まだコレクションといえるほどたくさんは集まっていないのだが、上の写真はひとまずこれまでの戦利品である
水ひとつにこだわれる会社はいい会社
イケてるIT企業やスタートアップはロゴにしっかりお金をかけていたり、アートディレクションに力を入れていたりするものだ。水ひとつにも抜かりない。
そういう会社はたぶん福利厚生とかもしっかりしている。ビュッフェ形式の社食があるイメージである。
こちらはリブセンスの水、すなわちリブセン水
リブセンス
これなんて、凄くかっこいい。求人情報サービスなどを手掛けるリブセンスの水である。ラベルだけでなくボトルの形状にもこだわったタイプで、市販の水よりシュっとしている。
こんなに水がスタイリッシュだと、打ち合わせでもシャープな意見が言えそうだ。
デイリーポータルZの古巣、ニフティ
ニフティ
当サイトの元運営母体、ニフティにもIT水はあった。
側面に「NIFTY 30th Anniversary」の文字があるので、おそらく2016年に同社が30周年を迎えた際に作られたものだろう。花火や桜、紅葉、雪の結晶などをあしらったブルー地に「@nifty」のロゴ。こちらもしっかりデザインされている。
ヤフー
ヤフー
ヤフー水。ポータルサイトYahoo! JPANのサービスのアイコンがルイ・ヴィトンっぽくちりばめられている。ルイ・ヴィトンをよく知らないが、確か母がこんなバッグを持っていた。とてもかわいい。
華やかなので、金屏風風のバックによく映える。
freee
freee
クラウド会計ソフトfreeeを展開するfreeeの水には、同社のシンボルであるツバメのロゴがでかくあしらわれている。なお、同社のウェブサイトによれば、
「ツバメは水平飛行では世界で最も速く飛ぶ鳥であり、freee は、ツバメが空を舞うように、スモールビジネスに携わるすべての人をバックオフィスの業務から世界一速く解放するという想いをこのツバメのロゴに込めています」
とのこと。
これだけ存在感があると「なぜツバメなんですか?」と聞く人も多いだろう。そこですかさず上記のトークを繰り出せば、会社の理念を嫌味なくアピールできるし、商談前のアイドリングトークの糸口にもなるというわけだ。たまに名刺にキャッチコピーなんかを書いている人がいるが、それよりスマートだ。
サイバーエージェント
サイバーエージェント
サイバーエージェントの水は、看板サービスの名を冠した「Ameba Water」だ。約10年前と、早い段階からオリジナルボトルを作っていた同社。IT水コレクターの僕としては絶対に手に入れたい一本だったが、同社との接点はなく、チャンスはなかなか訪れなかった。
同社がスポンサードするイベントなどで配布することもあると聞き、水をもらうためだけに興味のない催しに足を運びかけたこともあったが、IT水はビジネスシーンで手に入れてこそ価値があるのだと思い、ぐっと堪えた。
なぜそんないばらの道を選んでしまったのかよく分からないが、昨年末に同社と仕事をする機会を得て、ようやくこれを手に入れたときの喜びは大きかった。
D2C
D2C
なんとなくおめでたい感じがするのは、デジタル広告・マーケティング事業を手掛けるD2Cの水。
オフィスはIT企業っぽくサイバーな雰囲気なのだが、水は初日の出っぽいハッピー感がある。IT企業というより、初詣の境内を思わせる景気よさげなデザインである。
取水地は熊本「阿蘇のメイスイ」。なんだかありがたい感じがする響きである
IT企業の硬さ比べ(水)
さて、こういう企業の水って、それを作る専門の会社があるのかと思ったのだが、ラベルの裏を見ると委託先はバラバラ。取水地もさまざまであった。
取水地や成分、硬度などを一覧にしてみた。水を作りたい社長は参考にしてほしい
こうしてみると、一口に水といってもいろいろである。たとえばカルシウム含有量が高かったD2Cなどは、他社に比べより骨太の会社であるといえるかもしれない(水が)。
とりわけ注目したいのは水の硬度である。やわらかい会社とかたい会社、各社の風土が透けて見えるようでおもしろい。
ヤフーは硬度19.0mg/Lの超軟水。とてもやわらかい会社(水が)であることが分かる
リブセンスは硬度52mg/L。東京の水道水の硬度が60mg/L前後らしいので、なかなかの軟水。ITベンチャーとしては質実で硬派な印象だったが、やわらかさも持ち合わせている(水が)ようだ
今回、最も硬かったのは硬度80mg/Lのニフティ。デイリーポータルZを運営していたわりに、けっこうかたい会社(水が)であった
IT水は基本的に非売品であり、そこと仕事をしないと手に入らない貴重な品だ。いわば、水を集めることはビジネスの足跡を残すことであるともいえる。これからも水をたくさん集めるために仕事を頑張っていきたい。
営業=水を集めるクエストだと思うと少し楽しい
そんなわけでIT水がありそうな企業から声がかかった際は、積極的に先方へと出向いて打ち合わせをするにようにしている。いま、新規の取引先を増やすにあたってのモチベーションは、ほぼ水である。
それは言い過ぎかもしれないが、働いていると憂鬱なことも多いので、こういう自分だけの密かな楽しみを見出すのは、仕事をおもしろく続けるコツだと思うのだ。