変な手癖の人、手を上げて
こんな手癖、きっと僕だけだろうと思っていた。しかし、僕よりもアグレッシブにジーパンをいじるA子さんがいた。まだまだこの手癖を持つ人がいるかもしれない。
この記事を読んで「僕も!」「私も!」という方がいたら是非連絡をください。変な手癖を肴に、おいしいお酒でも飲みましょう。
A子さんも同じ手癖の人間と会うのは初めてらしく、若干興奮しているようだった。「今まで誰からも理解されなかったので」と満面の笑みを浮かべている。僕も同じです。
早速、A子さんの今のお気に入りジーンズを使って、普段のいじり方を実践してもらった。
やってもらって分かったのだが、A子さんと僕とでは、微妙にいじり方が違う。僕は縫い目の角を使うが、A子さんは縫い目全体を使っている。僕は点で、A子さんは線だ。
実際に履いている時はどうやっていじっているのか?
お気に入りのジーパンに履き変えてもらい、やってもらった。
このスタイルは僕と同じである。足を組む事により、ジーパンの裾が手元に近づくのだ。
「自分がジーパンを履いてない時は、隣りに座っている彼氏のをいじります」
彼氏のをいじる。という事は、A子さんの彼氏のジーパンは裾がボロボロな訳だ。
彼氏は怒らないのだろうか?
「もうあきらめているようです」
この変な手癖を許容してくれる恋人。うらやましい。
さらに、A子さんのカミングアウトが続く。
A子さんの変な手癖は裾だけにとどまらない。ウエストのボタン部分からチャックに至るまで、その縫い目をいじるのだという。
チャックの上をスリスリするのだ。何と言うか、その、あの、大丈夫なのだろうか?
「みっともないからそこはやめろ、って彼氏や友人に言われます」
僕もそう思う。
さらに、A子さんのフィールドは内股にまで広がる。
そこもみっともないと思うが、線でいじるA子さんにとって、内股の縫い目はたまらないのだという。
名前も顔も出したくない理由が分かってきた。
いじり方やいじる場所は違うものの、「ジーパンをいじる変な手癖」という面では共通する2人である。強く共感出来る部分は多い。
例えばジーバンに対するこだわり、である。
「チノパンとかじゃダメなんですよね。色々試しましたけど、やっぱりジーパンじゃないとダメなんです」
その通りである。僕たちの指先を満足させてくれるのは、ジーパンだけなのだ。
「ジーパンを履いてない時とか、どうしてますか?」
と、A子さん。
この手癖を持つ人間にとって、これは深刻な問題である。いつもジーパンを履いている訳ではないのだ。A子さんは彼氏のジーパンでまかなう訳であるが、僕にはそんな事出来ない。
そんな時、どうするか?
基本的にジーパンの代わりになるものはない。しかし、1つだけ有効な角を僕は知っている。試行錯誤の末、ジーパンの効果に近いものを見つけたのだ。それは、「おしぼりの角」である。
「なるほど、おしぼりの角ですか。今度やってみます。私はジーパンの端切れを持ち歩いたりします」
同じ癖を持つもの同志、こういった情報共有はとても貴重だ。
僕もジーパンの端切れを持ち歩こうと思う。
A子さんは赤ん坊の頃、枕のそば殻をいじっていたらしい。そば殻から始まって、小学生の頃にお父さんのジーパンをいじるようになったのだという。
「これもお父さんからもらったジーパンです」
今、一番気に入っているジーパンがこのお父さんのビックジョンなのだとか。
「お父さんのビックジョンは縫い目がしっかりとしてて、いじり甲斐があります」
いじり甲斐があるから気に入っている。
その気持ち分かります。
こんな手癖、きっと僕だけだろうと思っていた。しかし、僕よりもアグレッシブにジーパンをいじるA子さんがいた。まだまだこの手癖を持つ人がいるかもしれない。
この記事を読んで「僕も!」「私も!」という方がいたら是非連絡をください。変な手癖を肴に、おいしいお酒でも飲みましょう。
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