デジタルリマスター 2022年4月28日

光ファイバーで糸電話(デジタルリマスター)

以前、当サイトにて「糸電話で市外通話」という企画をレポートした。その時は、多摩川を挟む75メートルの糸電話に挑戦し、見事、市外通話を成功させた。あれから2年、通信を取り巻く環境は日進月歩。今や光ファイバーによる大容量データ通信が主流となりつつある。
そこで、今回はその光ファイバーケーブルを使って糸電話に挑戦したいと思う。光ファイバーのケーブルを使うことで、前回よりもクリアな音で会話のやりとりが出来るのではないか。しかも高速で。

と、糸電話の根本的な仕組みを分かってない感じを残しつつ、僕が考える第3世代糸電話に挑戦します。

2005年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1970年神奈川県生まれ。デザイン、執筆、映像制作など各種コンテンツ制作に携わる。「どうしたら毎日をご機嫌に過ごせるか」を日々検討中。


前の記事:多摩川ロケットボーイズ(デジタルリマスター)

> 個人サイト すみましん

光ファイバーのケーブルを探す

光ファイバーで糸電話を試すには、光ファイバーケーブルが必要だ。
しかし、光ファイバーのケーブルなんて見た事もなく、どんなものなのか想像もつかない。試しに近所の電気屋さんに光ファイバーのケーブルを置いてるか聞いてみたが、「この人は何を言っているのか」という顔をされ、家庭用のAVケーブルを差し出された。赤、白、黄色のジャックがついたコード。さすがにこれが光ファイバーケーブルじゃない事は分かったので、丁重にコードを戻して店を出た。

秋葉原に行こう。あそこに行けば大抵の物は手に入る。

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秋葉原で光を勧誘するキャンペーンガールたち

そして、秋葉原。駅周辺では某接続業者が「光」への加入キャンペーンを繰り広げていて、キャンペーンガールが道行く人たちを熱心に勧誘していた。「100メガ占有ひとり占め」。確かに「光」に用があってやって来たが、必要なのは「線」そのものであって、回線契約ではない。キャンペーガールを避けて、電気街に入る。

コード類を販売している店舗をいくつかまわるうち、「光ファイバー」という看板を見つけた。

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看板に「光ファイバー」
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これが光ファイバーのケーブルだ

店に入り光ファイバーのケーブルについて聞く。

・ガラス製とプラスチック製のものがある。
・マルチモードとシングルモードがある。
・マルチモードは短距離用で、シングルモードは中長距離用。

用途によってシングルとマルチ、ガラスとプラスチックを使い分けるらしいのだが、「用途は糸電話です」と言える雰囲気ではなかったので、「一般的なもので」と曖昧にオーダー。出て来たケーブルは、マルチモードIEEE802、1000BASE-Xというもの。何の事だか良く分からないが、1ギガのデータを転送出来る光ケーブルなのだそうだ。

つまり、1ギガ占有一人占め、である。

果たしてこの光ファイバーケーブルで糸電話は可能なのか?

林さんに反対側にまわってもらい、会話を試す。

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光ファイバー糸電話を作る
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1ギガbpsの光ファイバー糸電話

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両サイドに分かれ、会話を試す

光ファイバーケーブルでつながった2つのコップ。このケーブルには1ギガのデータを転送する能力がある。

まずは林さんから僕へ。

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林→住

「短くないですか?これ」

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住→林

「ええ、でも、1メートル4千円もするんです」


大きな声を出すと、ケーブルを通って来た声なのか、直接届いている声なのか分からなくなるので、ささやく様に紙コップの中に声を出す。

「えっ? そんなにするんですか?」
「なので、予算的に1メートルしか買えなくて」
「そうでしたか…」

耳をすますと、ちゃんとコップから声が聞こえる。
1ギガ占有の糸電話は、ある程度成立しているといえる。

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林さんの上司登場

僕たちのやりとりを見ていた平岩部長(林さんの上司)が光ファイバー糸電話を手にとり、林さんに問いかける。

上司「大丈夫なのか? 林君?」

平岩部長は7月2日に行われるニフティのイベント、BBフェスタの事を心配しているのだ。

フェスタ当日、デイリーポータルのブースでは、過去の企画を体験出来るコーナーをいくつか用意する予定になっており、その中で長距離糸電話の設置を検討していたのだ。せっかくなのでバージョンアップした糸電話を用意しよう、という事になり今回の企画を思いついたのだった。

会場で糸電話の為に用意されたスペースは30メートル。光ファイバーケーブルを30メートル購入すると12万円かかってしまい、それでは明らかに予算オーバーだ。かといって1メートルでは短すぎる。平岩部長が心配するのも無理はない。

さあ、どうする?
糸電話の責任者は僕。今、その裁量が試されている。

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うーん、困った……

今までの経験上、こういう時は東急ハンズに頼るのがいい。

早速問い合わせると、何と400メートルで2000円もしない光ファイバーケーブルがあると言う。

えっ?ほんとに?

