特集 2017年2月22日

お笑い路線図トート、女の愛と性の相談とさまざまなフェチ ~webメディアびっくりセール告知

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いよいよ! 2/26が間近である。

40近いwebメディアが集まりWiFiも飛ばない環境でなんらかを手売りする祭り、「webメディアびっくりセール」。現場は大田区産業プラザPiO、12時~17時だ(詳細はこちら!)。

今日は参加メディアのなかから「エキレビ!」、「AM」、「フェチ東京」を敵情視察したので何を売るのか、準備はどの辺まで進んでいるか情報をお伝えしたい。(編集部:古賀及子)
インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

前の記事:良さしかないキエフの地下鉄、瞬足の歯ブラシって何事か 人気記事まとめ

> 個人サイト デイリーポータルZ

まず最初にお伺いしたのは「エキレビ!」。公式のメディア説明はこんな感じ。デイリーポータルZに書いているライターも参加している。
エキレビ!では人気のドラマやテレビアニメ、話題の書籍を人気ライターがレビュー、解説! 人気ドラマのあらすじや、話題の書籍が支持される理由の考察、国民的アニメに隠された謎の解明など話題の作品の裏話を紹介。

お笑い賞レースの路線図のトートバッグ?

お話を聞かせてくれたのは編集長のアライユキコさんとライターでゲームデザイナーの米光一成さんだ。
尊敬するお2人が出てくださったのでえらいこと恐縮した。しかもなぜ部屋がやけに伊勢うどん推しなのかというと…
尊敬するお2人が出てくださったのでえらいこと恐縮した。しかもなぜ部屋がやけに伊勢うどん推しなのかというと…
ここ、「大人力検定」でおなじみ、伊勢うどんファンとしても有名なコラムニストの石原壮一郎さんの事務所なんである
ここ、「大人力検定」でおなじみ、伊勢うどんファンとしても有名なコラムニストの石原壮一郎さんの事務所なんである
恐縮しつつお話をきいていこう。この「webメディアびっくりセール」の開催の話がもちあがり参加メディアを暗中に探していたころ、かなり早い段階で賛同してくれたのが「エキレビ!」だ。

気合の入れ方もなみなみならず、すでにある在庫を売るばかりではなくイベントに向けなにか製作しようぞとライターを集めて作戦会議的な飲み会まで開催されたらしい。

そんななかからまずは今回製作とあいなったのがまずはこちら。
「路線図トートバッグ~お笑い賞レース Ver.~」(予価1800円) 井上マサキ+小西りえこ
「路線図トートバッグ~お笑い賞レース Ver.~」(予価1800円) 井上マサキ+小西りえこ
井上さんといえばお笑い番組のレビューを得意とするライターさんであり、デイリーポータルZでも路線図ファンとしてこれまでなんどかご登場いただいている。

しかし「~お笑い賞レース Ver.~」というのはどういうことか。プリントをよく見てみると、
あ!
あ!
なるほどお笑いタイトルが路線で受賞コンビが駅、ダブル受賞も乗り入れで表示するようにしているのか。コンビ名も駅っぽくぼかされていて萌え要素満載である。

さらにこちらも熱い。

毎週の楽しい苦行をまとめた「フリースタイルダンジョン本」

フリースタイルイラストBOOK(写真はイメージ)小西りえこ+米光一成+飯田和敏
フリースタイルイラストBOOK(写真はイメージ)小西りえこ+米光一成+飯田和敏
アライ「毎週『フリースタイルダンジョン』のレビューを連載しているのですが、それをHIPHOPイラストブックとして編みます。
レビューは番組終了後の夜中の2時にきょうのワンフレーズを決めて(フリースタイルダンジョン同好会チャットがあります)イラストを小西さんに発注、米光、たまに飯田がレビューを書きます。毎週の楽しい苦行です」
「フリースタイルダンジョン」のレビューは毎週放送が終わったあと午前10時には記事が上がっているのでどういうことかと常々思っていたのだが、なんのことはない、夜中にみなさんで頑張っていらした、ということであった。今後は拝んで読もう。

