特集 2017年8月13日

部屋を風船でいっぱいにする(デジタルリマスター版)

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部屋を色とりどりの風船でいっぱいにしたら、楽しいだろうなあ。

丸くてふわふわとした風船。カラフルで楽しい風船たちは、いつも子供たちの夢をのせて空に舞い上がる。適当言ってるわけじゃない。

大人になって忘れてたファンタジー。いや、大人だからこそ力ずくで実現できるんじゃないか。

そんな忘れかけていた夢。部屋を風船でいっぱいにしたら、きっと楽しいだろうなあ。夢は叶えるためにあるので、実際にやってみました。

※2006年2月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載したものです。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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> 個人サイト テーマパーク4096 小さく息切れ

早くも登場する夢の国

もう一回書いてしまうが、部屋を風船でいっぱいにしたら、きっと楽しいだろうなあ。大人になっても忘れたくないドリームランド。それが昼間であっても、人が夢を見るのは自由だ。

もうこれ以上説明の必要もないだろう。そういうわけで向かったのは、浅草橋にある風船専門店だ。
わーい!わーい!
わーい!わーい!
うわーい!
うわーい!
店内はいろいろな風船たちにあふれていて、これでもかこれでもかとドリーミング。早くも夢が叶った感じさえしてしまう。

しかしここはあくまでお店。きれいな風船たちを前にテンションが上がっても、大人としてはワーイワーイと騒ぎ立てるわけにはいかない。クールな表情を装って、部屋で膨らませるための風船を見繕う。

いろいろあって迷うのだが、今回チョイスしたのはこれ。
輪をかけてドリーミー
輪をかけてドリーミー

一般的な球ではなく、ハート型に膨らむ風船だ。あまり奇をてらわず、シンプルに攻めたい。それでいてせっかく専門店に来たのだからちょっと変化もつけたい。

そんなどうでもいいこだわりで吟味したこの風船。さっそく膨らませてみよう。

予期せぬ衝撃のメタファー

そういうわけで購入してきたハート型バルーン。いざ袋から出してみると、こんな感じだった。
こ、この形状は…
こ、この形状は…
確かにハート型になるんだろうなという形をしてはいるのだが、男としてどうにもどうもな形をしている気がするのは私だけだろうか。

へろへろとした、元気のないかなしみのたたずまい。懐かしいようなせつないような……シンボリックな様子をうまく言葉にできないが、さっきまで見ていた夢が一気に醒めるようでもある。

こんなことじゃいけない。こんなことでへこたれていてはいけない。さあ、元気を出して膨らませよう。
シャラポワ
シャラポワ
膨らましている途中の様子を何気なく確かめてみると、またも見えてきた新たなるメタファー。変幻自在、予想だにしない角度から攻めてくる風船。いったいきみは何なんだ。

でも、なんだか元気が出てきた気がするぞ。
紆余曲折を経た完成形
紆余曲折を経た完成形
心の小学生レベルな部分をいろいろと刺激されはしたが、最後まで膨らませるとちゃんときれいなハート型になる。あとはこれをいくつも膨らませていくだけだ。夢への道筋はしっかりとそこにある。
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やけくそ気味な夢へと向かって

さあ、余計な思いは脱ぎ捨てて、どんどん風船を膨らませていこう。夢を実現するのに必要なのはそういうことなのだ。今回は普段居間として使っている四畳半の部屋を風船で満たしたい。
夢を叶えるぞー
夢を叶えるぞー
早くもファンシー
早くもファンシー
風船を膨らませるためのポンプも準備したのだが、実際に使用してみると、どうもうまく空気が入っていかない。そのため全て口で膨らませることとなったのだが、5個ほど入れたところで早くも疲れてくる。

風船は全部で300個ほど用意したのだが…。道のり長いな。

それでもなんとか10個ほど膨らませる。おお、部屋の隅にちょっと転がっているだけでもかなりのファンシーだ。

驚くべき風船のファンシー力。真昼の夢がすでにここにある。
お好きなBGMでお楽しみください
お好きなBGMでお楽しみください
小一時間膨らませただろうか、おかしな夢はどんどん加速していく。もう軽くドリームズカムトゥルーだ。

全部息で入れていることもあり、かなり疲れた。視覚的に楽しいことは楽しいのだが、フィジカルへの負担は予想以上にかかってくる。そういうわけでここで小休止、今日のお昼はラーメンだ。
ドリームラーメン
ドリームラーメン
風船のことは忘れて食べたい
風船のことは忘れて食べたい
風船に囲まれただけなのに、かなりおかしなことになっているような気がするラーメン。ファンタジー力とラーメン力が妙なバランスで拮抗しているとでも言えばよいのか。

