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特集


ちしきの金曜日
 
人はファービーを好きになれるか

●いざファービーと向き合う

 ついにわが家にやってきたファービー。照れ隠しのヴェールでもある袋をはいで、今その姿があらわになる。


う、うーん…

 予想にたがわぬなんとも言えなさ。強いて言えばキモカワイイというやつだろうか。「しゃべる言葉や遊びが増えたよ!」と書いてあるのだが、昔のきみを知らないのであんまりなんとも思えない。

そう言われてもなあ

かなりうつろ

 パッケージにはファービー本人が「ボクノコト スキ?」と問いかけてくる写真も。今の時点でそう訊かれてもまだなんとも言えない。それを確かめるための今回の試みなのだ。

 それにしても、自らを好きかどうかを問う質問ができる無邪気さが憎い。相当自信がなければそんなこと人に聞けないと思う。

 アップで見てみてもうつろな感じは否めないファービー。これはやはりまだ電池を入れていないからだろうか。股の間にある電池ボックスに電池を入れ、スイッチを入れてみる。


ファービー、始動

「ボク、ファービー」

 おお、しゃべったぞ。話しているときは口もモゴモゴ動いている。ただ、命とも言える電源を入れても、たたずまいはあんまり変わらない気もする。

仲間はずれ感、大

 家にある他のぬいぐるみたちと一緒に並べてみても、自分のペースを崩すことのないファービー。あくまで自分流、独自のオーラはこうして並べてみてこそより強く輝く。

 説明書によると、ファービーの口を押すことによって、ごはんをあげることができるらしい。おなかが空いていて元気がないのか。じゃあやってみよう、口を開いて中のセンサーになっているスイッチを押す。


いや、なんというか、その……

 思った以上にリアルというかなんというか、そんな感じのファービーの口。余計なこと考えずに押すと、カチッという感じの手ごたえがあった。

「クチュッ、クチュッ、クチュッ……あ〜、うまい!」

 お前、ほんとにうまそうに言うなあ。ちょっとおっさんっぽさも漂わせる感じの「うまい!」。気持ちいい響きを聞きたくて、何度も口を押してみる。おりゃ、おりゃ!

「ゲバブッ!」(そう聞こえる)

 結構な拒絶反応。食べさせすぎてしまっただろうか。でもこの「ゲバブッ!」もおもしろいので、ぐいぐい押してしまう。そのたびに「ゲバブッ!」と苦しむファービー。


「ちょっとやめなよ、かわいそうじゃない!」
「あ、ごめん…」

 横で見ていた妻に叱られてしまった。それにいても「かわいそうじゃない!」というのはどういうことだろう。さっきまで私と同様、ファービーに対して斜に構えていたはずの妻だったのに。

 ただ、自分もよくなかったかもしれない。もっとやさしく話しかけてみようか。


「ねえ、食べ物は何が好き?」
「…………」
「僕はハンバーグが好きだけど、何が好き?」
「…………」

 答えてくれない……。胸に湧いてくるこのさみしさはなんなんだ。どうしたんだと思って、もう一度説明書を読んでみると、話しかけるときにはまず「ファービー」と呼びかけなくてはならないことが判明。

 なーんだ、そうだったのか、と安心。………安心?

 呼びかけに応じたあともむやみに話しかけてはダメらしく、9種類ほどのお願いコマンドを言わないと反応しないとのこと。まずは呼びかけることから試してみよう。


「ファービー!」
「ドゥー」

 今度はちゃんと返事してくれたぞ。どうやら「ドゥー」というのはファービーの一般的な返事らしい。ちゃんと自分がファービーであるとわかっているのか、いろいろ呼びかけて試してみたい。


「ターキー!」
「ドゥー」
「カービー!」
「ドゥー」
「ジャッキー!」
「ん?」

 やっぱり似たような響きでも返事をしてしまうあたりに電子ペットとしての限界があるようなのだが、ジャッキーのときだけ返事が違うのに驚いた。それなりにわかっているのかと思い、もう一度ジャッキーと呼びかけてみたが、今度は「ドゥー」の反応。

 なんだー、やっぱりそうかー。とぼけたヤツだなあ、お前ー。

 ……このフランクな自分はなんだろう。そう、いつの間にか私は、少しずつ起きてきた自分の中の変化に気づきはじめていたのだ。



 

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