特集 2021年7月14日

速報!いらないTシャツ交換会

7月11日12日にいらないTシャツ交換会が開催された。

いらないTシャツ同士をランダムに交換するイベントだ。

誰が見てもいらないTシャツが集まった。でもそれらはなぜか妙に愛らしく、受け取っるとなぜか嬉しい(いらないのに)。

参加者同士に不思議な一体感がうまれ、「なぜか楽しい」がたくさん起きた奇跡のイベントを紹介したい。(まとめ・林雄司)

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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イベントの概要

いらないTシャツを持っていくと、誰かのいらないTシャツと交換できるイベントだ。サイズだけは選ぶことはできるが、なにがあたるかはランダムである。

まずはどんな交換が行われたかを見てもらいたい。(こんなおもしろ交換がすべて偶然なのだ。すごいですよね?)

※左が持ってきたTシャツ → 右が交換後のTシャツ

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チップとデールが虎3頭になり(生き物が変わって1頭増えた)
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忍者がのり弁になり(貫かれる和テイスト)
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たくさんの昆虫がたくさんのアイドルになり(たくさんつながり!)
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ぴょん吉はたくさんの猫ソフトに(なぞの生き物であることは変わりなく)
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オーロラの下で吠える狼はチャペルに(絵柄は違うんだけどトーンがにている奇跡)
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セサミストリートはチップとデールに(スタジオが変わった)
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日本酒が餃子に
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サメが猫に
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トラがトラに
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デビッド・ハッセルホフ(ナイトライダー)は氷川きよしに

こんな奇跡は人生の大事なときにとっておきたい。そう思う組み合わせが次々と起きた。

そのたびに会場では拍手と歓声(「いらね~(笑)」という声を含め)がわきあがった。いらないTシャツで知らない者同士うっかり一体感が出てしまった。

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いらないTシャツ紹介

「いらない」という感情は個人のもののはずだ。

でも、会場に登場したTシャツはどれも「確かにこれは買う、でも着ない。」という共感があった。断捨離された側にこんな芳醇な世界があったとは。

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「ねことお花とピンクとタイダイ最強!と思って買いました。最強の夏をむかえてください」

そう、へんなTシャツ着て電車で1時間ぐらいの海に行くのが夏休みだ。

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「サウンドハウスという楽器店のウェブサイトで注文を終えると出てくるおじぎしてる女性」

楽器やPAをやってる人ならいちどは見たことがある人。

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「渋谷の三千里薬品で買いました」

渋谷の真のランドマーク、三千里薬品。あのネオンを意識したのか、プリントがラメ。

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「自作しましたが、自分でもよくわからないTシャツで着る機会がありませんでした。なんとなくカラダに良い気はします。」

背中にpH5.5と書いてあって気が利いてました。

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「大学1年の頃、ラッパーみたいな格好がしたいと思って下北沢で購入しました。」

ちなみにこれを持ってきてくれた男性はいまはラッパーではないタイプのおしゃれになっていた。大学1年って中2ぐらいの迷いの時期ですよね。

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「勢いで購入して、しばらく着ましたが、なんとなく着なくなってしまったTシャツです」

トラ、USA STYLE MIND!、星、袖だけボーダー。完璧です。

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「明朝体をばらしてStupidと書いてみた。ワタクシは気に入ったのですが、誰にも読めなかったようで全く売れませんでした。(吉田ナゴヤ堂本舗)」

在庫品を涙をのんで持ってきてくれた人もいました。

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「たんぽぽハウスで10円で買いました」

たんぽぽハウスは10円で服が買えるショップです。

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「数年前に購入しましたが、そろそろデザイン的にも着るのも厳しくなってきたかなと(笑)」

袖メッシュ、数字の奥には宇宙。いらないTシャツって人知を超えた組み合わせを見せてきますよね。

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「私が魂(中の人)をやってるVtuberのTシャツです。」「背中に”私が中の人です”的な英文があるので若干ご迷惑をおかけしてしまうのはごめんなさい。あとチャンネル登録やフォローお願いします」

持ってきたのは男性でした。

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「よくわからない英語が書いてあるTシャツです。そこが良くて買いました。よくわからない英語が書いてあるTシャツを着たいときにおすすめです。」

説明がトートロジー!

