④友達できるか不安だな
シャイな元高校生には、お祝いの意味も込めてちょっと豪華に。
吉田社長「まずはクラスメイトとお近づきにならないといけない。多くの人とお友達になりたいとのことなので箱買いを。誰でも好きなカルパスとうまい棒でまずは集客を……じゃなくて、寄せ付けて、ですね。」
――ビジネスでも大事。最初の掴みですね。
吉田社長「そして、3粒のうち1粒だけすっぱいのが入ってるそのまんまガム。これでゲームをしつつ親しくなってもらってですね、徐々に様子を見ながら、このパロディ系アイテムを投入するわけです。」
――正論丸を。
――はじめましてから友人関係を築くまでの流れが見事に駄菓子で再現できていますね。素晴らしいです。
吉田社長「背伸びはせずに頑張ってほしいですね。無理はしないで。これでダメなら無理だなって諦めも肝心ですね。別の方法を考えましょう。」
――あれ、なんだろう涙が。これわたしにあげたいな。学生アパートの一室で、デリバリーピザを食べながらエヴァばかり観ていたあの頃の自分に……。
⑤若者に自分語りばかりしてしまう
仕事柄、取材などで幅広い年代とお話をする機会がある。
どの年代の方でも、お話しするときは相手を尊重するよう心掛けているつもりなのだが、特に10代~20代の人に対しては、打ち解けてしまうとついつい相手のリアクションが見たくて“30代ネタ”を披露してしまうことがある。例えば、「電話のベル」って今ドキの子(この言い回しがすでに30代オーバーのネタだ)は通じないよね~みたいな話である。
そこで「えっ、なんですかそれ!詳しく!」と、こちらが思わず嬉しくなる返しをされてしまうと、どんどん語ってしまいそうになるのだ。そんな自分にブレーキをかけたくなるの、わかるわかる。
……いや、架空の人物の人生相談になぜウンウンうなずいているんだわたしは。
そんな「あちゃ~」な人への吉田社長の優しいメッセージがこちらである。
吉田社長「『あぁ、また私やっちゃった』って落ち込んでる感じですね?それなら甘いものでも食べて、落ち着いて丸くなってもらいましょう。」
――優しい。
吉田社長「50代の方でしたら『黒棒』をお茶菓子にゆったりとね。」
吉田社長「きっと普段は買わないであろう綿菓子も。子どもの時ぐらいじゃないですか多分。綿菓子食べるの。セレナータはギリシャのお菓子でキットカットみたいなやつ。うまい棒でおなじみのやおきんさんが取り扱ってる商品なんですけどね。」
――ブラックサンダーも小さいのにどっしりスイーツですよね。あとチューキャン、わたしも好きなんですよ。ソーダ味もブドウ味も。食感がふにふにしてるので、うちの子どもたちにも人気です。
吉田社長「5つのうち、セレナータとブラックサンダー、チューキャンはうちの家内が好きなものです。50代目線ということで。」
――なんですかそれ。めちゃくちゃご婦人への愛を感じるセレクトじゃないですか!いい話だ!
吉田社長「自分を卑屈に、イヤにならずに、甘いものでも食べて、幸せを…ふふふ…感じてください。」
――言いながら笑いが出るほど率直過ぎるメッセージ。
吉田社長「私と近い世代なので何とも言いようがありませんが、『こいでも食べとけ!』って感じやけど。」
――笑顔で「こいでも食べとけ!」って同年代から差し入れされる駄菓子、心揺さぶられるなぁ。駄菓子セラピー、できますねこれは。うれしくっておいしいって最高じゃないですか。
吉田社長「喜んでいただけるとこっちもうれしいよね。詰め合わせって、ご覧いただけると分かるんだけど、配置とか何気にテクニックが要るんですよ。」
――いかに駄菓子の魅力を引き出すか、もらう人が喜んでくれるか。そんな気持ちも詰まっていると考えると、詰め合わせってお値段以上の価値があるなぁ。
「駄菓子セラピー」、ぜひやってみてください
これは駄菓子セラピーだ。
社長もおっしゃっていたが、駄菓子を本格的なギフトにしたことはない。
あくまで“ささやか”の域を越えないのだが、それでもやはりちょっとした人間関係のスキマを埋めてくれる、または潤滑油のような役割を果たしてくれるものだと再確認した。
自分用に買うのももちろん良いけれど、ちょっと元気を出してほしい人のことを思いながら選ぶのもきっと楽しいです。
お忙しい中取材にご協力いただきました有限会社吉田玩具店の吉田一臣社長、スタッフの皆様、誠に有難うございました。
もしわたしが誰かから人生相談を受けたら、人生相談の相談に伺うので、またぴったりな駄菓子を選んでほしいです。
【取材協力】
吉田玩具店
佐世保市山県町1-2