1ヶ月ぶりの日本
しばらく言葉が通じない生活をしていたので、日本に帰って来た瞬間、電車のアナウンスが聞き取れるだけでも異様な感動があった。無意識に言語を聞き取れるって、私天才なんじゃないか。
久々に会う近所の人には、「……生きてたんだ!!」と言われた。
言葉が通じるだけでうれしくて、近所の人と結構長めに立ち話してしまう日々が続いたのだった。
旅も終盤にさしかかり、最後の国、ポーランドのクラクフにやってきた。
ちなみに私はここでピエロギの靴下を買った。ピエロギとは、ポーランドの伝統料理である。肉や野菜、チーズなどの具材を小麦粉の生地で包んだ、水餃子みたいな料理だ。おいしすぎて、こっちにいる間頻繁に食べに行った。
ポーランドに移動すると、まず最初にマリオの電動キックボード集団に遭遇した。
他にもあまり上手じゃないハーモニカの路上パフォーマーがいたり、「何やっても許される感」が街中にあふれている感じがした。
街を歩いているだけでも、「ハロー!」とか「名前は?」とか声をかけてくれて、ウェルカム感がすごかった。
結構英語が通じない人もいて、その場合は「イェーイ!」と言ってハイタッチしたり、ちょっと踊ったりした。言語が生まれる前のコミュニケーションってこんな感じかもな……と思った。
日本では、結構怖がって泣いちゃう子もいるのだが、ヨーロッパに来てからは一度も泣いている子に遭遇しなかった。
お人形のおもちゃがあまりかわいくないものが多いので、感覚が違うのだろうか……、とも思った。
遠くから猛ダッシュしてきて、いきなりハグしてくれたお姉さんもいた。
海外に来たらやりたかったことがある。南京玉すだれだ。
私の特技なので、ずっとやるタイミングを伺っていたが、ドイツ、チェコでは路上パフォーマンスをしている人が少なかったので、なかなか勇気が出なかった。でも、ポーランドだったら出来る気がする!
せっかく持って来たし、最後に披露してから日本に帰ろう!!
ちなみに、なぜ日が落ちた薄暗い中でやっているかというと、起きたのが夕方だったからだ。妖怪としては規則正しい生活と言える。
技が決まったら英語でフリップを出そうと、スケッチブックに英語を書いて持って来ていたが、両手がふさがっているのに、フリップを出すのが不可能とやり始めてから気づいた。しょうがないので「フィッシュ!!」とか単語だけ言うことにした。
伝わっているのかは不明だが、数人動画をとっている人がいる。
思ったより路上パフォーマンスをしている人が少なかったけど、勇気を出してやってみたら、皆あたたかい目で見守ってくれた。
こうして海外で南京玉すだれをする夢がかなったのだった。
しばらく言葉が通じない生活をしていたので、日本に帰って来た瞬間、電車のアナウンスが聞き取れるだけでも異様な感動があった。無意識に言語を聞き取れるって、私天才なんじゃないか。
久々に会う近所の人には、「……生きてたんだ!!」と言われた。
言葉が通じるだけでうれしくて、近所の人と結構長めに立ち話してしまう日々が続いたのだった。
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