しかし、写真では伝えられないこともある。ラーメンは普通においしいのだが、いかんせん風船がゴムくさいのだ。

楽しい夢の国ではあるのだが、においの方はあからさまゴム臭。直面したのはそんな現実の厳しさ。冷静に考えれば当たり前のことなのだが、実行してみて初めてわかることもある。

あ、電話が鳴り出した。
電話の発掘作業
電話の発掘作業
どういうビジネスシーンなんだか
どういうビジネスシーンなんだか
かかってきたのは仕事の電話。「はい、ええ、その件につきましてはですね…」などと、ビジネスモードに切り替えつつも、囲まれてるのはこんなファンタジーな状況。

テレビ電話でなくてよかった。先方に状況がばれたらふざけているようにしか見えないだろう。

秘密兵器を投入

上に載せた電話中の写真だとかなり風船に囲まれているように見えるが、実はまだまだそうでもない。
おかしいことは十分おかしいのだが
おかしいことは十分おかしいのだが
近所の人に見られたらすでに言い訳できない状況であるのは確かなのだが、部屋が風船でいっぱいという状態にはまだ遠い。すでに体力的にはつらくなってきているので、ここで隠し玉を使いたい。
しょんぼり感はないデカ風船
しょんぼり感はないデカ風船
先に紹介した風船専門店で買ってきた巨大風船だ。マウスと比べていただけると大きさがわかりやすいかと思うが、かなり大きい。膨らませると直径が60cmにまでなるらしい。

これで一気に体積を稼ぎたい。さあがんばろう。
夢の実現って大変ですね
夢の実現って大変ですね
……確かに大きく膨らむことは膨らむのだが、それだけに吹き込む息の量も半端ではない。吹いても吹いてもあんまり大きくならない。そして吹けば吹くほど、大きくなる様子が実感しづらくなる。

人生の矛盾が暗示的に垣間見えたような気がしたりもしますが、やってることは風船を膨らませているだけです。

さあ、息も十分入れて、口もしばったので巨大風船を仲間たちのもとへと放つ。ただでさえ夢見がちな空間であるのに、その中でも巨大風船はさらなる異彩を放つ。
お父さんと子供たち
お父さんと子供たち
だいぶ充実してきました
だいぶ充実してきました
普通の風船もどんどん膨らませていき、まんべんない感じで風船が室内に広がってきた。しかしまだまだいっぱいという感じではない、夢に向かって黙々と膨らませ続けるのだ。
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がんばれがんばれ自分

正直言ってもううんざりなのだが、夢の世界の住人としてはそんなことを口にするわけにはいかない。いつの間にかガマン大会と化してきていることは心の中でごまかし、風船をひたすら膨らませる。
職人のオーラすら感じる一枚
職人のオーラすら感じる一枚
ぼく、がんばったんだよ
ぼく、がんばったんだよ
いい感じで充満したきた。天井まで届いて身動きが取れないくらいになれればとも思っていたのだが、用意しておいた風船が尽きたのでここまでとしたい。

すでに追加を買いに行く気力と体力は尽き果てていた。心はもうずい分前に満たされている。
ここまで成長しました
ここまで成長しました
もうやめていいんだよ
もうやめていいんだよ
近所の人が通りかかったら、見て見ぬふりをしてくれるレベルにまで到達したとは思う。右の写真では風船がひしめく合間からまだ膨らませている自分が見えるが、もう戦いは終わったんだと告げてあげたい。

向こう側へと突き抜けろ

引き続き夢の第二章、まだあるのかよと思う方もいるかもしれないが、風船を満たした四畳半の部屋は、引き戸で仕切ることのできる六畳間とつながっている。
この向こうに夢の世界が
この向こうに夢の世界が
その扉を解き放ち、決壊させてみたいのだ。さあ、ドリームゲートが今開かれるのだ。
夢の国へとこんにちは
夢の国へとこんにちは
ドワーッ
ドワーッ
やった、イメージ通りの流入だ。ふわふわとしつつも、ドワーッとなだれ込んでくる。ここまで苦労したかいがあったなあ。こんなに笑った自分って、いつ以来だろう。
やった!やった!
やった!やった!
楽しいぞうー!
楽しいぞうー!
「がんばれば夢は叶う」──今まで歌や何かでそんなフレーズを聞かされるたびに、ひねくれては腐っていた自分。

