改めて、取材と執筆をしてみた感想を父に聞いてみた。
ーー今回、取材と執筆をしてみてどうでした?
「どうってなぁ……自分の子供が、こがな(こんな)仕事しとるんだなぁっちゅうのはよぉわかったわい。引っ込み思案だった子供が人様と交渉して、いろいろと聞き出す姿はえらいオセ(おとな)になったなと思うわ」
ーー作文はずいぶん書いてないって言ってたけど
「作文はなあ……小学校の三年のときにいっぺんだけほめられたことがある、便所のそばの南天の木について書いてほめられた、それだけ」
ーー大人になってからは?
「さぁてなぁ……警察学校の試験の時に書いたっきりだな」
ーーえ! 警察学校受けたの?
「受けたで。で、受かったけど結婚して商売はじめちゃったけぇ、警官にはならんかったけど」
ぼくの知らない父親の意外な過去が出てきた。
警官になってればよかったのにとちょっと思ったが、たぶん警官になってたらぼくはここに居ない。
しかし、時を経て、息子のぼくは全くの趣味で警備員のまね事をしたりしている。
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