意外にあるぞ「意思のある石」
半信半疑でスタートした「意思のある石」探しだったが、思っていた以上にザクザク見つかってビックリした。
石、思っていた以上にある。手ごろで重い。そんな存在を人類が放っておくはずがないのだと改めて認識した夏の一日でした。
そんな、みのまわりにある「意思のある石」を調べるのも、夏休みの自由研究にピッタリかもしれないですね……!
「意思のある石」探索は、住宅地へと続いていった。近くの小学校から、なんらかのスポーツを練習する元気な声が聞こえる。大人も負けてはいられない。石と関係ない街歩きもはじめる私たち。
ネルノ:そういえば最近、猫よけのペットボトルって見なくなりましたね。
林:効果が薄いっていうのが知れわたっちゃって。
ネルノ:鳥よけのCDとかもないですよね。
林:見ないですね。あのCDを集めてDJをやるのが夢だったんですよけど。
ネルノ:あはは(笑)
林:いまCD自体が少ないから、単なるキラキラした板が「鳥よけ用のCD」として売られているみたいですね。
ネルノさんによると、この周辺の散歩から『みのまわりの謎大全』に反映されたものもあるのだとか。ある意味、聖地巡礼でもある。みのまわりの聖地。
本厚木駅から南下して住宅地を抜け、そろそろ工業地帯に入ってきた。幅の広い道路を大きなトラックが轟音を立てて行き交う。さらに南には、建物の隙間から東名高速がチラチラ見える。
道のりは東に折れて、相模川の方に向かうことに。ここで同行者全員が「おぉ~っ!」と声を挙げた光景がこちら。
ここまでずっと石を見てきたので、我々は「これはただごとではない」という石センサーが働くようになっている。
大小さまざまな意思が、いや石が入り乱れている。なにがどうなってるんだこの駐車場は。
ネルノ:むき出しの根元がたまらないですね! 崩れないように押さえているのがパズルっぽい。
林:このブロック、「T」になってるのは意味があるんですかね?
「エ」のブロックが劣化して「T」になったようだ。では、「エ」のブロックはもともとなんだったのか?
その謎は、この先100メートルであっという間に解ける。
もともとは盛り土の壁面に使うブロックだったのだ。「エ」の形が土とがっちり噛み合い、安定するようになっている。なるほど~。
ということは「エ」から「T」になって、土と噛み合わなくなっても、さっきの石はむき出しのまま使われ続けているのか。
石の寿命の長さ、処分のしづらさ、人間の「ちょっと置いておこう」という意思、すべてが詰まっている光景といってもいい。
林:石だけ見ていると、人類が全然進化していない気がしますね。押し込んだり、詰めたり、使えそうだから取っておいたり。
ネルノ:かなり原始的ですよね(笑)。
林:とてもAIを作った生き物とは思えない(笑)。安心しますよね。
日が傾いてきて、蝉の声も高まってきた。今日は元気に活動できる気温のようだ。道はそろそろ相模川に抜ける。風がほどほどに吹く。
ネルノ:最近は早朝に散歩をするんですけど、朝もこの道は誰もいないですね。逆に誰か来ると逃げ場がなくて怖いです(笑)。
無事、異変を見つけて引き返したりすることなく一本道を抜けると、相模川の河原に出た。この道沿いにもゴツゴツした石の姿がある。
ネルノ:どっしりした石が両サイドに置いてあるんですよ。車が落ちないようにするための石だと思うんですよね。
この先の道がオススメなんですよ、とネルノさんは土手沿いの歩道を案内してくれた。木のトンネル! しかもこれ、桜である。
ネルノ:早朝にここを通ると、地元の人が川の方を向いて等間隔に並んで、ラジオ体操をしてるんです。下から見ると不思議な光景ですよ(笑)。
でもなんかわかる。川に向かってラジオ体操するの、開放感あるだろうな。
写真を撮り忘れたけど、河原のベンチには鳥にエサをあげているおじさんがいた。ハトもスズメもカラスも行儀良くおじさんのエサを待っている。この散歩中に見かけた、数少ない人類である。
さて、木のトンネルを抜けると再び住宅地。スタート地点だった本厚木駅へと向かう。「意思のある石」探しも大詰めである。
ネルノ:のぼりベースだ。置き方おもしろいですね。
林:斜面に置くにはこれしかないんでしょうね。
しかし、このあと続々と「石のぼりベース」が見つかるのだ。
林:車? 前? どこかにあったやつかな……
ネルノ:別のところから持ってきたんでしょうかね……?
林:いまは水を入れるのぼりベースが主流なのに、石のやつ多いですね。
ネルノ:石だと劣化しないからですかね?ずっと残っているのかな。
林:そうか、自分より年上ののぼりベースも全然あるでしょうね。
そうかもしれない。本来の用途から外れても、表面が削れても、欠けても割れても、石は街をずっと見ている。
それを人間がちょこんと塀の上に置いたり、移動させたり、隙間に埋めたりするのだ。意思で石は動き続ける。
半信半疑でスタートした「意思のある石」探しだったが、思っていた以上にザクザク見つかってビックリした。
石、思っていた以上にある。手ごろで重い。そんな存在を人類が放っておくはずがないのだと改めて認識した夏の一日でした。
そんな、みのまわりにある「意思のある石」を調べるのも、夏休みの自由研究にピッタリかもしれないですね……!
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