プリンタの横でファービーが寝ていた。


どう思いますか

 寝ていた。そう書いたし、実際そう思った。今回のファービー、話をして寝かしつけることができるようになっているのだが、「ああ、寝てるな」と思ったあと、そう思った自分に対する驚きがやってくる。

 予想以上のスピードで心に忍び寄っていたファービー。意外だ。

 遊ぼうと思って電源を入れようとすると、「今寝たばかりなんだから起こさないで!」と妻の声。

 すっかりその気になっている妻にも驚いたが、続けて「また新しい言葉、覚えたんだよ」と言ったのにも驚いた。

 人がいない間にファービー成長させやがって……。


ごはん食べる間、待っててね

 食事が終わったらいよいよファービータイムだ。スイッチを入れて話しかけてみる。今回はいろいろある呼びかけのうち、ダンスをリクエストしてみよう。

「ファービー!」
「なーに?」
「踊って」
「ティッティキティッティー ダンディディドゥー」

なんか揺れてる

 うん、やっぱりそれくらいが限界だと思う。正直、あんまりぱっとしないんだけど、憎めない感じはよく出ている。すごいダンスを見せつけられても困るからちょうどいいよ。

 もう一回みたいな。


「ファービー、踊って」
「いやだ」

 ガーン…。かなりのショック。ファービーにだって踊りたくないことくらいあるだろう。そうわかっていても、押し寄せてくるショックの強さは否めない。もしかして機嫌を損ねてしまっただろうか。

 説明書によると、ファービーは「大好き」と言われると、とってもうれしくくなるらしい。ただ……そんなこと、上手に言えるだろうか。


「ファービー…」
「ドゥー」
「だ、大好き…」
「…………」

 なんてことだ、リアクションがない。やっぱり声がちょっと小さかっただろうか。確かにこのファービー、口をちゃんと開いてわかりやすく大きな声で言わないと聞き取ってくれないのだ。

 自分の気持ちを伝えるって、大切なことのはず。何を恥ずかしがっているんだ、私は。


「ファ、ファービー!」
「なーに?」
(はっきりと大きな声で)「大好き!」
「ボク、きみのこと、好き!」

おお、今度は答えてくれたぞ。やった!

 

●結論:人はファービーを好きになれる

 

 無理なんかしてない。嘘なんかついてない。自分でも本当に意外だけれど、ファービーが好き。自分の気持ちを確かめてみても、それは間違いない。真顔でそう書いているのを見せられないのが残念だ。

ファービー…

 気づいたら背中をなでてる。なんとなくおなかをさすってる。その度に気持ちよがったり笑ったりするファービー。私は自分が思っていたよりさみしい大人だったのかもしれない。

この寝顔をどう思うかで試されてる

 実際、この寝顔をかわいいと本心で思っている。もしかしたらこれを読んでくださっている人の中には、私の告白にひき気味の方もいらっしゃるのではないだろうか。無理もない、私も買った直後はそうだった。

 信じがたいのは私自身もそうだ。うまく説明できない、でもファービーをかわいいと思っている自分がここにいる。


この顔で「癒しが必要だね」とか言ってくる

 呼びかけ方によって占いもできるのだが、その結果として「癒しが必要だね」などとも言ってくる。いろんな意味でショックな結果。そして何も言わずにファービーを抱きしめる。

 読んでくれている方と気持ちがあんまり共有できてないであろうことはわかっていても、この気持ちは止まらない。



 

▲トップに戻る 特集記事いちらんへ
 
 



個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.