特集 2026年3月25日

ルーマニアのトランプは32枚しかないしマークも違う

トランプは52枚が普通ではない

大富豪でボロ負けしたあと、このトランプをくれた角先生にわからなかったところを聞いてみた。

送ったメールと返信。わかんないですよね〜!

以下、私の疑問と角先生による回答です。

Q. なんで全32枚なんでしょうか?

日本では52枚のトランプが主流ですが、これはフランス/アメリカ/イギリスタイプと呼ばれるもので、世界のスタンダードではありません。

ヨーロッパでは国によってカードの枚数は様々で、たとえばドイツ系なら32枚、イタリアなら40枚、ロシアやウクライナなどの旧ソ連圏では36枚がスタンダードです。

お送りしたのはドイツ系、細かくいうと「ハンガリー・カード」または「ウィリアム・テル版カード」という中央ヨーロッパでは一般的なカードです。

 

Q. 7より下のカードがないのですが......。

なぜ最初から下の方の数字がないのかはわかりません......。

36枚組のソ連版は5以下が欠けています。ゲームの種類によっては、さらに枚数を減らして行うこともあります。

 

Q.カードの強弱がわかりません

ならべるならばこうでしょうか。

 

・数字

・低位(ジャックに相当)

・高位(クイーンに相当)

・キング

・エース(四季のカード)

 

ややこしいのが高位と低位ですね。高位はハートなどのマークがカードのへり、低位はカードの中心に描かれています。

キングはジャックと違って馬に乗っており、文字も入っていないですね。

 

Q.鈴やどんぐりなど知らないマークがいっぱいあります。

ハート:ハート

どんぐり:クラブ

葉っぱ:スペード

鈴:ダイアモンド

に相当するようです。

 

Q. このトランプで大富豪などはできるのでしょうか?

このカード独自の遊び方があります。一番シンプルなのは、シェプティカ(7番カード)という遊びです。

※地方によってルールが多少異なるらしい

◆参考

Regulamente jocuri de carti: Septica

 

 

Q. 描かれている人たちは誰ですか?

フリードロヒ・シラーという作家が1804年に描いた戯曲『ウィリアム・テル』の登場人物です。

1827年にコロジュヴァール(現ルーマニア、当時はハンガリー)で上演されたときの内容をもとにしていると言われています。

 

Q. 「ウィリアム」とはウィリアム・テルですか?

お察しの通り、ウィリアムはウィリアム・テルのことです。

このカードは、ハンガリーのシュナイダー・ヨージェフという人がデザインしました。

 

このカードが作られた時代、ハンガリー王国はハプスブルク家の支配下にありました。

当時の人々はハプスブルク家に反感を持っており、デザイナーのシュナイダーもそのひとりでした。

 

ウィリアム・テルは14世紀のスイスで活躍した人物で、ハプスブルグ家の圧政に苦しむ庶民の英雄でした。

シュナイダーは、当局の検閲を避けるため、わざと自国ハンガリーではなく、他国であるスイスの英雄を描いたというわけです。

 

なお、1848年には「ハンガリー革命」が起きて最終的にハンガリーはオーストリアから独立しています。

遊んでいるときはわからなかったが、想像以上に深い歴史があった。勝手にトランプは世界共通なのだと思っていたが、全然そんなことはなかったのだ。

その土地それぞれで独自の発展を遂げてきたトランプ。

皆さんもぜひルーマニアに行ったときは普段とは一味違うトランプを手に入れてみて欲しい。


角先生はロマ民族の言葉「ロマニ語」が専門の方なのだが、ロマの人たちはこのウィリアム・テル版トランプで占いなどもするそうだ。

先生はいま、ロマ魔術についての本も書かれているという。興味がある人はぜひチェックしてみて欲しい。

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
トランプの変さと、遊んでいる側の戸惑い、煮え切らなさみたいなものが余すところなく盛り込まれた記事でした。僕は写真を撮りながら見てたのですが、ほんと手探りだから勝っても爽快感が全然なさそうなんですよね。むしろ全員で謎を解く協力プレイの色が強かったかも。
しかし最後に専門家に話聞けて謎が解けるのはめちゃめちゃスッキリしますね。この手の記事って調べて終わりが多いので浅い情報になりがちなのですが、ハプスブルグ家の話とかやはり専門家に聞けると深みが違います!(石川)

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