東京の北西に位置する東みどり市はパンの消費量が日本一である。東みどり市出身者に聞いてみるとパンの食べ方がほかの町と全然違うというのだ。
「パンが当たり前にいろんなところにあるので、パンだって気づかないんですよね。」
まるでパンが遍在する町である。聖地だ。
パン好きだったらいちどは訪れたいパンの町を訪問してみました。(林 雄司)
新宿から45分
東みどり市は武蔵野台地にあり、明治時代から小麦の生産が盛んだった。そんな背景のある場所に戦後、米軍が駐留するキャンプができたため、市内にアメリカ人を相手にしたパンの店がたくさんできたのである。米軍基地が無くなったいまでもパン食は市民に深く根付いている。
以上、東みどり市の歴史でした。
駅ではそれほどでもなかったが、商店街はあちこちからパンが焼ける匂いがする。これはパン好きの人にはたまらないかもしれない。夢の町である。銀河鉄道999ならパンの体がただでもらえる星である。
歩いてみると3軒に1軒がパン屋である。パン屋、酒屋、金物屋、パン屋、酒屋、金物屋、パン屋 そんな順番だ。パン屋同士もバッティングしないように各自趣向を凝らしたパンを並べている。
お総菜パンで売る店もあり
この町では食パンの耳は共有財産だ
コンビニだってパン押しである
パンを食べたいのをぐっとこらえて、東みどりの焼き鳥を食べることにした。ここの焼き鳥は知る人ぞ知る珍しい焼き鳥なのだ。豚肉を使っていたり、串に刺さってなかったり焼き鳥にも土地ごとに特徴があるが、個性的という面ではここが日本一かもしれない。
まだ時間が早く焼き鳥店があいてなかったため、スーパーの総菜売り場の焼き鳥で済ませた。
もちろん注文したのは「はさみ」である。
ネギの部分がパンなのだ。肉と炭水化物の組み合わせなので合わないわけはない。ハンバーガーといっしょだ(実際、この焼き鳥は駐留していたアメリカ兵のアイデアによるものらしい)。これ1本で食事をしたような気分になる焼き鳥である。
家の近所にもこの焼き鳥を出す店があればいいのに。