ああ、我ら肝心会
まずは、肝心会のメンバーを紹介しよう。酒飲みのオッサン3人と若者1人、デイリーポータルZの酒好きが集まった。
林雄司
お酒は好きだが二日酔いは嫌い。二日酔いにならないよう、試行錯誤を続けているがしっくりとくる方法がまだ見つからない。
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横山シンスケ
飲み会では最初から最後までビールで通す。今年の目標は飲み会は一次会で帰ること、であるが飲み始めると歯止めが効かなくなりそうで怖い。
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藤原浩一
今年成人式を迎えたばかりのフレッシュ・レバーを持つ。まだまだ肝機能を心配する年齢ではないが、若いうちから肝臓をいたわる気持ちを大事にしたい。
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住正徳
昨年から日本酒のおいしさに目覚めてしまい、肝臓への負担が増しているように思えてならない。肝心会の可能性に期待大。
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以上が肝心会のメンバーである。程度の違いこそあれ、それぞれ自分の肝臓に対して心配を抱えている。今回、色々と試して自分の肝臓をいたわりたい。
肝臓にいい事を調べる
会に先立ち、ネットや書籍を駆使して肝臓にいい食べ物などを調査した。
まずは食べ物について上記の書籍やネットの情報をまとめると、肝臓にはタンパク質、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンCの摂取が重要なのだそうだ。という事は、これらの栄養素を効果的に摂取しながらお酒を飲めばいいのだ。
具体的にはどんな食べ物に肝臓に優しい栄養素が詰まっているのか?
まずタンパク質であるが、動物質(肉や魚、卵)と植物質(豆類)のタンパク質を半分ずつ取るのが効果的らしい。ビタミンAを多く含む食べ物は、うなぎ、レバー、ほうれん草、にんじんなどであるが、にんじんは僕が嫌いなので今回は除外する。更にビタミンBは、豚肉、のり、ごまなどに多く含まれ、ビタミンCはブロッコリー、パセリ、レモンから摂取出来る。
また、肝臓にいい最上の食品とには、「しじみ」があげられるとの事だ。それは僕も知っていた。肝心会のマスト食品といえよう。
逆に肝臓の負担となる食べ物は、ちくわ、かまぼこなどの練り物やインスタント食品だという。ちくわとかかまぼことか、お酒に凄く合うのでいつもつまみにしていたが、今回はグッとがまんしなくてはいけない。
つまみに関しては、以上を踏まえて注文していく事にした。
食べ物以外でも肝臓にいい物も見つけた。下のグッズを使って飲み会中に肝臓をいたわりたい。各グッズの使用方法は、次ページ以降で紹介する。
まずはつまみを注文
事前に仕入れた肝臓に関するにわか知識を引っさげて、都内某所の居酒屋「魚民」にやって来た。別の居酒屋を廻ったが、メニューに「しじみ」がなかったのだ。マストメニューである「しじみ」がなければ肝心会は成立しない。妥協せずに数カ所廻った結果、「魚民」に「しじみ酒蒸し」があった訳だ。しじみだけど酒蒸し。行って来い風ではあるが、しじみだから大丈夫だろう。
もちろん、「しじみの酒蒸し」以外の食べ物も注文する。タンパク質半分半分の法則に基づき、またビタミン群の摂取も見据えて6品の食品に絞った。
お酒はいつも通り中生ビールから始める。ペースもいつも通りでいく。酒の量を抑えて肝臓をいたわる会ではないのだ。
早速、中生ビールが出揃った。いつもならここで乾杯であるが、それはダメなのだ。空腹時はアルコールの吸収スピードが速くなり、肝臓への負担が大きくなってしまうという。
しばしお預け状態でつまみを待つ。
つまみが出揃う前に、肝臓薬「新パンギラス」を投入する事にした。
「新パンギラス」は五反田の有楽街付近で購入した。繁華街の薬局には多くの酒飲みがやって来るので、肝臓薬の品揃えが多いのだ。中でも五反田の薬局がイチ押しで勧めてくれたのが「新パンギラス」であった。
