物への寄せ書きはストーリーが生まれる
あたかも骨折しているかのようにギプスに寄せ書きをもらった結果、書き手にはそれぞれの物語が生まれ、受け手もその物語の一員になれることがわかった。
これがギプスではなくて、バットやボクシンググローブならスポーツ選手の、楽器であればミュージシャンの気分が少しだけ味わえるはずだ。
機会があればまたやってみたい。
日を改めて今度はデイリーポータルZ編集部で、寄せ書きをしてもらう。
この日のトップバッターは、編集部の古賀さんである。
趣旨を告げられて困惑気味の古賀さん。
ここまででわかったことは、やはりケガをしていない人に対する寄せ書きは、いかにデイリーポータルZ関係者と言えども一瞬何を書いていいのかわからなくなるのだ。
さて、なんと書いてくれたのか?
古賀さんの中にケガで入院し落ち込んでいる男の物語が見えたようだ。
いや、ケガもしていないのに寄せ書きが欲しいなどと思った私に対しての、本気の書き込みなのかもしれない。
つづいては同じく編集部の橋田さん。
少し考えて…
果たして何を書いてくれたのか?
という骨折患者に対して、治癒を早めるための栄養状態を考えた橋田さんらしい励ましが書いてあってありがたい。
つづいては二度目の登場、べつやくさん。
「ちょっと書き足したいことがある」と言って再びペンを持ってくれた。
何を書き足してくれたのか?
べつやくさんにメッセージをもらうと全身の骨を骨折させられそうなので急いで次へ行くことにしよう。
お次は編集部の石川さんだ。
だんだんと書き込むスペースが少なくなって無理な姿勢をお願いすることになってしまった。
さあ、なんと書いてくれたのか?
石川さんの中では、骨折したバンドのメンバーと、励ます側という物語で出来ていた。不思議なことだが、その物語に引っ張られてケガもしていないのに、ほんの少しライブまでには治さねばと思う自分もいることに気がついた。
そして最後はライターのとりもちうずらさんだ。
軽く趣旨を説明すると「ハイ、ハイ」と礼儀正しくうなづいてペンを持ってくれた。
「何を書いていいのか迷いますね」と言いながらも書き込み終了。
さあ、なんと書いてくれたのか?
ちょっと読みにくいが
え?!なんちゅうことを!
とりもちさんってそういう人だったの??
と思ったが文字をなぞってみると…
という、とても優しいことが書いてあり、インクの薄さゆえの読み間違いであった。
あたかも骨折しているかのようにギプスに寄せ書きをもらった結果、書き手にはそれぞれの物語が生まれ、受け手もその物語の一員になれることがわかった。
これがギプスではなくて、バットやボクシンググローブならスポーツ選手の、楽器であればミュージシャンの気分が少しだけ味わえるはずだ。
機会があればまたやってみたい。
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