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東急ハンズの光ファイバーコーナー

次は光ファイバー糸電話、長距離バージョンです。

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光ファイバーだけれども…

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購入した光ファイバーは4種類。口径1ミリで30メートルのもの、0.75ミリで50メートルのもの、0.5ミリで100メートルのもの、0.25ミリで400メートルのもの。いずれも値段は1625円(税込み)

東急ハンズにあった光ファイバーは、データ通信用ではなく装飾用のものだった。自由な形に変形させて光源装置に取り付け、お洒落に「光」を楽しむ為の光学繊維だ。

データ転送用のものとは別物なのだが、これも一応光ファイバー。今回はこの光ファイバーを使って長距離の糸電話を実現させたい。

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公園に場所を移し、糸電話を作る

紙コップの底に穴をあけ光ファイバーを通し、あっという間に作業は終わった。
コップに通した光ファイバーは口径1ミリで長さ30メートルのもの。ちょうどBBフェスタの会場で許された長さである。

片方を林さんが持ち、もう片方を僕が持ち、ゆっくりと離れて行く。慎重に離れていかないと光ファイバーがからまってしまうのだ。

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ゆっくりと
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慎重に
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離れて行って
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30メートル

光ファイバーは透明なので、写真では確認しづらいが、二人の間にはちゃんと光ファイバーが通っている。

お互い片手を上げて、準備が整った事を確認。
まずは林さんからしゃべる。

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林→住

「もしもーし。きこえますかー」

おっ、ちゃんと聞こえる。
2年前の市外通話の時よりも鮮明に聞こえるのは、やはり光ファイバーのおかげだろうか。

今度は僕が声を出す。

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住→林

「子供が寄って来てー、危ないですねー」
「あっ、本当だー。ちょっと線を下げましょー」

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光ファイバーに興味を持つこども
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線を下げた瞬間飛び越えたこども

「住さんのー、右側にー」
「えっ?右側にー?」
「仕事をー、さぼってる人がー」

「あっ、本当だー。仮眠中みたいですー」

少し抑え気味に声を出してもちゃんと伝わった。

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仕事中に仮眠をとる人の横で
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抑え気味の声で糸電話

光ファイバーで糸電話、30メートルバージョンは見事成功した。
これでBBフェスタ当日は何とかなりそうだ。

光ファイバーがまだ残っていたので、最後に光ファイバーの特性を利用した糸電話を作る事にします。

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物干竿で長さを測り
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5メートルの光ファイバーを10本用意する
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暗くなるまで待って

光ファイバーは光を運んでくれる。
その特性を生かして、光る糸電話を作る事にした。

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とりあえずビールで
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夜を待つ

光る糸電話なので、夜を待たないといけない。近所のコンビニで買ったビールを飲みながら、暗くなるのを待つ。別にビールを飲まなくても良さそうなものだが、手ぶらで夜を待つなんて、夜に対して失礼な気がしたのだ。

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ビールと糸電話

ロング缶一本を飲み終えた頃、ちょうどいい案配で暗くなってくれた。
この暗さなら光る糸電話を試す事が出来る。

5メートルの光ファイバー10本で両側を繋ぎ、僕が光の送り手となり、紙コップの中をLEDライトで照らしてみる。

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届け、光!

果たして反対側まで光は届くのだろうか?

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おっ?
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おおー!

写真では今ひとつうまく伝わらず残念であるが、現場では相当光っていて、その発光具合に林さんも静かに感動していた。

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古賀さんも興奮

後から合流した古賀さんも光る糸電話を手に興奮している。
光ってます、光ってますよ!

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古賀→住 「光ってますよ!」

もちろん声もちゃんと届く。

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実験が終わってからもしばらく飲んでいた
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