木馬を見つけられなかった方のシュリーマン

林：藤原のもうひとつのテーマである「性」についての記事について聞かせてください。
藤原：そんなはっきり言っちゃいますか。
林：「性への畏怖」というか。

藤原：何やってんでしょうね
林：なんでしょうね。
藤原：………なんだろう。
林：核心じゃなくて、周辺からつっついてる感じがしました。長い棒で遠くから突いてる。
藤原：何か攻撃的なものも含まれてますよね。
林：ああ、そうかもしれない。攻撃的だ。衝動
藤原：わけもわからずにやってる。
林：自分でもわかんないんだけど、やってるってすごいね。
藤原：バタイユがいうところの非-知
藤原：ですかね
藤原：わかりませんが。
林：無意識みたいなもの？
藤原：そうですね。やっぱり衝動。
林：そんなところから出てきていたとは。ぶどう踏み。
林：たしかに理屈でいったらやる前から間違ってるんだよね
藤原：理屈じゃありませんから。
林：これは違うって分かってるんだけど、やらずにはいられない
藤原：やったら、実はあってたりするんじゃないか。
林：どうだった？
藤原：案の定違いましたね。
林：なんだっけ、トロイの木馬を発見した人
林：あの人、見つけられたから有名人だけど、みつかんなかったらただの偏執狂だよね
林：そっちだ。
藤原：ただの偏執狂。
林：繰り返すなよ。
林：いじめてるみたいだから

心配になると荒川へ行く

林：じゃあ最後に、突然がんばるパターンの作品について

林：デイリーに新しい流れを作ったと思います。
藤原：そうですか、でも簡単に言うと外に出たくなかっただけです。
林：わかる。
藤原：わかっていただけますか。
林：それは読んでる人、みんな分かってると思う
林：学校なかったら余裕で外に出ない生活になりますか？
藤原：出ますね。
林：あ、出るんだ
藤原：心配になってくるので。
林：なるほど。どこへ？
藤原：荒川へ。
林：人と話はしなくていいの？
藤原：それは、できたら、で。
林：そうか。「心配になってくる」というのは、やっぱり大学で感じるのと似たような恐怖？
藤原：同じです。
藤原：このまま外に出られない人間になってしまったらどうしよう、と。
林：たしかに心配だ。河原では走ったりするの？
藤原：自転車で行ってふらふらしますね。散歩です。
林：安心する？それで
藤原：「やっぱ川原いいなあ」って思って、不安は忘れます。
林：よかった。