これがデイリーポータルZのハンドスピナーです
デイリーポータルZ友の会では松コース会員に毎月なにかしらオリジナルのグッズを送付している(くわしくは
こちら)。
おしっこがまんブックや
ウェブマスター林の人形など、数々のエキセントリックでたのしいグッズを送り続けている無頼派な当友の会。たまには時流に乗ったグッズを送ってみようというのが今回の狙いである。
*ハンドスピナーは6月に会員だった方向けのグッズです。
さっそくハンドスピナー4種を紹介したい。
ハンドスピナー4種
なんかの部品なのではないかと思われてしまうのが心配で「ハンドスピナー4種」というキャプションを入れてしまった。単純に左から指で数えて欲しい。4つあるだろう。これで完成形なのだ。
ひとつずつ見ていこう。
マグネットと鉄球
冷蔵庫につけるようなマグネットに小粒の鉄球がついているように見える。だがハンドスピナーである。
このように回す
どうだろう。手の上で回っている。広義のハンドスピナーであることに疑いはないのではないか。
ボルトとナット
一見ボルトとナットが組み合わさっているだけだが、じつはこれもハンドスピナーなのである。どういうことか…?
この部分が小気味よく回転する
これがかなり気持ちのいい回転なのだ。昨今のハンドスピナーが誕生する前から存在する、野生のハンドスピナーである。この論理からするとペットボトルのキャップもけっこうハンドスピナーだということになる。
キャスター…ではない
だんだんわかってきただろうが、これはキャスターではなくハンドスピナーである。
ここがまわる
ある意味いちばんハンドスピナーらしいといえばハンドスピナーらしい一品だ。よく回ってすばらしい。
10面ダイスハンドスピナー
4つめのハンドスピナーがこれだ。
10面ダイスのようなハンドスピナー
あなたに知性があれば、いい加減説明は不要だろう。これもハンドスピナーなのである。
ほら
手の上で転がすと、こう……たのしいのである。しかしこれは「スピン」ではないのでは?と思う人もいるだろう。その場合はこうすればいい。
とんがってる部分を挟んで回す
とにかく手の中でスピンしているのだからハンドスピナーだということに納得してほしい。
以上、オレたちが考えたハンドスピナー4種であった。ここまで冗談めいた書き方できたが、触ってみると意外と手に馴染む。本当だ。手に入れた会員の方、まずは試してみて欲しい。
説明書にこだわりが
「ハンドスピナー送ります!」と言ってネジやボルト、キャスターがをビニール袋につめて送る。いろいろ考えた末こうなったとはいえ、すこしおふざけがすぎるかもしれない。スカスカおせち事件が脳裏をよぎる。
そこで付加価値として説明書に力を入れた。
デザインはライターのぬっきぃさんによるもの。ぬっきぃさんは取扱説明書のイラストを描くテクニカルイラストレーターの仕事をしていた人なので、今回の説明書もいい仕上がりになっている。
説明書
裏面はこう。
片面はちゃんとしたマニュアルなのに、裏面はよく見ると文面がおかしい。これは日本語→中国語→日本語と機械翻訳の逆輸入みたいなことをやってニセモノ感をだしたことによる。あとインクが滲んでるのもポイントだ。
というようなようすで、できるかぎりの工夫を詰め込んだ。
このような本格的にニセモノなパッケージに入れて送る
これが、今月のデイリーポータルZ友の会グッズ「オレたちが考えたハンドスピナー」だる。
いままでとどこかがちがう
このハンドスピナーなのだが、じつはいつものグッズとは格段に違う点がある。どこが違うかわかるだろうか?