またライター勢がこれまでコミケや文学フリマで売ってきた本も並ぶようだ(以下、ご紹介文はアライさんから)。
「塩の本」(杉村啓) 「醤油手帖」で知られるむむさんこと杉村啓さんの本。新書サイズで150Pぐらい。頒布価格は1000円
「塩の本」(杉村啓) 「醤油手帖」で知られるむむさんこと杉村啓さんの本。新書サイズで150Pぐらい。頒布価格は1000円
ミニ甚吉袋(杉村啓) 500円。製作が間に合えば出品とのこと
ミニ甚吉袋(杉村啓) 500円。製作が間に合えば出品とのこと
「レ:レ:レ:」近藤正高雑文集 vol13 1000円 「タモリと戦後ニッポン」(講談社)で知られ、エキレビ!のじいや、昭和史探偵近藤正高の個人誌
「レ:レ:レ:」近藤正高雑文集 vol13 1000円 「タモリと戦後ニッポン」(講談社)で知られ、エキレビ!のじいや、昭和史探偵近藤正高の個人誌
さらに米光さんが作っているカードゲームも。
カードを3枚ひき、3つのワードの組み合わせから発想される言葉を参加者全員が回答、同じ発想をした人が「いっち点」という点数を得るゲームだ。

私もプレイしたことがあるのだが、同じ発想をした人が得点というのがちょっと意外だった。センスの良い発想をした人が勝つのではないのだ。
米光「センスとかもう、いやじゃないですか(笑)。評価もまちまちになっちゃうから。同じ回答をした人が勝ちなら判定しやすいですよね。もちろんセンスのいい回答をした人にはみんなが『おおー』っていう反応をしますから、それが名誉になります(ルールブックにも「『想像王』としてほめよう」とある)」

大人になるととかくセンスの良し悪しで世間の荒波をかいくぐることになるだろう。こんなにもセンスが問われそうなゲームで評価の軸がセンスとは別にあるというのは気持ちがいい。

当日は会場でもみんなで遊べるようにするそうだ。盛り上がるぞこれは。
「思考ツールとしてのタロット」(2000円)
「思考ツールとしてのタロット」(2000円)
「『当たる』のではなく『思い当たる』のです」という「思考ツールとしてのタロット」。

タロットカードって英語だったり読めない言葉で書いてあるだろう。なのであまりピンとこないのだが、これはバーンと日本語で書いてある時点ですでにインパクト大だ。だって「愚者」である。

米光「売り物を作っていると、売れるかなあと思ってたくさん作ると売れ残る、じゃ今度は少なく作ろうと思うと足りなくなる、その繰り返しなんですよね。このタロットは行ける!と思ったときに作ったのでまだまだたくさんあります」

ナイス自費出版あるあるも聞けました。

実はそのほかもいろいろとアイディアはあり進行中というお話であった。

アライ「飲みながら打ち合わせてて、ライターの青柳美帆子とじゃあwebメディアの擬人化BL作ろうかなーなんて盛り上がってたらあとから来たしらふの(ライターの)大山くまおさんが『レビューの書き方』の本を作ろうかと思ってるってすごくまともなこと言って、ああそうだ、そうだよねと全員酔いがさめました(笑)」

ぜひ酔いの覚めぬまま自由な本も持ってきてほしい…!

当日はサイトの触れ幅の広さに泣こう

さらにインタビューに部屋を貸してくださった石原壮一郎さんも「エキレビ!」ブースに登場との報が。

伊勢うどん缶バッチ詰め合わせ。あと、A5サイズのクリアファイルも制作中です。うどんも仕入れようかと思います。」

とのこと。ゲームからうどんまで、当日はサイトの触れ幅の広さに泣こう。
かわいいうえ、つけていると自動的に「伊勢うどん大好き」な人になれる缶バッジ
かわいいうえ、つけていると自動的に「伊勢うどん大好き」な人になれる缶バッジ
続いては「AM」。もしかしたら男性はあまりご存じないかもしれない。
公式なサイト紹介文はこちら。
AM(アム)は、モテや婚活に振り回され、ゴールを見失いがちな女性を応援する恋愛サイト。本命になれない、不倫がやめられないなど人に言えない悩みから、女性が楽しめるセックスの話題まで、役立つ情報を発信しています。
私も大ファンで楽しみに読んでいるメディアだ。
編集部のみなさんに話を聞いてきた。
いったん広告です
ちょっとどうかというほどおしゃれなオフィスで取材に応じてくれたのは編集長の金井茉利絵さんはじめ5人の編集部のみなさん。
そろいぶみだ、ありがとうございます
そろいぶみだ、ありがとうございます
「何売るのか聞かせてくだせえ、げへへ」とお願いしたらなんと編集部の全員(!)がご登場くださった。いまここを爆破されたら「AM」がなくなる。世の女どもの一大事である(無事爆破されませんでした!)。

