特集 2023年3月3日

ベトナム・ハノイの夜の路上は昔のインターネットみたいだった

 

路上をどんどん歩いてみよう。

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これはおそらく趣味で着ぐるみを着ている人。
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そしてこちらはおそらくプロのアイドルグループの撮影会。
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さらにこちらは、その隣で大熱唱する100人ぐらいの人だかり。
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そのとなりには、爆音のラジカセを持って近づき、通行人にむりやり自分の歌を聞かせるというジャイアンみたいなメンタルの人がいる。

プロとアマチュアが同じ路上に混在している。

本当に「となり」にプロとアマチュアが並んでいるので、歩いていると、どこまでがプロの商売で、どこからが単なる趣味なのかがわからなくなってくるのだ。

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自慢の猫を見せびらかしている人もいた。「写真を撮ったらお金を取られるのかな?」と思っていたら完全無料で、ただただ本当に猫を見せびらかしたいだけの人だった。

ハノイの路上のアクティビティには、正直なところクオリティが高くないものもたくさん混じっている。だからめちゃくちゃ楽しいのだ。

「お金がないとできないかも」「練習しないと恥ずかしいかも」「自分なんかがやるなんて」という気持ちがまるで湧いてこない。

「自分にもできそう」がそこら中にあふれている。

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交差点では、爆音で社交ダンスが始まった。ダンス教室の練習のようだが、明らかに関係ない部外者もついでに踊っている。

いきなり社交ダンスがはじまったので、せっかくならと私も飛び入り参加した。当然まったく踊れないが、誰も気にしていないので私もまったく気にならない。

周りを見ると、他にも観光客らしき人たちが、社交ダンスに混じってわけのわからないフォークダンスを楽しそうにやっていた。

ダンスをやったことがない人までついつい踊らせてしまう、これがハノイのエネルギーなのだ。

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けっこう年配の人たちが「人前で踊るなんて...」とか一切なく、堂々と通行人にダンスを見せつけてくるのも最高すぎる!!

商業っぽさがないコンテンツがいっしょくたに並べられている様子を見ているうちに、何かに似ているなと思い始めた。

個人サイト全盛期、「お金とか発信力とか関係なく、とりあえずやってみたいからやってみる」ですべてが動いていた昔のインターネットである。

「自由に使っていいところ」を与えられた人たちが、何も考えず、何も目的とせず、ただただその場で思いついたことを楽しんでいる。

それってインターネットじゃないか。ネットって、こういう場所だったんだよな。

自由な遊び場があるだけで、人はこんなにもいろんなことを始められるのだ。自分がインターネットを好きになった理由を思い出して、帰り道で少し泣けた。


私はいろいろあって中南米などを9ヶ月ぐらいバックパックでまわっていたことがあるのだが、ここまで創造力にあふれているストリートはなかった気がする。

 

私が行ったときのハノイは、深夜でも小さな子どもが歩けるぐらい治安がよかった。その治安のよさが、ここまで豊かなストリートカルチャーを生んでるのだろう。

 

時代が変われば、こういうハノイの光景もどんどん変わっていくんだろう。いまのハノイは最高だが、未来のハノイももっと最高であって欲しい。

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