オーダーから5分ほどして、テーブルにつまみが並び始めた。
※()内は肝臓にいいポイント。
まずは動物性、植物性のタンパク質のバランスを考慮して注文した。ほぼ完璧と言えよう。
とにかく、これでようやく一杯目のビールにありつける。
肝臓にいいこと、いろいろやろう
乾杯後は、いつものように飲みながら肝臓にいいことを色々試していく。
まずは肝臓のツボを攻めよう。
「期門(きもん)」と呼ばれるツボを押しながら飲むといいらしいのだ。期門の場所は、乳首から垂直に下がった肋骨の下あたりである。
作家の故・池波正太郎さんもここを押しながらお酒を飲んでいたという。
さらに、「肝臓を暖めながら飲むといい」という話も聞いた。林さんがインターネットで仕入れた情報だ。
ホカロンを「期門」付近に貼る。この辺りが肝臓らしい。
すぐに暖かくなり、凄く守られてる感じがしてくる。
「いわば僕たちにとっての防弾チョッキですね」
林さんがうまい事を言った。でもこの防弾チョッキは、弾から身を守る訳ではなくお酒から肝臓を守るのだ。いずれにしても心強い。
更に、肝臓にいい体操がある。腕振り運動という、手を前後に振るだけの簡単な体操だ。
これを10~20回1セットで2セット行う。
血流が改善され、脂肪肝予防に役立つのだそうだ。周りのお客さんや店員さんにぶつからないよう、注意して腕を振る。ビュンっ!
次は歯ブラシの出番である。
指にある肝臓のツボ、肝穴(手の平側、薬指の第二関節付近)と腎穴(手の平側、小指の第一関節付近)を歯ブラシでこすれというのだ。
ここに至るまで、みんな既にジョッキ2杯を空けている。
手の平の次は手の甲のツボをつまむ。中渚(ちゅうしょ)という肝機能アップを促すツボだ。場所は小指と薬指の間、薬指の骨ぎわのくぼみ付近である。
酒の肴をつまんで、中渚もつまみ肝機能アップをはかる。
腕振り体操2セット目も忘れずに。
酸素を吸いながら飲むといい。
再び林さんがインターネットで入手した情報だ。
正直、色々とやり過ぎて訳が分からなくなってきている。
そしてここまでのそれぞれの酒量は、
1位 横山さん:5杯
2位 林さん:4杯
3位 住:3杯
3位 藤原さん:3杯
となっていて、みんな酔い始めている。
特に僕は腕振り体操をやり過ぎて、いつもよりも酔いのまわりが速いような気がしている。
策に溺れているのか?
溺れているのか?
今日は特別
横山さんが6杯目のジョッキに口をつけた頃、僕は前出の書籍「肝機能をぐんぐん高める100のコツ」でショッキングな情報を見つけてしまう。
肝臓が一晩で分解出来るアルコールの量は、ビール大瓶で2本くらいらしいのだ。
「ってことは、横山さんの肝臓は3日先まで予約でいっぱいな訳だ!」
また林さんがうまい事を言った。
「何かもう、好きなものとか食べたいですね」
うまい事を言った後に、林さんがそう続ける。
分解出来るアルコールの量を知り、それまで張りつめていたものが一気に緩んでしまったようだ。
「まあ、今日は特別って事で」
「まぐろが良いって、遠い親戚が言ってましたし」
などといい加減な意見が飛び交うようになり、肝心会はいつもの飲み会へと堕落していく。「今日は特別」。典型的な酒飲みの言い訳である。
酔っぱらいながらも何とか肝臓を気遣ってる風ではあったが、
深夜2時。すっかり酒に飲まれてしまいました。
この日の酒量
・中生ビール 31杯
・黒霧島 5杯
以上
そこまでしても、飲みたいのだ
肝心会の前日、僕と林さんはお酒を抜いていた。1日抜いた方が、沢山飲めるからだ。万全の体調で沢山お酒を飲んで、尚かつ肝臓も元気。そうなる事を期待した肝心会であったが、案の定飲み過ぎて具合が悪くなった。
食事に気を遣ったり、ツボを押したり、どれだけ肝臓をいたわっても結局酒の量が肝臓のキャパを越えたら意味がないのだ。
と、そんな風に言ってしまうのは簡単だ。
でも、僕たちはあきらめない。おいしく楽しくお酒を飲みつつ、肝臓も健康。そんな状態を追求するため、これからもお酒を飲み続けるだろう。
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