きっとそれは、夢を実際に叶えた者だけが言える言葉でもあるのだろう。さあ、今こそあの頃のすさんでた自分にさよならを告げるときだ。もう一度言う、がんばれは夢は叶うのだ。

ひとしきり遊んだあと、改めて部屋の状況を見てみる。風船が幾重にも折り重なって広がっている。
部屋がこんな状態なら
部屋がこんな状態なら
こうしたくもなるというもの
こうしたくもなるというもの
まだまだ続くドリームタイム。イスの上に立って構えてみる、不思議とこれからしようとしていることに対する恐怖は湧いてこない。
夢が叶う瞬間
夢が叶う瞬間
幸せのかたちは人それぞれ
幸せのかたちは人それぞれ
ばかげていると言われてもいい。夢とはしばしばそういうものでもあるからだ。次ページではさすがにここまでできないという方でも、手軽にバルーンワールドを楽しめる提案をしてみたい。
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アウトドア派に贈る風船の楽しみ方

室内を風船で満たす楽しさはここまでで十分伝わったのではないかと思う。しかし現実問題、あれだけの数の風船を用意するのはなかなか大変なことだろう。

そういうわけで、気軽に風船を楽しむために外に出ます。
後部座席は風船専用
後部座席は風船専用
トランクいっぱいに夢を詰め込んで
トランクいっぱいに夢を詰め込んで
車に積めるだけの風船を押し込んだら、検問や取締りがないことを祈って人の気配のないようなところに向かおう。悪いことをしているわけではないが、説明が面倒であることは否めないからだ。

いろいろ回りつつ人がいるのを避けていたら、いつしかとある崖にたどり着いていた。
ここで安全ピンを活用
ここで安全ピンを活用
持参した安全ピンを上手に使う。針先がちょっとでも風船に触れると、それは一瞬で散るので注意が必要だ。先ほどは部屋を風船で満たしたわけだが、ここでは逆転の発想をしてみたい。
あ、なんか来たぞ
あ、なんか来たぞ
風船マンだ!
風船マンだ!
そう、安全ピンで風船を服に留めれば、割と気軽に風船マンだ。それほどたくさんの数がいるわけではないが、風船に囲まれている感じはしっかりと味わえる。

実用性も兼ね備えた風船マン

風船マンになるのなら、季節はきっと冬がいい。
生きているって楽しいね
生きているって楽しいね
予想していなかったことなのだが、結構あったかいのだ。保温の基本は体の周りの空気をあたたかくして、それを逃がさないこと。考えてみればそういう理屈を風船マンは満たしているのだ。

しゃべると自分の声が風船で反響して、ちょっとしたエコーがかかっているように聞こえるのも新感覚。

風船マンも部屋で風船で満たすのとは別の切り口で楽しいよ。
人目を避けてたらこんなところに来ました
人目を避けてたらこんなところに来ました
そのビジュアルから普通の市民社会ではなかなか受け入れてもらえそうにない風船マン。今回も崖を訪れたが、美しい景色は普通の人も風船マンも分け隔てなく癒してくれる。

しかし、風船マンにも難点がある。このままでは車に乗り込むことができないのだ。かなしいけれど、風船マンとしての自分にお別れをしなくてはならない。
夢の世界から来た風船マンも
夢の世界から来た風船マンも
割られてしまうとこの体たらく
割られてしまうとこの体たらく
風船を割ってしまうと、かなりみすぼらしい感じになってしまう風船マン。まとわりついているように見える風船のカス。さっきまでドリーム過剰だったこともあり、その落差は大きい。
戦い終わって日が暮れて
戦い終わって日が暮れて
別に戦ったわけでもないのに適当なキャプションをつけてしまったが、たたずまいとしてはそんな感じの風船マン。しかし、風船がもうなくなっても、風船に満たされたあの思い出たちは心にずっと残り続ける。

バカは休み休みやろう

あと始末も楽しいよ
あと始末も楽しいよ
家に戻ると部屋にあるのは、まだたくさん転がっている風船たち。開いた安全ピンを手にして、その針先を次々と風船たちに向けていく。

おもしろいように次々と割れる風船。それが弾けるのは、まさに一瞬だ。

あれだけ苦労して膨らませた風船だが、全てを割るのは本当にあっという間。それはまるで、人生のなにがしかのようでもある。風船は私たちに、何か深い機微を示しているのかもしれない。

わかっているとは思いますが、こんなところで変に機微とか感じない方がいいと思います。
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