明治通りを横断する歩行者信号の時間を測る
とりあえずデータはとれるようなので、交差点を一つずつ調べていくことにした。
明治通りに並ぶ高度化PICS整備交差点(地理院地図に加筆)
高田馬場を南北に走る明治通りという通りに高度化PICSに対応した信号機が並んでいる。上の地図に赤い丸で描いた交差点だ。それらについて、通りを(東西に)横断する歩行者信号の赤と青の時間を調べていく。
エラーが発生しました
エラーを発生させたりしながらなんとか調べていくと、結果としてはこんなふうになった。

青と赤の長さは、それぞれ青信号と赤信号の時間の長さと一致させてある。右端が揃っているので青と赤の長さの比率に見えるかもしれないが、そうではなくて実際の秒数に一致させてある。
たとえば上から1つめと2つめの交差点でいうと、
高戸橋は青26秒、赤125秒、合計151秒
戸塚警察署は青42秒、赤109秒、合計151秒
となっていて、青と赤の時間は違うが合計は一致する。
この青と赤で一周する時間のことを、信号のサイクルというそうだ。つまり、明治通りの横断方向のサイクルはだいたい150秒で統一されていることがわかる。ただし、上から3番目と4番目だけは140秒になっていて、他と10秒だけずれていた。
同じ図を再掲
つぎに1サイクルに占める青の時間の比率を見てみる。青の割合は17%から30%までで、けっこうばらつきがある。傾向としては、大通りの交差点ほど青の比率が小さかった。つまり実際の時間としても青の時間が短かった。
右折中
大通りでは右折の車を通す時間が必要で、そのぶん歩行者の横断時間が削られているように見えた。
一斉に青からスタートした場合
仮に8つの交差点が同じタイミングで青からスタートした場合、時刻表(?)はこんなふうになる。赤いところは車から見ると青なので、概ね信号を連続で通り抜けられるようになっている。ただし3番と4番だけはサイクルがずれているので、そこで予期せずつかまるということがあるかもしれない。
ただ、実際には信号ごとにタイミングをずらす「オフセット」という考え方があり、それによって車がスムーズに通行するようにしているそうだ。オフセットがどうなっているかを調べるには8つの信号で一斉に測ればいいが、それには体があと7つ必要だ。ただ、本当に7つあったらもっと別なことに使いたい気がする。
まとめ
地道に調べてみるものである。現場ではひたすらに赤信号が長いなーということしか感じていなかったが、あとで計算してみると赤と青を足したサイクルが一致していたのだ。気づかなかった。
高度化PICSが整備された交差点はいまのところ各都市に少しづつあるという状況のようだ。対応した交差点の近くで、日本信号の「信GO!」というアプリを使うことでも情報が表示されるので、よければ試してみてほしい。生データがほしければノートパソコン持参で近づこう。
参考文献:
Software Design 2025年7月号(技術評論社)
万能IT技術研究所 第38回 「進め止まれとBLEで指示をする、交通信号機の聲を聴く」平林純
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この信号ぜんぜん知らなかったのですが、知らないうちに世の中のデジタル化は進んでいるんだな…と思わされる話ですよね。それによって社会が良くなったり障碍のある人も生きやすくなったりするわけですが、その副産物としてデイリーの企画も精度が上がるという。信号メーカーの人もそんなこと予想していなかったに違いありません。(石川)