ニュージーランド人にとって裸足で外を歩くのは当たり前
お店の中でも、こんな割としっかりしたシャツにズボンに、裸足。
なぜ裸足で歩くのか聞いてみると、「サンダルを履いて家を出たんだけど、運転すると危ないでしょ? だから脱いで運転してきたんだけど、降りるときに履くのめんどくさくてそのまま裸足で」と話してくれました。
彼にとってサンダルとは何なんだろう。
私がニュージーランドに来た当初、はじめて裸足で歩く人を見た場所はビーチ。
そのため疑問にも思わなかったのですが、それからしばらく過ごすうちに、さきほどの彼のようにスーパーなどのお店に来るお客さんや、なんでもない道で犬の散歩をしている人など、ニュージーランドのいたるところで裸足で歩く人を見かけるようになり、最初は違和感がすごかったものの徐々に当たり前の光景になっていきました。
しかし、やっぱり、どう考えてもおかしな話。そもそもどうして裸足なんだ?
NZ人の友人に聞いてみた、みんなどうして裸足なの?
そこで現地在住の友人たちに聞いてみることにしてみました。
子どもの頃からずっと裸足! 体育の授業で慣れてきた
ニュージーランドの学校の多くには、グラウンドに芝生が植えられ、日本のような土や砂ではないことがほとんど。そんな環境であれば、体育の授業では裸足ということも当たり前なのかもしれません。
また、学校の外であっても、ニュージーランドの多くの歩道はとても綺麗な上に、毒性のある危険生物もいないため、裸足で歩いていても怪我をしにくいんですね。
他国の人の目にはどう映る? アイルランドは裸足で歩きたくても歩けない
では、他国出身の人はその習慣を見てどう思ったんだろうか? マレーシア出身、在住13年目のジョールに聞いてみよう。
アイルランド出身のマークとイングランドに長くいたホリーは、「ニュージーランドの道路は綺麗だからできるけど、ほかの国ではそもそも裸足で歩ける環境ではない」とのこと。それにしても、アイルランドはビールが破片だらけってところは、ギネスビールの国らしいというか(笑)。
一方で、ジョールのように子どもの頃にその習慣を見ると、「裸足で歩けるのはカッコいい」「靴を履くのは面倒くさいから最高」だと感じる様子。ただ、後日、職場のカナダ人の女性に聞くと、「最初は『靴を履くお金がないのかな』って正直思ったよ」と言っており、初めて見たときに「貧乏」とイメージしてしまう人もいるらしい。
裸足こそが自然体! 「むしろ靴の存在がなんなんだ」で満場一致!
みんな「ん〜、なんでって……」
なぜ裸足? はナンセンス! だってそう育ったんだから
道路が綺麗だから、裸足で遊び裸足で学校に行き、裸足で芝生のグラウンドにて体育の授業を受け、裸足でビーチに向かって、裸足のままスーパーで買い物。ニュージーランド人は裸足が当たり前すぎる環境でみんな大人になる。
それに加えて、ニュージーランド人の国民性は、「基本的に能天気(Laid back)な性格で、他人の見てくれを対して気にしない」といわれます。たとえば、季節に関係なく短パン半袖で歩いている人の隣に、ファーコート姿の人がいることもしょっちゅうだし、ノーメイクで歩いている女性は日本より圧倒的に多く、オフィスで短パンも当たり前。このように見た目を気にしないからこそ裸足でいられるという背景も大きいようです。
これは隣国のオーストラリアでも共通する特徴であり、「メルセデス・ベンツから降りてきた婦人が裸足だった」とか、「パーティ帰りのドレスアップした女性たちがヒールを持って裸足で歩く姿をよく見かける」など、いろんなエピソードを聞くことができました。
また、ニュージーランドの先住民族であるマオリの文化では、裸足で出かけるということは「自然と繋がる」ことを意味し、Maraeというマオリにとって神聖な場所である集会場で靴を履くということは、彼らにとって冒涜的な行為であると言われています。
今回、話を聞いた彼らは20代ばかりだったので、一方で30〜50代の人にも聞いてみましたが、揃って「文化的に、習慣的にそれが当たり前だからじゃない?」と、いかに裸足でいることが当たり前なのかということがわかりました。その自然さはもしかしたら、先住民であるマオリの文化が形を変えて影響を与えつづけているということなのかもしれません。
日本で地元のコンビニへ裸足で行ったら怒られた
当初は「なんで裸足で……」が率直な感想だったけど、近くの海へよく行って、面倒なので私も裸足のまま帰ることも増えていき、夏はスーパーのひんやりとした感じが気持ちよく、それが当たり前になっていきました。
帰国中に家の前にあるコンビニに裸足で行ったときは、さすがに母親から「恥ずかしい」と言われてしまいましたが……。みなさんもぜひ、ニュージーランドに来たら裸足で歩いて自然を感じてみてはいかがでしょうか。