父は昔からあまり笑う方ではないけれど、かすかにニヤッとした。
感想を聞いたら「ダジャレを本気で実行するところがおもしろいな。自分のやってるダジャレに腰が引けてるところが文章に出てる」といってくれた。
感想はそれだけだったけど、楽しそうに読んでくれたので良かった。
ここで「ダジャレがつまらん」とか「おもしろが足りない」みたいな、急に売れたお笑い芸人の親みたいなことを言い出したらどうしてくれようかと思ったけど、さすがにそんなことはなかった。
まぁやってみるわい
父に自分の記事を読ませて終わり。ではない。
ライターとしての取材と執筆もぜひ体験してもらって、ライターというものがどんな職業なのか知ってほしいのだ。
父は「作文は学校卒業以来かいたことないけどなぁ……まぁええわい、やってみるわい」と、若干の不安を感じつつも引き受けてくれた。
取材先はこちらで決めさせてもらった。初心者でも安来節を体験できる「安来節演芸館(島根県安来市)」という施設だ。
本来であれば、取材先の調査、取材申請などもライターの仕事なのだが、そこまでやってもらうとそれは職業体験ではなく、ただの外注になってしまう。
父にはあくまでライターのいちばんライターっぽい仕事、取材と執筆だけを体験してもらった。 |