女のエロはもっとおもしろくてもいい

前ページの紹介文のとおり、ぶっちゃけた内容の女性向けメディアだ。

とはいえ記事はどれも後ろめたさとは無縁でポップ。女子のみなさんは高校生のころ読んだティーン向けファッション雑誌の最後のほうにちょっとエロいエピソード紹介ページやハウツーページがあったのをご記憶かと思うのだが、そういう明るい世界感だ。

金井「恋愛をもっと楽しもうというのが2012年の創設当時のコンセプトです。エロネタ多めなのはサイトをおもしろくしたかったから。一番最初にセックス特集を組んだときもおもしろいんじゃないかっていうことでやったんです。セックスについてもちろん正しい知識も伝えますが、おもしろくてもいいんじゃないのと思ってます」

なんと、おもしろメディア宣言である。これは黙っていられない(ちなみに「AM」には当サイトのウェブマスター林も寄稿している)。
金井「ビッチさを押しているわけではないんです。女性がおもしろいと思うことをおもてに出したいだけで。普通の女の子が普通におしゃべりするような」

女性が集まると下ネタで盛り上がるというのはぜんぜんよくある話である。そういう女同士のたのしくて他愛のない、でも生きるうえでちょっとためになるおしゃべりみたいな雰囲気の記事が確かに多い。
大ファンのオリビアさんやベッツィーさん(AMの人気ライター)について「ご本人ってどういう方なんですか!?」と普通に聞きたいこと聞きまくってきたよね
個人的に大ファンのオリビアさんやベッツィーさん(AMの人気ライター)について「ご本人ってどういう方なんですか!?」と普通に聞きたいこと聞きまくってきたよね

恋愛と性の相談コーナーやります

さて、当日の販売物についてだ。

まずはなんといっても「悩み相談コーナー」。
これまで「AM」の編集に携わってきたその道のプロである彼女たちが恋愛と性の相談に乗ってくれる。
恋愛が10分500円、性が10分1000円。性の相談が倍額なのがリアルである。

金井「編集部員でそれぞれ得意ジャンルがあるんです。相談内容に応じて担当します」

得意ジャンルが…!頼もしすぎる。

さらに恋愛初心者の男性に向けた本も準備中だそう。女性に対してメディアでもいまさら紹介しないようなQAに答えるという本になる予定とのこと。
Q「その気がないのになぜご飯に一緒に行くのですか」の答えに「ちなみに、ご飯に行ったって、キスをしたって、セックスしたって、付き合うつもりがあるかどうかはわかりません。」の一文。これは男女問わずにありがたく読むやつだ
Q「付き合うつもりがないのに、どうしてふたりでご飯行くんですか?」の答えに「ご飯に行ったって、キスをしたって、セックスしたって、付き合うつもりがあるかどうかはわかりません。」の一文。これは男女問わずにありがたく読むやつだ
ガチのグッズもある。
金井「人狼がメンバーの間でめちゃはやったときがあって、はやりすぎて自分達でも作ったんです。作ったころには飽きてしまって自分達ではそんなにプレイしてません(笑)」

という「LOVE 人狼ゲーム」。
ゲームのゴールは「浮気相手を殺す」だそうだ。論理的なゲームなのに感情にまかせてプレイしがちになるのが特徴らしい。良い。
ゲームのゴールは「浮気相手を殺す」だそうだ。論理的なゲームなのに感情にまかせてプレイしがちになるのが特徴らしい。良い。
さらに「AM総研」という1844名分のアンケート結果がまるっと、今回会場で申し込むと通常販売価格の半額で買えるというのでその道でご商売なさっている方々は必見だ。

意識高きAM読者が回答者とあって「セックス中に他の男のことを考えた人は46%」など全体的に前のめりなアンケート結果になっているところがキュートである。
当日はロゴの配布もあるそうだぞ! 古賀「ロゴ、すごくおしゃれですよね。サイト名自体もかわいらしいし」金井「このロゴやサイト名には本当に助けられてます…。ロゴが変だったら今頃大変なメディアになってるんじゃないかと…」いい話。
当日はロゴの配布もあるそうだぞ!金井「このロゴやサイト名には本当に助けられてます…。ロゴが変だったら今頃大変なメディアになってるんじゃないかと…」いい話。
勢いにのって、最後にご紹介するのはフェチ東京。公式のサイト解説はこちら。
東京から日本のフェチ(Fetish)な情報を発信するフェチのポータルサイト「フェチ東京」。緊縛、全身タイツ(ゼンタイ)、wet&messyからASMR(音フェチ)、パンチラ、おっぱいまでディープなフェティッシュ文化からライトなフェチまでをご紹介します。
一体何を頒布するのか、期待が大きすぎて前傾姿勢も極まる。
いったん広告です
お話を聞かせてくださったのは編集長の新井秀美さん。メディアとしては2014年スタート。起業家育成イベントである「Startup Weekend Tokyo」で優勝したことがきっかけとなって走り出した。
新井さん。起業家育成イベントがきっかけとは…!
こちらが新井さん。起業家育成イベントがきっかけとは…!

