宣言するだけは自由
領有宣言、口先で宣言するだけなら自由なので、みなさんどんどんごおやりになったらいいのではないかと思います。
以上です。
参考文献
井上ひさし『吉里吉里人』新潮社
尾崎哲夫『世界一わかりやすい国際法入門』ダイヤモンド社
ビルタウィールには、人は住んでいるのでしょうか? とても気になります。ここで、Google Mapを使って、舐め回すように空から観察してみましょう。
西端の部分、見事なまでの砂漠です。火星の表面といった趣があります。人は住んでいる気配はありません。
1902年の境界線でいうところのスーダン国境付近です。これは一体何でしょう? ブルドーザー? かなにかで整地したような、人工的な痕跡があります。
ここも、1902年の境界線でいうところのスーダン国境付近ですが、車の轍のようなものがいくつも見えます。人の往来はあるようです。
北側の1899年の境界線の真ん中あたりに、何らかの小屋を発見しました。国境監視所でしょうか?
人が住んでいそうな集落を発見しました! GoogleMapのピンには「キャンプ場」とあり、口コミが2件。そのうち一つが無言ですが、もう一つは「飲み水が高い(مياه الشرب غالية)」とだけ書いてあり、評価は星1つとなっています。
先程のキャンプ場の北側には集落と思しき建物が見えます。どうやら、住人がいるのではないでしょうか。実は、ビルタウィールは実質的にはエジプトが管理を行なっているようですが、公式な人口調査などはエジプトもスーダンも行なっていないでしょう。
Google Mapの「Bir Tawil」のピンです。クチコミは11件あります。クチコミを見ると、勝手に領有宣言を行なっている人たちがたくさんいます。このクチコミで表明された国名だけでも、南イスラエル王国、ビル・タウィル民主共和国、アベンティアム連邦、ラオ・タウィルの独裁国家、オハイオ2……などの名前が見えます。
実は、数年前まではもっとクチコミの多い「Bir Tawil」のピンがあったはずで、そのときもかなりの人が勝手に領有宣言を行なっていました。ですが、どうもそのピンは削除され、新しく作り直されているようです。
領有宣言をネット上で勝手に行うのは誰でもできますが、実際に現地に行って領有宣言をする人もいました。2014年、娘の「プリンセスになりたい」という夢を叶えるため、ジェレマイア・ヒートン氏が現地に赴き、「北スーダン王国」の樹立を宣言した事がニュースとなっています。(「プリンセス夢見る娘のため、米男性がアフリカで「王国樹立」」AFP2014年7月29日)
アラビア語版のウィキペディアをみると、周辺の住民によって、ビルタウィールに「バーランド」という独立国家を作る動きもあるようです。
国際法において、国家の成立要件というものがあります。1933年のモンテビデオ条約の第1条では①永続的住人、②明確な領域、③政府の支配、④他国と外交を取り結ぶ能力の4つが必要と言われています。
北スーダン王国の場合、上記条件のうち、②がかろうじて満たせるのみで、国際法的には国家といい難いところではあります。あたりまえですが。
いっぽうバーランドの場合、①、②はすでに満たしていることになるので、残りの③、④あたりをしっかり作ることができるのか、ということになりそうです。
領有宣言、口先で宣言するだけなら自由なので、みなさんどんどんごおやりになったらいいのではないかと思います。
以上です。
参考文献
井上ひさし『吉里吉里人』新潮社
尾崎哲夫『世界一わかりやすい国際法入門』ダイヤモンド社
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