国語辞典をつかったしりとりコーナー
さて、ツアーが終わって続いてやって来たのが、国語辞典コーナーだ。
国語辞典を使ったしりとりコーナーがあるらしい。
国語辞典しりとり
「国語辞典かるた」や「辞書作り」といったコーナーがあるなか、国語辞典しりとりに挑戦してみた。
国語辞典でしりとり
国語辞典に載っていることばの中で、決まった文字数の言葉を探してしりとりするという。簡単なゲームだ。
大人なので、まずは国語辞典を引かずに、実力で言葉を考えてから辞書を引いて、載っていれば埋めていく⋯⋯という風に挑戦したのだがこれが意外となかなか難しい。誰だ、簡単とか言ったやつは。
四文字ならなんとかできる
4文字ぐらいなら、わりとサクッといける。先生に見てもらって「たいへんよくできました」のハンコももらえた。
が、7文字ぐらになると途端に難しくなる。
しばらく、思案してやっとひねり出したのがこれだ。
7文字はむずいって⋯⋯
これでハンコをもらおうとしたところ「え、すいかどろぼうって載ってました?」とツッコまれ、すぐにバレた。ズルはすぐにバレるので厳禁である。
国語辞典に笑い声の語釈が載っている
同じコーナーでは、国語辞典の読み比べコーナーもあった。いろいろな国語辞典の「笑い声」の語釈の読み比べだ。
各国語辞典の笑い声の語釈の読み比べ
写真では見づらいので書き出してみました。笑い声の品詞は基本的に感動詞となっている辞書が多いが、『三省堂国語辞典』は全て「副詞」となっている。これだけを見ても、国語辞典はどれも同じ“ではない”ということがよく分かる
国語辞典に掲載される言葉は、色んな言葉があるけれど、例えば人が笑ったときに出す声や、笑っていることを表す言葉も日本語のひとつであることには変わりない。
日本語を普段使って生活している人であれば「あはは」「いひひ」「うふふ」「えへへ」「おほほ」、いずれもどんな風に笑っているのか微妙に雰囲気が違うな。ということは想像つくとおもう。
従来、国語辞典にはこういった笑い声のような言葉はあまり採用される語ではなかったが、最近の国語辞典はこういった、見えてなかった日本語もちゃんと拾って載せることが増えてきた。
特に、三省堂の『三省堂国語辞典』や『現代新国語辞典』などは、言われてみれば確かに使うなという言葉がしっかり載っている。
このブースで案内をしてくださった柏野和佳子さんは『岩波国語辞典』の執筆者の一人だが、岩波国語辞典でも、これらの「笑い声」の語釈を、2019年の改訂で新しく追加したのだという。
『岩波国語辞典』の執筆者の一人でもある柏野さんがわざわざ案内してくださった。「字幕大好き」だそうです
この語釈を書くため、実際にどのように使われているのか? という用例を採集するため、柏野さんは朝ドラなどテレビ番組は全て字幕付きでチェックしている。
例えば字幕で「いひひひ」という笑い声を「ヒッヒッヒッヒ」と表記していた⋯⋯というような用例を発見したときは、すかさず写真を撮り保存する。そんなことをしているという。
最近は本田圭佑の言った「イケイケどんどん」の表記が気になったという。テレビの字幕では「イケイケどんどん」「イケイケドンドン」など、表記の揺れが色々あったらしい。柏野さんはこれらも写真を撮って保存しているという。
こういった表記の違いに、意図があるのかどうかをきちんと検討するうえで、やはり用例の採集は欠かせないものとなるわけだ。
日本手話体験でちょっと感動してしまう
続いては、日本手話体験講座にやってきた。
手話は、日本と外国ではまったく違う。日本国内で使われる日本手話も、方言のように各地方で違ったりすることもあるそうだ
日本手話も、日本で使われている言語のひとつということになる。
しかし、僕自身、手話に関しては「耳の聞こえない人とのコミュニケーションをとるときに使うゼスチャー」ということ以外は全く知らない状態からのおしゃべり体験だ。はたしておしゃべりできるようになるのか。
講師の相良先生に手話を教わる
最初は、席の後ろで相良先生の手話を通訳してくださる方がいらっしゃったのだが、途中からは相良先生の手話だけとなった。
わかるかどうなのか心配ではあったものの、色の表し方、数字の表し方など、ひとつずつ手話で教わる。
数字の表し方をひとつずつ教わる
教わった手話をひとつずつ確認するように参加者がマネする。とっても静かではあるけれど、熱気はある。マネはすなわち学ぶということ⋯⋯なんておっさんが好みそうな寸言を思い出す。
相良先生が、ホワイトボードに色紙を貼り付け、色の手話を実演する。例えば人差し指の指先を唇に当てて、唇に沿って右へ動かしたら赤、手のひらを頬に当てて後ろに引いたら青⋯⋯といった具合だ。
手話の赤
赤はなんとなくイメージがわくが、青がよくわからなかったが、これは青ひげをイメージしたものらしい。
一通り教わると、相良先生が「アナタの好きな色は何?」と、一人づつ手話で問いかけるので、参加者が順繰りに、さっき教えてもらった手話で答えていく。
「私は、青が好きです」と答えると、相良先生に通じる⋯⋯こ、これは、楽しい。
青が好きです
相手の言っていることがわかる。自分の言いたいことが相手に伝わる。ということがこんなにおもしろいということに今更ながら気づく。英会話や外国語学習の面白さだ⋯⋯。
数詞の表現は、1から10まで、片手で表現できるやり方で表すということや、飛行機や自転車といった単語以外にも、地名はそれぞれ特有の手話があるということまで教えてもらった。
ちなみに、人差し指と親指でL字を作り、上向きにして2回小さく上下に動かすと「東京」、下向きにして同様に動かすと「京都」を表す。向きの違いは、太陽が昇る東と沈む西に由来するらしい。
東京と京都の手話
ただ、ほんの20分ほどの間だったけれど、手話表現の奥深さと面白さの一端を垣間見ることができた。これはちょっとショックなぐらい衝撃的だった。
ちなみに、鳥取は指でクチバシを表現する「鳥」と、手でものを捕まえる仕草の「取る」で鳥取⋯⋯らしい。冗談みたいだけどほんとうです。おもろすぎる。
鳥と取るの手話で「鳥取」
家に帰ってから、近所に初心者が通える日本手話の教室がないか思わず検索してしまった。
これの10倍ぐらいのボリュームがあって全部紹介しきれない
以上、国立国語研究所の「ニホンゴ探検2026」で、見聞きしたことをざっとレポートしたのだが、実はこれの10倍ぐらいのボリュームがあるイベントであった。
すみません、10倍はいいすぎた。でも倍以上は絶対ある。
コーパスの使い方を指南してくれるコーナーや、点字体験コーナー、クイズラリー、講演会など、体験したかったものの泣く泣くスルーしたものも多かった⋯⋯。
おそらく、来年2027年も7月ごろにまた開催されるはずなので、「言葉って面白いなあ」と思う人はもちろん、「国語研究所って何をしているところ?」ぐらいの人でも、ぜひ一度のぞいてみてほしい。気がつけば、普段何気なく使っている日本語が、ちょっと違って見えてくるはずだ。
編集部からのみどころを読む
編集部からのみどころ
レポートを読んで最初の感想は、「完全に西村さんのためにあるようなイベントじゃん…」でした。後日、別件で会ったときにも「手話体験講座」に感動してしまって…と熱く語ってくれてたんですよね。
そんな西村さんの興奮ぶりを想像しながら読んでもらえればと思います。(石川)