特集 2020年5月11日

日常をゲームの攻略本のようにしてワクワクする

大丈夫。デイリーポータルZの攻略本だよ。

ゲームの攻略本ってワクワクする。少し閉鎖的な日常も、楽しく見えてくるんじゃないだろうか。

埼玉生まれ、神奈川育ち、東京在住。会社員。好きなキリンはアミメキリンです。右足ばかり靴のかかとがすり減ります。(インタビュー動画)

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モノローグ:あの頃、ゲームより攻略本を見てる時間の方が多かった

ゲームの攻略本が好きだった。

登場するキャラクターの隠されたストーリー、技や武器、モンスターのデータが事細かに並ぶ様、ゲーム制作者のこだわりが感じられるマップのひとつひとつ。

筆者の家は「ゲームは週に3回、1日に40分まで」というルールがあったため、なかなかゲーム自体を前に進められなかったのだけど(FF8をクリアするのに1年半かかった)、それでもそのゲームの攻略本を見るのが好きでよく眺めていた。とてもワクワクする時間だったのだ。

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今回のために買い漁ったけど、やったことないゲームでも攻略本は楽しい

攻略本を読んだことのある方ならなんとなくわかると思うが、攻略本特有の文体や雰囲気ってあるだろう。もしかしてあの”攻略本フォーマット”が、あそこまでワクワク感を高めさせていたのではなかろうか。

前置きが長くなったが、今回はその”攻略本らしさ”を紐解いて、すこし退屈な日常をワクワクさせたいと思ったのだ。

第1章:まずは登場人物の紹介からスタートだ!

さて、今回ワクワクさせる日常は在宅勤務(リモートワーク)である。まだしばらく続きそうだし、未だに慣れないのだ。

全体のテイストとしては、ドラクエなどのRPGの感じを目指したい。こういった攻略本の最初に書かれているのが「キャラクター紹介」である。

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そうそうこの感じ
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主人公は僭越ながら筆者である

地球の急激な環境の変化によって仲間(社員)と離れ離れになり、一人で戦う(働く)ことを余儀なくされたという設定である。概ねウソはついてない。

設定が決まると道はひらける。あとはなんとなく思わせぶりなエピソードや働く上でのステータス、装備品などを盛り込んだら…

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できた!キャラクター紹介!

Yシャツにスウェットパンツ、という普段の勤務時の格好のままだけど、攻略本のていを成せばどうにかなるものである(上さえかっちりすれば、突然のリモート会議にもスムーズに出席できるぞ!)。

本来の攻略本だと、このあとにヒロインや二枚目、力持ちなど味方キャラの紹介や相関図が続くのだけど、今回はこの主人公ページだけである。なぜならおれは過酷な運命にあらがう孤高の会社員だから…

第2章:ゲームの基本を解説するぞ!

なんとなく雰囲気はご理解いただけたろうか。

キャラクター紹介が終わると、だいたいゲームの基本操作を解説する章へと続く。この攻略本だけ読んでもプレイできるようになっているのはとても親切だ。

まずは戦い方を解説していこう。このリモートワークは自分と、相手(業務や眠気、腰痛など)との対戦ゲームである。戦うこともできるし、例えば眠い時にコーヒーを飲むなど、道具を使うこともできる。自分ひとりで難しい時は上司を召喚したっていい。

つらつら書いていたらほんとにRPGのような気がしてきた。思いのままに作ったバトル画面の説明ページがこちらだ。

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どんな仕事も、逃げる、という選択肢があることを忘れてはいけないのだ

語尾に「〜しよう!」「だぞ」をつけると攻略本らしさが増すことがわかった。

「コンプリート」「指南」「マスター」「しっかり」「チェック」なんかも頻出ワードである。しっかり攻略本用語をマスターして使いこなそう!

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続けて用意したのはステータス(能力)の説明ページ。

何はともあれHPとMPがなければ我々企業戦士は戦うことができない。「しゅうちゅう」のステータスが低いときは「ダブルチェック」を忘れないようにしたい。

思えばゲームを買ったとき、ソフトについてくる説明書を最初に読むのが好きだった。主人公の生い立ちや操作方法を理解して、気持ちを高めてからゲームのスイッチを入れる。最近のゲームに説明書がついてないのは少しさびしい。

たいせつなのは状態異常に気づくことだ

この章の最後は、「状態異常」について。RPGでは得てして正常に戦うことができなくなる呪文や技が登場し、相手の動きを封じるキャラクターが登場する。

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「おすすめの状態異常」って日本語すごい

「100%元気です!」なんて日はなかなか無いと思う。
仕事をしていてよくかかる状態異常ってなんだろう、やっぱり「ねむり」とか、「こんらん」とかかな…

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こんな感じ?

