特集 2022年11月18日

沖縄の石獅子作家さんに黒糖の塊からシーサーを彫ってもらった

黒糖からこんにちは。石獅子ならぬ黒糖獅子です

石から彫り出したシーサー「石獅子(いしじし)」がかわいいので、黒糖で作った黒糖獅子があったら料理に使うときも楽しいなと思ったのだ。
でも自分で彫れる技術があるとは思えなかったので、プロに頼んだら想像以上にかわいいものに出会えた。

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石獅子とは

石獅子とは、沖縄で昔から村を災いから守るために、村落の入り口などに置かれていた守り神のこと。
戦後、民間に広く普及したシーサーのルーツにもなっていると言われており、目の粗い琉球石灰岩などを手彫りして作られているので、それぞれに無骨ながらも愛らしい表情をしているのがたまらない。

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こんなやつだ。​​​​​​村落シーサーとも呼ばれる

そんな石獅子に魅了されすぎた夫婦がいる。
ご夫婦は那覇市の首里城の城下町でショップ兼工房「スタジオde-jin(でーじん)」を立ち上げ石獅子の魅力を発信している。

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那覇市首里汀良町にある若山夫婦のショップ兼工房「スタジオde-jin」

ご主人の若山(わかやま)大地さんは沖縄県内でもほとんどいない石獅子作家として、奥様の若山恵里さんは沖縄中を歩いて森や藪の中に隠れていたものも含め約130体の石獅子を見つけ本にした。

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恵里さんの著書『石獅子探訪記』と大地さんが作った石獅子
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こちらは大地さんが石獅子にはまるきかっけになった「カウクウカンクウ」
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黒糖で石獅子が彫れるのか

そんな石獅子夫婦の前に用意した黒糖を。

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石獅子に惚れて彫る夫婦の前に黒糖

石の代わりに黒糖で獅子を作って欲しいのですが、と恐る恐るお願いしてみたところ、なんで黒糖で?と困惑されつつも面白そうだから!ということでやってもらえることに。ノリの良いご夫婦で本当に良かった。

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通常の石と石獅子のサイズはこのぐらい

なるべく厚みのありそうな黒糖の塊を買ってきたので大きさ的には問題ないようだが、黒糖を彫ったことがないので途中で割れるかもしれないし、どうなるのかまったく想像がつきませんとのことだった。
割れたら割れたときだろう。石獅子だったら売りものにはならないが、黒糖獅子なら食べるには問題ない。

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考えてもしょうがないので、彫ってみようとなった
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「これは!」と手を止める大地さん

心配したが、「めっちゃ彫りやすい」とのことだった。毎日硬い石と向き合っているので、黒糖の柔らかくて粘りのある(水分が多い)塊が彫りやすすぎて驚いたそう。

石の道具では彫れないだろうという長年の勘で小刀を用意していただいていたようだが、いざ彫ってみるとそのまま石の道具で問題なさそうとのこと。
せっかく用意してもらっていたのになんかすみません。

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制作しながらついつい黒糖を食べてしまう
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コツコツコツコツ
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彫れた。かわいい

まずは手始めにと練習がてら顔だけの獅子を彫っていただいたのだが、ものの15分ほどで彫れてしまった。
これが石ならば通常3時間ほどかかるらしい。
彫り出された黒糖が吐瀉物にも見えなくもないが。

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もっと彫っちゃおう

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この面が硬いからこっちを前にした方がいい気がする

続いて2体目の制作に入る。2体目にして大地さんは既に黒糖の性質を把握しだしたようで、さすがプロである。

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バランスが悪いから支えて!

通常は万力に挟んで固定するらしいが、万力だと固定する力が強すぎて黒糖が割れてしまうかもしれないからと恵里さんを万力がわりをすることに。

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「ちょっと!ガンっていかないでね!その先にわたしの手が!!」

どんどん彫り進める大地さんを前に、怯える恵里さん。

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怯えつつも食べる

大地さんがあまりに楽しそうに彫り進めていくので、これからは石獅子に加えて黒糖獅子も商品化できるのでは!?と提案したのだが、「それは..」と渋い反応。

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手が

理由はめちゃくちゃ手がベタベタして気持ち悪いからだそう。

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石獅子と同じく尾も彫ってもらったのだが、その部分の黒糖が層のように脆くなっていて割れてしまった。こっちを前にしなくて正解だったと大地さん
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完成

彫り始めて30分後完成。石獅子は3時間かかるのでの6倍のスピードである。

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できあがった黒糖獅子

かわいい!

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石獅子とも並べてみる

しかし、途中から気づいていたが、当初のもくろみである"料理に使う"にはでかすぎる。
黒糖獅子を使ってラフテーなどを作るとしたら30人前ぐらいになりそうだ。
かといって頭から少しづつ削ぎ落として使うのはどうにも忍びない。

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削り出した黒糖のかけらを手でぎゅっと集めるとまた塊に戻った

黒糖獅子はこの後どうするかもう少し考えるとして、ひとまず料理にはこちらの黒糖を使おうと思う。


また作ってもらえますか?

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若山夫婦ありがとうございました

作業途中に何度も「量産したら売れますよ!商品化しましょうよ!」と言ったがずっと苦笑いだった。
終わったらこんなにいい笑顔なのに!

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