弱くてもいい
結局ビールはバーコードバトラーという新たなる基準を用いても、スピリタスという強い酒に勝つことは出来なかった。
だが、ビールが弱くて何か問題があるだろうか?
無いのである。弱くても、うまければ、それでいいぢゃないか。
年末年始にビールが飲めれば、それでいいぢゃないか。
12月25日の朝、起きたら枕元には僕にとって懐かしのおもちゃ、バーコードバトラーが置いてあった。
何故そこにあるかというと、僕が前もってネットオークションで買っておき、24日の夜にそこに置いて寝たから。今年のサンタは自作自演。
それはいい。
久しぶりに手にして遊んでみて、そういえばあの時は入手できなかったバーコードがあったことを思い出したので、成人した今その願いをかなえたいと思う。
※2006年12月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
バーコードバトラーは1991年にエポック社から発売された液晶ゲームで、市販の商品についているバーコードを読み込ませることで生命力、攻撃力、防御力を持ったキャラクターや、強化アイテムを作り、1対1で戦わせて遊ぶものだ。ムシキングの祖先みたいなものだろうか。
ちょっと実際に遊んでみよう。
まず適当に見つけてきた市販の商品から、バーコードを切り取る。
ぺらぺらなままでは読み込ませることができないので、これまた適当な厚紙やらカード的なものに貼り付けておく。出来上がったカードをバーコードバトラーに読ませると…
こんな風に各パラメータが表示される。現れてくるキャラクターの能力はバーコードごとに異なっていて、現役で遊んでいた当時は「あれが強い」「これが強い」と情報を交換しあったり、そういう情報を得れば商品をかったりしていたわけだ。バーコードからキャラクターを作り出すというのは、今考えても優れたアイデアである。
さてさて今回はこれを使って、現役当時にバーコードを手に入れることができなかったもの、つまりお酒の類の強さを調べてみようと思ったわけだ。
ところで一般的に酒の強さというのはアルコール度数のことを言う。度数が高ければ強い酒というわけ。例えばウォッカなどを強い酒とすると、ビールは弱い酒なのだ。おかしい。ウォッカなんてまともに飲んだことないけど、僕らのビールが弱いなんておかしいじゃないか。
というわけで、ビール各種でトーナメントをして、後で(アルコール度数が)強い酒と勝負させようという試み。
以下、今回買ってきたビールの集合写真。近所の酒屋で売っていた精鋭たちである。
ラインナップは…
アサヒ スーパードライ | コシヒカリ越後ドライ | ドラフトギネス |
ヴァイツェン | サッポロ黒ラベル | ハイネケン |
キリン ブラウマイスター | サントリープレミアムモルツ | バスペールエール |
キリン 一番絞り | サントリーモルツ | バドワイザー |
キリン 黒生 | シュトライトベルクビアー | レーベンブロイ |
銀河高原ビール | タイガービール | ヱビス |
クアーズ オリジナル | 青島ビール | ヱビス<黒> |
まずは予選。強い酒の称号を得るためには、まずバーコードがキャラクターのデータでなければならない。強化アイテムのデータだと単体として戦えないので、強さを測定することができない。
缶のままではバーコードを読み取れないので、まずバーコードをフリーのソフトで印刷する。それを厚紙に貼り付けてカード状にしていく。ぺたぺた。
できたカードを順番に読み取った結果、残念ながら予選落ちしてしまったのがこちら。半分以上予選落ちである。
ヴァイツェン | コシヒカリ越後ドライ | ドラフトギネス |
キリン ブラウマイスター | サッポロ黒ラベル | バスペールエール |
キリン 一番絞り | サントリーモルツ | ヱビス |
クアーズ オリジナル | シュトライトベルクビアー | ヱビス<黒> |
ところで、全て読み取ってから気がついたのだが、これ、バーコードの末尾が5~9の場合は必ずアイテムになる。そういえばそうだった気がする。ネットで調べたらバーコードの読み方が簡単にわかってしまうと思って、あえて調べなかったが、半分以上予選落ちするなんて結果になるのだったら、チラ見くらいしておくのであった…。