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いらなさにストーリーがある

なぜいらないのか、その理由はひとそれぞれ。

自分の知らないところで知らない人が知らない人生を送っているということを教えてくれる。そんないらなさ。

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「今40代。もう大事ではなくなってしまいました」

こんな手紙がついていたら大事にするしかない。

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「のみやのノベルティのようです。19年ほどしっかり寝かせておきました」

2002年、自分がなにをしていたかを思い出すとエモいのだが、それを微塵も感じさせないタコの柄。

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「まぐろづくしのデザインに惹かれ、将太の寿司を読んだことがないにも関わらず購入。一度着て外出した際、行く先々で『将太の寿司お好きなんですか?』と聞かれ、申し訳なくなりタンスの肥やしに。」

まぐろが好きなだけなのに。

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「プリントされている猫がかわいすぎて購入したが、色がポップすぎて、何度か着たがやっぱり無理でした…」

かわいい猫が人を襲ってます。

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「子供の頃好きだったなと購入したものの、集合体恐怖症になりそうな"圧"を感じて着ていません」

5秒ほど見てると圧を感じますね。

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「母親からもらいました。私はポール・マッカトニーのファンというわけではなく、着るのに躊躇してました」

将太の寿司パターン。記号性が高いTシャツは要注意ですね。

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いらないTシャツは海外からやってくる

旅先でテンション上がって買い、日本についてスーツケースを開けてみると「?」となるイリュージョンを起こした珠玉のTシャツも集まった。

貿易赤字、民間消費という言葉の実態はいらないTシャツなのだ。

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「ハワイのドン・キホーテで買いました。おみやげとして渡すはずが手元に残り、オバマ政権も終わりました。」

「ハワイのドンキホーテ」というワードだけで優勝。

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「シャイニングのホテルの廊下の柄がついています。スペインの靴下専門店から輸入しました。」

すごくいいものがスペインから。

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「ウチには着る勇気がなかったん…」

難易度の高さ。

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「タイで買った虫T。適当な素材を並べた感じがとても良い」

SAMPLEらしき文字の一部が透けてある虫もあり、カンプそのまま使ってるワイルドなデザインだった。

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「香港の露店でその場のノリで買ったもののあまりにもブルース・リーの知識がないので着れずにいます。」

旅行土産+知識がない。いらない要素2冠のTシャツ。

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「タイで一目惚れしてどうしても欲しくて買ったTシャツです」
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「タイで買ったTシャツです(ゾウが描いてあるから)。見たとおり派手です。派手すぎて着られませんでした。」

別の人から似たようなタイのTシャツが集まった。

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「ラオス、ビエンチャンの空港で出国直前に買いました。ビアラオは氷を入れて飲むとはちみつみたいな濃厚な香りがして美味しいです。」

ビアラオの飲み方情報が魅力的。

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「旅行でポートランド(オレゴン、アメリカ)に行ったとき買いました。芝生の公園でビールでべろべろの親父が売っていて、何言ってるかほとんどわからなかったです。おそらくその人の手染め。」

酔っぱらいから買うのも旅行ならでは。

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「ロシアの観光地の土産物屋で購入したものです。自分用お土産用に何枚かかったのですが、これは受け取り手がいなかったので出すことにしました」

ロシアTシャツも多かった。柄がどれも力があって「買うけど着れない」を見事に貫いている。


いらないTシャツを満喫した

いらないTシャツがなんでこんなに面白いんだろう。

欲しいものは買ったり探したりして家にあるが、いらないものは家にない。だから新鮮で予想外に感じるのかもしれない。

いらないTシャツの後ろから殴ってくるようなデザインはまさにそれである。消費社会のラストステージみたいなイベントだった。

次回はいらないランニング交換会(どんどん袖が短くなる)でお会いしましょう。

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