フェティッシュの話を聞きたい人が作ってる

さまざまなフェチを横断し情報発信するメディアである。フェチというと本当にその道に魅せられた人だけが覗くことを許される閉じられた世界のように感じられるがサイトのアバウトページには「フェチの入り口として平易な言葉で伝えることを心がけています」とある。

排他性をあえてとりはらっているのだ。基本ポリシーの3か条がまためちゃめちゃにぐっときたので素直にリンクします! うがり0%で本当に良い意味でいう「意識の高い」メディアなんだ…。

しかしこちら、多数のスタッフがいた時期をへてなんと現状おひとりで運営されているそう。新井さんはご本業は行政書士さんだそうでぶっちゃけ収入源は100%で本業によるもの。このメディアは「出て行くいっぽうですね(笑)」とのことだ。わわ、そうなのかーっ。

新井「収入源として広告モデルも検討したのですが、そうするとどうしてもアダルトよりの広告になってきちゃうんですよね。

フェチの入り口のサイトとして、たとえばいま高校生で自分のフェティッシュに気づいて悩んでいるような人たちがいると思うんです、そういう人たちにも読んでもらえるように18歳未満でも読めるサイトにはしておきたいと思っていて」


まさかこんな感動要素のあるメディアだとは思いもしなかった。敬礼だ。

実は新井さんご自身にはこれといったフェティッシュはないのだそうだ。「フェティッシュを持つ人の話を聞くのが好きで」という。そういうすべてを否定せず共感ししかし深いところまでは入らない態度がフェチという言ってみれば取り扱いのデリケートな部分もある対象をとりまとめられるのかもしれない。

つい私も「実は歯列矯正が好きで…」と告白したところ、新井さんは即座に「分かります! 私も好きですよー」というお返事であった。やさしい世界だ…!

さて、当日びっくりセールに持ってくるものは…

左:くすぐりフェチのサークルの本と、右:フェチ東京のオリジナル本
左:くすぐりフェチのサークルの本と、右:フェチ東京のオリジナル本

「ぐりとぐら」

くすぐりフェチの本は表紙が本気のやつだったので裏表紙を載せてみた。気になる方はぜひ会場で手にとってみてください。

新井さんによると、くすぐり業界ではくすぐりたい人を「ぐり」、くすぐられたい人を「ぐら」と呼ぶんだそうだ。「ぐりとぐら」である。おい! 世界! お前広すぎるぞ! とつい世界に対しつっこまざるを得ない趣味の海原の広さを感じる最高の話ではないか。

さらにおそらく今回の会場で唯一(予定)になりそうなR18指定の「百合48手」の本(ご購入の際に年齢確認をいたします)や、コスプレの評論本も並ぶということでこれまた楽しみすぎるブースである。
新井さんはCodeIQ</a>のブースで頒布のハッカソン本にも寄稿しているとのこと。 本業が行政書士さんでフェチのメディア回してハッカソンの記事書いてってすごすぎるだろう…
新井さんはCodeIQのブースで頒布のハッカソン本にも寄稿しているとのこと。 本業が行政書士さんでフェチのメディア回してハッカソンの記事書いてってすごすぎるだろう…

メディアの中の人と話をするよい機会なんです

エキレビ!、AM、フェチ東京、3つのメディアを取材した。本当にどこも中の人はみんなおもしろい。

レビューのメディアならではの、女の性と恋愛のメディアならではの、フェチの世界のメディアならではの、ここには書ききれなかった興味深いお話をたくさんうかがった。

2/26のwebメディアびっくりセールではもしブースの人の手があいていてぼんやりしていたらぜひ話しかけてみるといろんな話がきけて頒布物を買う以上に楽しめるんじゃないかと強く思った次第です。

(本記事執筆のデイリーポータルZ編集部の古賀も当日はおもに本部におりますのでよかったら声をかけてください!)
最後に「エキレビ!」のインタビュー時に石原さんちにあった松阪牛の超かっこいいキャップの画像をどうぞ
最後に「エキレビ!」のインタビュー時に石原さんちにあった松阪牛の超かっこいいキャップの画像をどうぞ
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