大切なのは自分で状態異常にしっかり気づくことである。わかりやすく「今あなたは混乱してますよ」と表示されるゲームは親切だなと思う(自己啓発みたいになってきた)。

「どく」とか「ひるみ」とかもあるけど、たまに「むてき」状態のときもありますよね。けっして悪いことばかりじゃないのがワークである。

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第3章:いよいよストーリーの攻略をしよう!

さて、基本を理解したらいよいよストーリーへ踏み込もう。攻略本のもっとも大事な部分だぞ。

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攻略本を読まないと気づかないような仕掛けがいいのだ

たいていは最初の小さな町からはじまって、いろんな冒険を経て最終局面へ…となるが、リモートワークはぜんぶ自分の部屋で解決する。ここらへんがどんよりしがちなのだけど、攻略本っぽくしたらどうにかなるはずだ。

ステージを午前と午後で分けよう。

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物語はベッドからはじまる

おっ、これはなかなかいい出来なのでは?
自分の部屋を上から描いたらとてもいいものができた。筆者の部屋いまこんな感じです、誰も攻略しに来ないでください。

ベッドからスタートして、右上のデスクがゴールだ。近いようで遠い絶妙な設定である。
午前中の難敵、「今日中にください!」とすばやく仕掛けてくる「なるはや(ASAP)」に注意して進もう!

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午後は中ボスと対峙する

中ボスは「クレーマー」である。16時に現れるので事前にセーブしておきたい。

キャラクターのモチーフは言わずと知れたドラクエだ。右手には剣、左手には報告書をたずさえているぞ。

第4章:データ集をつくろう!

さて、ストーリーを終えたらお待ちかねのデータリストである。筆者はこのページがとくに好きなのだ。敵キャラのステータスや、装備品、わざの強さをつまみにお酒が飲める。

今回はモンスターのページをつくった。

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便宜上「モンスター」と記したけど、「なるはや」も先の「クレーマー」も決して悪(あく)ではない。みんながんばって職務を全うしているだけである。大事なので繰り返したい

装備品や道具はどんなだろうな、「ブルーライトカットメガネ」や「いい椅子」、「外付けディスプレイ」なんかは装備しておきたいな…など妄想していたけど、これ以上イラストを描くのも大変そうだったので今回はモンスターページだけで。

第5章:最後はコスト削減の白黒ページ

忘れてはならないのが、ゲームの進行に直接関係あるかないか、というレベルの小ネタや裏ワザを集めたページだ。公式と連動した攻略本だと設定資料なんかが載っていたりして、このページもかなり楽しい。

昔の攻略本だと、印刷費削減のため、後ろの方はモノクロのページになっていたりした。最後にそのページをつくろう。

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この先はキミの目で確かめよう!終盤が書かれていないフワッとした攻略本をつかまされることも多い

攻略本らしい文体の正体は”語りかけ”であるように思う。特に対象年齢の低いゲームほどその傾向が強い。

エピローグ:やっぱりワクワクした

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最後に表紙も・・・
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完成だ!

振り返ってみるとぜんぜんリモートワークを攻略できてないけど、攻略本テイストにするだけでなんだかワクワクすることがわかった。


集中できた

集中できない集中できないと嘆いていたけど、今回の記事つくるのは楽しかったしかなり集中して机に向かっていた気がする。もしやこれがリモートワーク攻略のヒントなのか…?

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「すいま」がお気に入りです。インド人を右に!

参考文献: 
ドラゴンクエストVIII公式ガイドブック 下巻知識編,SQUARE ENIX, 2005.
ファイナルファンタジーXIIIライトニングマスターガイド,集英社,2009.
ポケットモンスターオメガルビー&サファイアかんたんクリアガイド,小学館,2014.
スプラトゥーン コウリャク&イカ研究白書,KADOKAWA・DWANGO,2015.

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