いちばんいいのは傘を持っていくこと
いろいろ試してはみたが、そしてやる前からうすうす感づいていたことだが、結局どれも傘のかわりとしては不十分だった。
そうだ。傘がないときにどうするかではなく、「傘がない状況にならない」ことが大事なのだ。今日この記事を読んだみなさんは、折りたたみ傘を常に持ち歩くなどして、急な雨の時もちゃんと傘を差して帰ってほしい。そして家に着いてから初めてこの記事を読み返し、「ああ、こんなふうにならなくてよかった」と傘のある幸せを噛みしめてほしいと思う。
袋と同じく書類を守る封筒。これも傘がわりに使われがちだ。袋より小さい時点ですでに結果は見えているような気はするのだが、いちおう試しておこう。
結果は上の写真の表情がすべてを物語っている。小さいわりには意外と頭、胸あたりまでカバー、胸につけた紙もちょっと水滴が付いた程度だ。しかし全身はやっぱりびしょ濡れ。
あらかじめ封筒に入れておいた紙が実験後も全く濡れていなかった点は評価できる。やっぱりこれは傘ではなくて書類を入れる袋ですよね、と素朴に思った。
封筒頭と胸あたりをカバー。中の書類は意外と濡れないので緊急時は迷わず使ってよし。 雨よけレベル |
次は金属製の灰皿だ。これなら水が染みるとか染みないとか、そういうのを気にしなくて済む。
水をかけ始めた瞬間から、頭上からサーっというきれいな音。水滴が金属に当たって音を立てているのだ。なんて風流な。
そんな発見で気を紛らわそうとするも、当然のごとく全身はずぶ濡れだ。しかし頭頂部だけは完全にカバー。頭頂部だけ。そして中に入っていた吸い殻も完全に乾いたまま。実際に使うときは吸い殻は先に捨てるべきだと思うけれども。
灰皿頭の、灰皿を乗せた部分だけは完全防御。雨が当たるといい音がする。 雨よけレベル |
ハンカチはカバンやジャケットよりちょっとおしとやかというか、男性サラリーマンよりもOLのイメージだ。しかし傘というにはあまりに薄い。これで雨を吸いきれるのだろうか。
この装着感、存在感のなさ!オムツやイヤフォンなら空前の大ヒット商品だ。ハンカチは一滴たりとも雨を防ぐことはなく、そのまま全身をずぶ濡れにしてくれた。
むしろ頭に乗せなければ、あとで頭を拭くのに使えたのにと思う。今やハンカチごとずぶ濡れだ。
ハンカチ使う意味なし 雨よけレベル |
ハンカチは自分の装着感がなかったが、逆に人から見て装着してる感じがないものといえば絶対にカツラに決まっている。傘の自然なあり方を追求したばあい、最終形がカツラになることは誰がなんと言おうと間違いない。こうやって強い口調で言えばどうでもいいことも最もらしく聞こえるだろうか。
上の写真、ぱっと見はずぶ濡れだと思う。明らかに水がしたたっている。しかし、表情にちょっと余裕がある感じがしないだろうか。実は濡れてるのはカツラで、自分の頭はあまり濡れてないのだ。どんなに水をかけられても水の冷たさを感じない。濡れてそうで実は濡れてない。本来の用途に加え、ここでもカツラのカモフラージュ性能が発揮される形となった。
だんだん「傘がわりになるか」から「頭が濡れる/濡れない」に話題がすり替わってきた気がしますが、もちろん全身はずぶ濡れです。
かつらビジュアル的にはずぶ濡れだが、自分の頭はけっこう守れる。しかし体がずぶ濡れであることにかわりはない。 雨よけレベル |
ええと、あと会社にあるものってなんだっけ。あ、観葉植物とかあるよねー。
うん、案の定、全然雨よけにはならなくて、しかもそのうち土の混じった水も出てくるし、雨よけ性能としては最低得点だ。
しかし上の写真を見て欲しい。なんだか美しくないだろうか。自然派じゃないだろうか。植物に付いた水滴の一滴一滴が、エコじゃないだろうか。確かに体は濡れるが、そのぶん後で「きれい!」と思えば元も取れる。プラマイゼロで、濡れなかったのと同じことになるじゃないか。冷静に考えると魔法が解けそうな気がするので、いまはただエコの雰囲気だけを堪能したい。
観葉植物雨よけにはならないし土もかかる。でも自然は友達だと思う。 雨よけレベル |
いろいろ試してはみたが、そしてやる前からうすうす感づいていたことだが、結局どれも傘のかわりとしては不十分だった。
そうだ。傘がないときにどうするかではなく、「傘がない状況にならない」ことが大事なのだ。今日この記事を読んだみなさんは、折りたたみ傘を常に持ち歩くなどして、急な雨の時もちゃんと傘を差して帰ってほしい。そして家に着いてから初めてこの記事を読み返し、「ああ、こんなふうにならなくてよかった」と傘のある幸せを噛みしめてほしいと思う。
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