角先生はロマ民族の言葉「ロマニ語」が専門の方なのだが、ロマの人たちはこのウィリアム・テル版トランプで占いなどもするそうだ。
先生はいま、ロマ魔術についての本も書かれているという。興味がある人はぜひチェックしてみて欲しい。
大富豪でボロ負けしたあと、このトランプをくれた角先生にわからなかったところを聞いてみた。
以下、私の疑問と角先生による回答です。
日本では52枚のトランプが主流ですが、これはフランス/アメリカ/イギリスタイプと呼ばれるもので、世界のスタンダードではありません。
ヨーロッパでは国によってカードの枚数は様々で、たとえばドイツ系なら32枚、イタリアなら40枚、ロシアやウクライナなどの旧ソ連圏では36枚がスタンダードです。
お送りしたのはドイツ系、細かくいうと「ハンガリー・カード」または「ウィリアム・テル版カード」という中央ヨーロッパでは一般的なカードです。
なぜ最初から下の方の数字がないのかはわかりません......。
36枚組のソ連版は5以下が欠けています。ゲームの種類によっては、さらに枚数を減らして行うこともあります。
ならべるならばこうでしょうか。
・数字
・低位(ジャックに相当)
・高位(クイーンに相当)
・キング
・エース(四季のカード)
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ややこしいのが高位と低位ですね。高位はハートなどのマークがカードのへり、低位はカードの中心に描かれています。
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キングはジャックと違って馬に乗っており、文字も入っていないですね。
ハート:ハート
どんぐり:クラブ
葉っぱ:スペード
鈴:ダイアモンド
に相当するようです。
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このカード独自の遊び方があります。一番シンプルなのは、シェプティカ(7番カード)という遊びです。
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※地方によってルールが多少異なるらしい
◆参考
フリードロヒ・シラーという作家が1804年に描いた戯曲『ウィリアム・テル』の登場人物です。
1827年にコロジュヴァール(現ルーマニア、当時はハンガリー)で上演されたときの内容をもとにしていると言われています。
お察しの通り、ウィリアムはウィリアム・テルのことです。
このカードは、ハンガリーのシュナイダー・ヨージェフという人がデザインしました。
このカードが作られた時代、ハンガリー王国はハプスブルク家の支配下にありました。
当時の人々はハプスブルク家に反感を持っており、デザイナーのシュナイダーもそのひとりでした。
ウィリアム・テルは14世紀のスイスで活躍した人物で、ハプスブルグ家の圧政に苦しむ庶民の英雄でした。
シュナイダーは、当局の検閲を避けるため、わざと自国ハンガリーではなく、他国であるスイスの英雄を描いたというわけです。
なお、1848年には「ハンガリー革命」が起きて最終的にハンガリーはオーストリアから独立しています。
遊んでいるときはわからなかったが、想像以上に深い歴史があった。勝手にトランプは世界共通なのだと思っていたが、全然そんなことはなかったのだ。
その土地それぞれで独自の発展を遂げてきたトランプ。
皆さんもぜひルーマニアに行ったときは普段とは一味違うトランプを手に入れてみて欲しい。
角先生はロマ民族の言葉「ロマニ語」が専門の方なのだが、ロマの人たちはこのウィリアム・テル版トランプで占いなどもするそうだ。
先生はいま、ロマ魔術についての本も書かれているという。興味がある人はぜひチェックしてみて欲しい。
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