電車がやってくる
暑いしそろそろ待つにも身の危険を感じてきた頃である。
カンカンカン…
踏切の音が聞こえてきた。
待ちに待った瞬間にその場の空気が急に引き締まる。今まで日陰を求めて縮こまっていた全スラムダンク好きが撮影スポットの鉄柵に張り付く。
静かながら現場はすごい盛り上がりだった。
しかし当たり前だがお目当ての江ノ電は、ものの数秒で「スラムダンク踏切」を通過していく。
みんなそれで満足なのだ。スターの出待ちもまちがって川に現われたアザラシも、結局待つことが楽しいんであって、あわよくば一瞬でも見られればそれで目的達成なのである。
アザラシは出てくる時間が読めないが、江ノ電はほとんどきっちり時間通りにやってくるのであって、これは見に来る価値があるだろう。いい写真が撮れたら仲間のスラムダンク好きに自慢できるぞ。
いまは撮影場所が決められているため、勝手に入ってスラムダンクのオープニングと同じアングルで撮影することはできないのだが、こうやってかっちりと管理してくれていることで、周囲の生活に迷惑になることもなく、鎌倉観光の一つの名所として成立しているのだなと思った。
この踏切がこんなに有名になったのはもちろんスラムダンクの影響なのだけれど、スラムダンクの作者がここをロケ地に選んだのにはきっと理由があるのだと思う。
先にも書いたが鎌倉高校前駅から見えるこの眺めも、のんびり走る江ノ電も、あの踏切は確かにただの踏切にはない引力みたいなものを持っている。
僕はいままで映画とかアニメの聖地巡礼ってやったことがなかったのだけれど、行ってみたらどうしてそこがロケ地に選ばれたのか、わかるような気がして、それも楽しそうだなと思いました。