予選を勝ち抜いた天下一ビール会の選手は以下の通り。
ただのビールなので並べられたところで、はあそうですかという感じだと思う。アルコール度数もほとんど変わらないので、これまでの価値観ではここに集う猛者たちの強さの差などわからないはずだ。
しかし以下の表を見てほしい。
生命力 | 攻撃力 | 守備力 | |
アサヒ スーパードライ | 7600 | 4100 | 800 |
キリン 黒生 | 8900 | 5400 | 6800 |
銀河高原ビール | 10600 | 7100 | 3700 |
サントリー プレミアムモルツ | 31500 | 8000 | 2700 |
タイガービール | 800 | 6400 | 2800 |
青島ビール | 300 | 7800 | 300 |
ハイネケン | 7000 | 4500 | 7000 |
バドワイザー | 8700 | 5200 | 4000 |
レーベンブロイ | 5400 | 2900 | 1900 |
各種ビール、能力にかなりばらつきがあることがわかる。隠された強さが今明らかになったのだ。
中でも、サントリープレミアムモルツの圧倒的な強さに注目してほしい。生命力31500、攻撃力8000という他を寄せ付けない圧倒的な数値が、守備力の数値2800の微妙な弱さをカバーしている。
実際に、サントリープレミアムモルツで勝ち抜き戦を始めたら、ストレートで優勝した。何度か危うい場面はあったものの、31500という高い生命力が相手の攻撃を耐え抜き、次の反撃のターンでとどめをさす、というパターンを繰り返すことができた。
今ここでサントリープレミアムモルツが、「一番強いビール」という称号を得たのである。おめでとうございます。ありがとうございます。
だが、話はここで終わりではない。
最も強いビールが、最も強いとされてきた酒に挑戦するときがやってきた。極めろ、道!
相手は酒類最強のアルコール度数を誇る王者スピリタス。その数値は96度。角度だったら絶壁で、お湯の温度だったらほぼ沸騰、お百度参りまであと四度。すごい。
ビールの中のビール、プレミアムモルツが今「強い酒」の称号を奪うために、王者スピリタスに挑む。
それぞれのスペックはほぼ互角・・・に見せかけてプレミアムモルツの方が守備力が圧倒的に弱い…。果たして勝負の行方は!!!
生命力 | 攻撃力 | 守備力 | |
プレミアムモルツ | 31500 | 8000 | 2700 |
スピリタス | 31100 | 8600 | 8700 |
サントリープレミアムモルツ | スピリタス |
31500 | 31100 |
先行、スピリタスの攻撃!
会心の一撃!
21000のダメージ!
サントリープレミアムモルツ | スピリタス |
10500 | 31100 |
後攻、プレミアムモルツは生命力を回復!
生命力6300アップ!
サントリープレミアムモルツ | スピリタス |
31500 | 31100 |
続いて、スピリタスの攻撃!
ミス!
サントリープレミアムモルツ | スピリタス |
16800 | 31100 |
プレミアムモルツの攻撃!
7200のダメージ!
しかし、スピリタスの反撃!
13000のダメージ!
サントリープレミアムモルツ | スピリタス |
3800 | 23900 |
さらに、プレミアムモルツの攻撃!
5100のダメージ!
サントリープレミアムモルツ | スピリタス |
3800 | 18800 |
スピリタスのの攻撃!
サントリープレミアムモルツ | スピリタス |
0 | 18800 |
会心の一撃!
30800のダメージ!
プレミアムモルツは力尽きた…。
結局ビールはバーコードバトラーという新たなる基準を用いても、スピリタスという強い酒に勝つことは出来なかった。
だが、ビールが弱くて何か問題があるだろうか?
無いのである。弱くても、うまければ、それでいいぢゃないか。
年末年始にビールが飲めれば、それでいいぢゃないか。
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