特集 2023年1月5日

おせちじゃなくてもだいたいの料理は縁起物

おせちに使われている具材はどれも縁起物としての意味が込められているという。海老は背中が丸くなるまで長生きできるように、れんこんは穴が空いているから先々を見通せるように......。

しかし、考えてみれば海老やれんこんなどは普通の料理にだって登場する。

ひょっとしておせちじゃなくても、だいたいの料理は縁起物で出来てるんじゃないか?

1993年群馬生まれ、神奈川在住。会社員です。辛いものが好きですが、おなかが弱いので食べた後大抵ぐったりします。好きな調味料は花椒。

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おせちの具材の意味はわりとざっくりしている

おせちの具材の意味について調べてみたところ、どうやら具材ごとにバリエーションや地域差がありつつもだいたい次のような感じで確認できた。

スクリーンショット 2022-12-26 0.24.23.png
子孫繁栄や文化の発展など、未来に繋がる意味づけがなされているものが多い

しかし、調べている内にふと次の3点が気にかかってきた。1つは「具材の縛りがゆるい」ことだ。

黒豆は「『まめ』に働き」とあるが、「まめ」にちなんでいるなら他の豆でもいいのではないか

もう1つは「願いが重複していてもいい」こと。

数の子と昆布巻きは「子孫繁栄」が重複している。子孫繁栄が繁栄している

そして最後の1つは「理由づけは割とこじつけでもいい」ことである。

「昆布巻きの『昆布』は『子生』と書けるから子孫繁栄」。それは親の目を見て言えますか

このくらい自由度が高いのならば、もしかして今までそう捉えていなかっただけでおせち以外の食べ物も縁起物で構成されているのではないか。

そう思ったのでいくつかの料理について私なりに分析をしてみた。

そして編集部の石川さんに発表をした。ここまでスライドみたいな画像だったのはスライドだったからである。プレゼンをしたのだ

りばすと:
本日はよろしくお願いします。

石川:
よろしくお願いします。

鯛めしはだいたい縁起物

初めに私が用意したのは鯛めしである。当然鯛は縁起物なので、まずはイージーモードといったところだ。

こちらが今回判定する鯛めし。おいしかったです

小鉢や味噌汁などを含めると、鯛めしは次のような具材で構成されている。

ここからはみなさんも私のプレゼンを聞いているつもりで読み進めてください

りばすと:
まず「鯛の刺身」と「紅白そぼろ」は縁起物です。鯛はめで「鯛」ですし、紅白そぼろも紅白なのでめでたいですよね。 

これは流石に説明不要のめでたさである

石川:
これはいけますね。

りばすと:
次に「生卵(玉子)」と「こんにゃく」です。これらはそれぞれおせちにも「錦糸卵」「手綱こんにゃく」として存在します。おせちの具材にも用いられているので縁起物ですね。

石川:
なるほど。ちなみにこんにゃくはどういう意味なんですか?

りばすと:
どういう意味だったかな......

やばい。早くも回答に詰まってしまった。

「なんだったけな」会社の会議とかで急に鋭い質問をされてどきりとする感覚が私を襲う

調べてみると「手綱こんにゃく」はこんにゃくを手綱に見立てることで、自分を律しようといった旨の意味合いであった。一方鯛めしに使われているこんにゃくは手綱ではなく糸状である。厳密にはちょっとちがう。まずい。

「こんにゃくの意味小難しいな〜」と意味に注意が向いている石川さん。ひょっとして...いけるのか?

りばすと:
鯛めしに使われているこんにゃくも糸状だったので大丈夫です。

石川:
これも消えますね。

断言したら飲み込んでもらえた。人生、自信ありげに断言することが重要な時も結構ある。

残りはこれだけ

りばすと:
明らかな縁起物もおせちの具材もなくなりましたが、次の2つは縁起物と考えています。

「わかめ」と「白米」である

石川:
「わかめ」は神へのお供え物として使われるんですね。事実があるなら疑いようがない。

りばすと:
そうです。あと白米は紅白の白なので縁起物です。

早くも本日2回目の断言である
「それはちょっと待ってください」

だめだったか。そうだよな。 

「『紅白』って両方揃って初めてめでたいんじゃないんですか」あまりにも正論である

だが、これには一応私なりの根拠がある。

りばすと:
おせちの具材を調べた際に、「にんじんは赤い色だからめでたい」っていう言説があったんです。「紅白」が縁起がよくて、「赤」も縁起がいい。ということは残りの「白」も縁起がいいということですよね

石川:
なるほど......!これは認めざるを得ないですね。

よかった。ここは流石に突っ込まれる気がしたので事前に回答を用意しておいたのだ。ビジネススキルの勝利である。

ということで具材の半数以上が縁起物だったので、鯛めしはけっこうな縁起物であった
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お弁当は縁起物だし、実質おせち