DPZ編集部がまごころを込めて袋詰めしました
作業風景
編集部が手作業で封入しているのである。こっちが本題と言ってもいい。
これまでは、契約している倉庫業者に頼んでグッズの封入と発送作業をやってもらっていたが、諸般の事情(*)からデイリーポータルZ編集部が自ら手作業で封入することになった。いわゆる内製化というやつである。
*諸般の事情=アレ(経費)をアレ(削減)でアレする(いろいろな支出を見直す)ことになった。
ものすごい量がある
ありがたいことにDPZ友の会の会員はかなりたくさんいる。つまりそれだけ発送する量もたくさんだ。
自然な帰結として、数日、編集部総出でものすごい量のハンドスピナーを袋詰めすることになった。4つもあるから大変だ。仕事が一段落したらすきを見て袋詰め作業に入るという日々が続いた。
自分たちで決めたことだが、すこし唖然とした。
心の中の万国の労働者が団結してくる。
中継をする
ふつうに袋詰めをしていると、やがて飽きる。そしてこの時間のかかる作業の様子をだれにも見せないのはもったいない。
というインターネット精神で、お昼ごろにツイッターで生中継などしてみた。
工場っぽさを出すために使い捨ての白衣を着て
使い捨ての白衣を着て清潔感ある作業風景にしているのは、ディズニー映画の制作風景みたいな演出である。
白衣を買ってきたのは僕だが、とうぜん編集部員にも着せた
作業といえば雑談
頭を使わずに手を動かす作業の連続。すると、雑談も捗る。(沈黙のうちに不条理の音が聞えてくるというのもある。)
ということで、作業中に交わした雑談を3つほど紹介したい。
編集部安藤、学生時代の話
「ぼく部活が合宿生活だったので…ま、ご飯とか出るんですよ」
「うん」
「でも合宿の…お金を払わないきゃなんないんで 部活に」
「うん」
「合宿費を」
「はいはい」
「宿泊費?」
「宿泊費は合宿所…学校の合宿所だからいいんですけど、食費とか」
「うん」
「そういうのをバイトで、やるんですけど、それはクラブバイトって言って」
「うん」
「クラブの口座に部員が働いた分のバイト代がそこに入っていくんです」
「おーじゃあもらえないの?」
「ベロに穴開けても(*)一銭ももらえない」(*:そういうバイト)
「おれには入ってこないんだ」
「部活の口座に入ってくんです」
「あー」
「社会主義でしょう」
「蟹工船みたいですね」
マグネットなのだがひとつもS極とN極が逆になってるやつがなくてすごい、と作業中に思った。
ライター大北さんの芝居の話
「あの大北くんのやつ(*)行きました?」(*:ライター大北さんの作った芝居)
「いやあ、行けなかった」
「そこで主人公が…なんかカフェの話だったんですけど、カフェをやめて、世界一周カフェ巡りの旅にでるっていう」
「おお」
「話があって。ぼくと大北くんの共通の友達がサラリーマンをやっていたんですけど、仕事をやめて世界一周カフェ巡りに出て」
「ああ実際に?」
「そうですそうです」
「へー」
「でそっから今戻ってきて、カフェを開くんだって言って」
「そっからあれ来てるんですか」
「多分」
「そういうところから来てるんだ」
「僕は、あの、別で、あの~」
「はい」
「インドの、バラナシに大北さんと行ったんですけど」
「はいはい」
「そこのゲストハウス、泊まったゲストハウスに」
「はい」
「女の、20代前半くらいの女の人が2人泊まってて、で、話ししたんですけど」
「はい」
「その人達がインドから帰ったら、インドはただの旅行だったんですけど、インドから帰ったらカフェ開くって」
「ははは」
「それかと思ってました」
「いっぱいいるんだね」
慣れるとひと掴みで玉を必要なだけ取ることができるようになった。ちょっとした寿司職人気分である。
感謝の話
「今までは、こういう作業をやってくれてた人がいたわけですよね」
「うん」
「気にしてなかったけど」
「倉庫で袋詰のプロがやってくれてたんですよね」
「そうですよね」
「こういう仕事もあるんだなと気付かされますね。感謝です」
「うん、感謝。感謝」
「感謝」
だいたいこのような雑談をして、村落の午後のようにわきあいあいと作業を進めた。ゲマインシャフトである。
そして、ひとまずの作業が終わるとそれぞれのメンバーは「IT企業の方に戻りますんで」と言って、自席に戻っていくのであった。その顔はどことなく晴れやかだった。
絶賛作業中
ということで、まだ作業が終わっていない。友の会会員のかたはもう少しお待ちください。
友の会会員でないかたはぜひ友の会に入ってほしい。来月は来月で気合の入ったグッズを予定しています。
来月以降も状況によってはこのような手作業がある予定である。「またあるのか…」と途方もなさを感じるが、引き続きデイリーポータルZ編集部はがんばっていきます。