横浜市民のソウルフード、崎陽軒の「シウマイ弁当(800円)」。掛け紐をピッと引き、お弁当箱の経木(きょうぎ)の香りを嗅ぐ。ふたを開ければ色とりどりのおかず。
いただきます
ぱっかーん! と、ここまで来れば
どう計画的に食べようなんて理性はなく、心のままに箸を伸ばしてしまいそう。
ところが
投稿によると「シウマイ弁当はこう食べるべき」という説が存在するようだ。
たとえば、こう。
(1)「鮪の照り焼」をほぐしてご飯の上にまぶす
なんと大胆な発想なのだろう。まずマグロをフタの上に移動させてからほぐすと“ほぐし”やすかった。
(2)「筍煮」をご飯の上にまぶす
(3)「切り昆布&千切り生姜」をご飯の上にまぶす
とにかくおかずを“まぶす”。
あとは諸々まぶされたご飯と一緒に、シウマイを食べるそう。ほかのおかずはご自由に。
最後に「あんず」で締めて、ごちそうさま! とのこと。
まぶし終えたご飯は、このようになる
こちらの説の提唱者によると、株式会社崎陽軒の代表取締役社長、野並直文(のなみ・なおぶみ)氏直伝だというから驚きだ。
食事なのだから、個人の好きに食べたらいい、と思う一方 “正しい”食べ方、はたまた社長直伝の“由緒正しい”食べ方が本当に存在するのなら、放ってはおけない!
はまれぽ取材班は、街に出ることを決めた。街頭アンケートだ!!
横浜市民100人にアンケートを敢行!
中区、イセザキ・モールへ
今回は、より多くの横浜市民に出会うため、イセザキ・モール内にて横浜市民100人にアンケート調査を行った。
用意した質問は、以下のとおり。
(1) 「シウマイ弁当」で一番好きなおかずはなんですか?
(2) 「シウマイ弁当」で一番最初に食べるおかずはなんですか?
(3) 「シウマイ弁当」の食べ方にこだわりはありますか?
何がお好きですか?
横浜市民は、どんなこだわり・嗜好を持っているのか!?
その前に、まずは「シウマイ弁当」の内容を確認しておこう。
崎陽軒・シウマイ弁当(提供:株式会社崎陽軒)
左から「玉子焼き」「かまぼこ」「鮪の照り焼」「筍煮」
「切り昆布」「千切り生姜」「鶏唐揚げ」
「あんず」そして「昔ながらのシウマイ5個」
このように、おかず9種に白俵型ご飯、小梅を加えた豪華な内容の“駅弁”こそ、横浜市民が愛してやまない「シウマイ弁当」なのである。
印象的な「白俵型ご飯」
ちなみに、崎陽軒のお弁当の売り上げランキングや、ご飯粒を残さず綺麗に食べられる方法、アレンジレシピなどについては、併せて
こちらの記事を。
街に出た取材班。街頭インタビューは「突然話しかけられる」ため警戒されてしまうことも多い。
変なスケッチブックを持って歩き回っているのだから・・・ごく自然なこと。
ところが、声をかけるとはじめは用心深い反応を示す方でも「崎陽軒のシウマイ弁当」というワードを出すと“顔がほころぶ”という現象が続々!
愛されていることを実感しつつのアンケート!
熱く、笑顔で答えてくれる横浜市民にたくさん出会えた。
20代女性。左から、19番さん、25番さん
横浜DeNAベイスターズファンのお二人。好きなおかずもそろって「シウマイ」!
10代のアンドレさん、ミゲルさん
好きなおかずは二人とも「鶏唐揚げ」! バランスの良い印象ながら、唐揚げやシウマイなどお肉も楽しめるのは若い層にも嬉しいポイント。
20代のあやなさん、マイさんは「筍煮」推し
50代のヤヨイさん、ノブエさんも「筍煮」推し
30代の松川さん、今野さんはやっぱり「シウマイ」が好き!