続いては色んな具材の入っている幕の内弁当である。

塩麹焼き鮭の彩り幕の内弁当(712円)。おいしかったです

まずは鯛めし同様おせちの具材と被っているものを消していく。

玉子、筑前煮、エビ(フライ)、きんぴらごぼうと4品目もおせちとかぶっている

石川:
考えてみればお弁当とおせちって似ていますよね。これだけで食事を済ませようというコンセプトのもと、色んな食べ物がバランスよく詰め込まれている。

確かに。すでに実質おせちである。

もうこんなに消えちゃった

さらに「魚類は子沢山なので子孫繁栄」、「白米の白は『紅白』の白」という今までに出てきたロジックで鮭と白米が消える。

白米の白は紅白の白、今日はこれを覚えて帰ってください
残りは「天ぷら」「唐揚げ」「シュウマイ」「さつまいも」、そして「つけもの」の5品

りばすと:
そして残りの5品ですが、これらは私独自の解釈により全て縁起物と考えています。

りばすと:
まず「天ぷら」は「天」という漢字が大安よりも縁起のよい「天赦日」を表しています。

石川:
天赦日は知らなかったけど、確かに「天」という漢字は縁起いい感じがしますよね。

りばすと:
続いて唐揚げ。これは「上げ」と字を当てると運気の向上を表すので縁起がいいです。

石川:
あー。まあそうですね。「あげ」ですもんね。

「まあそうですねー」一応認めてもらえているものの、かなり綱渡りの状態であることが表情から伺える

りばすと:
次にシュウマイ。これは肉を皮で包んでいるわけですが、「福を包む」と捉えることができるので縁起がいいです。確か韓国では包むこと自体がそういった理由で縁起のいいものとされています。

石川:
へー。でもそれを言ったら「不幸を包む」とも言えますよね。縁起がいいのは「包む」方ではなく「福」の方では?

あまりにも鋭い指摘である

りばすと:
まあ、実際に包むことが縁起がいいということに関しては実際に言われているのでそれでなんとか......。

石川:
受け入れるしかないですね。

危ない。かなり危なかった。

りばすと:
そして「さつまいも」。これは黄色なので金運を表しています。縁起物です。

石川:
風水とかでも言いますよね。

りばすと:
最後に「つけもの」。これは漬けるという時間を経ることによって旨味を増すということから、転じて我慢強く、人間味のある成長を祈願しています。縁起物ですね。

石川:
これはだいぶオリジナリティがありますね......

その気持ちはとても分かる。なぜならつけものの意味だけは想像のみで作ったからだ。

自信のなさが文字数にも現れている

石川:
まあ、一個くらいこれくらいのこじつけでもいいでしょう!

よかった。これにて幕の内弁当は完全に縁起物であり、おせちと同様であるということが証明された。

具材が全て縁起物の食べ物はおせち以外にもあったんだ

石川:
これ弁当箱も赤いですね。ご飯と合わせて紅白なのかもしれない。

りばすと:
本当だ!絶対そうです。

そういうことでいきましょう
そういうことになりました
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カレーも当然縁起物

鯛めし、幕の内弁当と見てきたが、どちらも結構な縁起物であった。もう少し攻めてみてもよいかもしれない。

そこでカレーである。

先日外で食べてきたカレー。おいしかったです
こちらが具材

卵と白米は既に出ており、またにんじんもおせちの具材であるので消していく。

意外とあとちょっとだ

りばすと:
カレールー以外はいけました。豚肉は「トントン」拍子に物事が進むので縁起がいいです。

石川:
これは綺麗だな。

りばすと:
「しめじ」は「締めじ(否定形)」と当てられるので、締めない、つまり末広がりを意味していて縁起がいいです。

石川:
テクニカルだ。永遠性があるということですね。

りばすと:
そして「じゃがいも」。これは難しかったんですけど、ナス科なので事を「為す」ので縁起がいいです。

「え〜〜!?ナス科!?」

りばすと:
これは湖池屋のプレスリリースに書いてありまして......

石川:
分類まで遡るのはアリなんですかね......!?茄子が事を「為す」で縁起がいいなら分かるんですけど。

石川:
あとおせちって歴史的文献から存在するわけじゃないですか。湖池屋は今の会社だから文献とするのはなあ。

りばすと:
でも湖池屋も結構(創業から)長いと思いますよ

石川:
そういう言い訳あるんだ。まあ、一個ですし、文献があるならいいか......。

よかった。と言いたいところだが、後でそのプレスリリースを見直したところ「ナス科だからじゃがいもも縁起がいい」とは書かれていなかった。すいませんでした。

石川さんの言う通り茄子の縁起がいいという話だった(画像参照:https://koikeya.co.jp/news/detail/884.html)

ということで茄子の是非はともかく、カレーもほとんどは縁起物という着地であった。

これからは正月におせちがなかったらカレーを食べれば大丈夫です

やはりおせちの考え方を流用するとだいたいの食べ物は縁起物であった。今日はそういうことでよろしくお願いします。 

 

追記:
そんなことを年末に考えていたのだが、年が明けてみて私は驚いた。

なんと天下の日清さんも全く同じことを考えていたのだ。

これに関してネタがかぶったとか、先を越されたとか、そういった見方もあるだろう。

しかし、説の提唱者は多ければ多いほどいい。私はそういった気持ちでいる。強い心で。


いっそ食べ物じゃなくてもいけるんじゃないか

言ってみれば食べるという行為自体が「豊穣」を表している。食べられるということ、それ自体が幸せであり縁起の良いことなのだ。そう思うと食べ物は当然縁起の良いものである。

それくらい論理を飛躍させると、いっそ食べ物じゃなくても万物を縁起物として捉えられる気がしてきた。ASEAN加盟国とか。

確認したところやはりASEANも縁起物であった
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