よくもまぁ、鎌倉時代の港が残っているものだ
この遺跡を訪れてみて、私は単純に凄いと思った。だって、こんな干満の差が大きく浸食が激しそうな海の中で、鎌倉時代の石積みが今に残っているんだもの。崩壊は進んでいるけど。
それでも、今も船をとめることもできるようだし、その中心部に上陸することもできた。昔からここで漁を行っている漁師さんにも会うことができたし、とても有意義な訪問だったと思う。
ちょっと、冷たい思いはしたが。
そうして、なんとか海に足を突っ込むこと無く和賀江島の中心部にたどり着くことができた。ここはもう、満潮時でも海に沈まない安全地帯。いやはや、これで一安心。
中心部に来てみたとはいえやはりこの和賀江島、ただ見るだけでは普通の磯だ。しかし、心持ちこんもりと積み上げられたその石積みは、天然のものではなく人工のものであるという雰囲気がある。
これが鎌倉時代に積み上げられたものであると考えると、いやはや、なんとも感無量。素敵なものですなぁ。
さて、これで目的を果たすことができた。私は十分満足だ。さぁ、潮が満ちてくる前に帰るとしよう。
帰りのルートを模索すべく周囲を見渡していると、ふと何かを捕っている二人組の姿が目に止まった。他にも磯遊びしている人は結構いたのだが、その二人は何か他の人とは違う雰囲気を漂わせていたのだ。
遊びではなく、本気というか。そんな感じ。
と、そのうちの一人がにょろにょろした魚を釣り上げた。おぉ、これはおもしろいやということで、私はこのお二人に少々話を伺ってみることにした。
このおっちゃんとイケメンさんのお二人は、地元の漁師だという。釣っているのはギンポという岩場に住む魚で、東京では高級魚として料亭などで出される魚だそうだ。このおっちゃんは昔からずっと、ここでギンポを捕っているらしい。
面白いのがその釣りエサ。ギンポは魚の切り身で釣るのだが、一番良く釣れるエサはなんとマグロのトロだという。逆に、冷凍サンマではたいして釣れないらしい。エサの値段によって釣れるかどうかも変わってくるとは、なんとも現金な魚である。
さて、満潮のピークを過ぎ、徐々に水位が上がってきた。さっさとずらからなければ水没してしまう。私はお二人に挨拶をして、再び陸地へと向かった。
水の少ない安全地帯まであと少し、ここまで来たらもう大丈夫だろう。そんなことを思っていたら……
この遺跡を訪れてみて、私は単純に凄いと思った。だって、こんな干満の差が大きく浸食が激しそうな海の中で、鎌倉時代の石積みが今に残っているんだもの。崩壊は進んでいるけど。
それでも、今も船をとめることもできるようだし、その中心部に上陸することもできた。昔からここで漁を行っている漁師さんにも会うことができたし、とても有意義な訪問だったと思う。
ちょっと、冷たい思いはしたが。
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