50代のシュガーさん、クッキーさんはこう語る
「出かけるときに初めてシウマイ弁当を食べて、そのおいしさに驚きました」と女性のクッキーさん。シュガーさんも「50歳を過ぎてシウマイ弁当に目覚めました。おいしい!」とのこと。
10代JK(女子高生)、なーあんさんとMちゃんさん
今回、おかずではないがよく聞く意見だ、ということで入れた「フタのご飯」という選択肢。崎陽軒こだわりの経木でできた、しんなりとしたふたにご飯が数粒張りつく。
“趣”ともいえるフタのご飯
なーあんさん曰く「フタの米粒は取って、家の犬にあげる」とのこと。
「シウマイ弁当」のご飯は、蒸気で蒸して炊き上げる
企業秘密の製法で生まれる、独特なもっちりとした食感のご飯にもファンは多い。
今回は“好きなおかず”についてのアンケートを行ったため、ご飯本体の選択肢は用意していなかった。それでも「ご飯が一番好き!」と力強く答える人もいた。
だからこそ「フタのご飯を丁寧に取って食べる」
そんな意見も多数見られる結果となったのかもしれない。
さて、先ほどの女子高生、Mちゃんさんに「正しい食べ方」があるという噂を知っているか聞いてみたところ・・・。
「知らない。正式な食べ方? あるなら最初からそういう風に作ればいいのに!」
そんな噂は聞いたことがないという回答。
100人へのアンケートを無事に終え、各々の回答は出そろったものの、冒頭の“まぶす”方式をはじめ「正しい食べ方」があると認識している市民は・・・。
0人だった・・・認知度は極めて低いという結果に
ともあれ、回答は出そろった!
ついに、横浜市民100人に聞いた「好きなシウマイ弁当のおかず」「最初に食べるおかず」ランキングを、大発表!
キニナル「シウマイ弁当」人気おかず第1位は?
回答者の年齢層の分布はこのとおり
やっぱりこの味! 「昔ながらのシウマイ」!
次いで「筍煮」
第3位は「鶏唐揚げ」という結果に
「鮪の照り焼」も健闘するも、回答はまとまった印象
続いて「一番最初に食べるおかず」ランキング。
こちらはこのような結果に!
「好きなおかず」に比べて、やや分散。それでも「シウマイ」は不動の一位!
併せて、食べ方へのこだわりの有無も聞いてみた。
こだわりがあると答えた市民は、100人中42人。
約半数が「こだわりアリ」という結果!
なかには、ご飯→シウマイ→筍煮→鮪の照り焼→かまぼこ→鶏唐揚げ→玉子焼き・・・最後にあんず、とスラスラ答えられる人もいれば、「筍煮を最初に食べて、最後にも一粒残す」「ご飯3俵をシウマイと一緒に楽しんでから、ほかのおかずに移行する」など部分的にこだわりを持つ人もいた。
最も多かったこだわりは
「あんずを最後に食べる」で、18人。あんずはデザートという位置づけの人が多いようだ。
「正しい食べ方」は存在するのか!? 本社に直撃!
ネットで検索をかければ、多数ヒットする「シウマイ弁当」の食べ方。
1から10まで決められた“作法”ともいえるような、研究を重ねたであろう食べ方も複数見られる。
しかしながら、街ではそれらを知る人には出会えなかった。これはいったいどういうことなのだろうか。果たして、崎陽軒が提唱する「正しい食べ方」はあるのか?
崎陽軒広報・マーケティング部の方に話を聞いてみることに。
いつもお世話になっております
すると「いえ、特にこれという食べ方はありません。皆様のお好みで食べていただければと思います」とのこと。
なんと。
気を取り直して投稿にあったような「具材をほぐしてごはんにまぶす」という食べ方をご存じだったかどうか伺う。
「存じ上げませんでした。社長のオリジナルレシピとして、シウマイ弁当のおかずを卵でとじた『シウマイ弁当丼』というものがございまして、そのレシピ内で『鮪の照り焼』をほぐすことはございますが、まぶして食べるということはありません」とのこと。
シウマイ弁当丼・・・(寿あま画)
続いて「好きなおかず」のアンケート結果については「シウマイ、筍煮という上位2位は予想通りでしたが、想定していた以上にそれぞれのおかずにも票が入っていることに驚きました。お客様によって個々のおかずに愛着を持っていただいていることが分かり、嬉しく思います。1番好きなおかずに小梅やフタのご飯を挙げてくださる方がいるなんて、大変有難いです」とのコメント。
最後に「最初に食べるおかず」についてはこう語ってくれた。
「崎陽軒社長野並直文は『駅弁はご飯が一番大事』ということで常に最初にご飯を食べ、その日のお弁当の仕上がりを確かめます。また小梅を横によけて、梅の塩気がしみ込んだご飯を食べるのもまたおいしいと申しておりますので、よろしければ皆様もお試しいただければと思います」
なるほど・・・。ありがとうございました。
投稿にあったさまざまな食べ方は「シウマイ弁当」を愛する気持ちから、ファンが各々見出したのだろう。
食卓に並ぶ、お酒のおつまみとして食べる、ピクニックに持っていく・・・お弁当が置かれるそのときの景色によっても、楽しみ方が変わりそうだ。
取材を終えて
にこやかにアンケートに答えてくれる市民のみなさんの表情が、印象的だった。
どうか変わらず、これからも横浜のソウルフードとして地域を明るく照らしてほしい!
ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました!