チーイリチャーとはなんぞや
チーイリチャーのチーとは血、イリチャーはだし汁を使って素材を炒め煮にした料理のことで、つまりは「血の炒め煮」。
チーイリチャーがどれぐらい沖縄で食べられているかは新聞によると以下のとおり。
住民が平均して年1~2回程度食べるのは石垣市、久米島町、宜野座村、本部町、うるま市石川の5地域で、他市町村は年1回未満だった。県全体で「チーイリチャーを食べたことがある」と答えたのは20代で36.0%、60代で63.6%だった。
(琉球新報2015年12月18日『
「チーイリチャー」名物に タコライスに続け金武の味』より)
そもそも知らない、または名前は知っているけど食べたことがない、という沖縄の人も多いのがこの料理。
他の沖縄料理に比べて知名度が低い理由のひとつが
「血の料理ってなんだか生々しすぎるから」というもの。
市場で売られていた豚(ウヮー)の血
わかる。わかりすぎる。だって血だもん。
でも、これが美味しいのである。私は今年の初めに食べて感動してからすでに5~6回ぐらい食べている。沖縄県民が年1回食べるか食べないかの料理なのに、月1のハイペースである。それもわざわざ那覇から1時間かけて金武町まで行って。それほどに美味しいのだ。
さぁみなさんも、めくるめく血の世界へ!
金武でチーイリチャーを買い集めた
ひとことに血といっても本島南部では山羊の血、中北部では豚の血を使うらしい。名称もチーイリチャーではなくチーイリチーと呼ぶこともある。戦前では県内各地で食べられていた料理だが、今ではこの血の料理がもっとも食べられているのは本島北部の金武町。これは金武町が戦後いちはやく養豚業が再開できて豚の血を手に入れやすかったことと、久松食堂という食堂がチーイリチャーを40年以上前から出し続けていて金武で根付いていたことによるそうだ。
ということで、金武の名物料理チーイリチャーを買い集めて食べ比べてみた。
久松食堂
まずは金武でチーイリチャーと言ったらやはり「久松食堂」。
チーイリチャーを作るのは時間がかかるので自宅で作る人はあまりいないそう。だからこそ久松食堂が長年チーイリチャーを提供し続けていた功績は大きいのだ。
多くのメディアにも取り上げられており、6時間以上煮込んで作るチーイリチャーは県外や海外にまでファンがいるとか。
チーイリチャーだけでなく、「おかず」や「みそ汁」などの沖縄らしいメニューもある。
持ち帰りはご飯付きで700円。ご飯なしなら600円。
持ち帰ったチーイリチャーを冷凍保存することも可能。その場合はレンジで温めずお鍋に少量の油を加えて加熱すればいい。
ご飯付き700円
ちなみにお店で食べると沖縄そばも付いてきてボリューム満点。
お店には酢やスパイスなどが置いてあってそれを入れてみると味が変わって面白い
菜菜
続いては「菜菜(さいさい)」。
バイキング弁当とチーイリチャーを売るお弁当屋さん。同じく金武町に「じんじん」という居酒屋さんがあり、その姉妹店。
入り口にもチーイリチャー有りますの文字
バイキング弁当は店内に並べられたお惣菜からお弁当箱に入れるスタイルだが、チーイリチャーはお店の人によそってもらう。バイキング弁当にチーイリチャーを入れてもらうことも可能。
お弁当は300円から。チーイリチャーは小が450円、大は550円。
刻んだ生ニンニクを自分で好きなだけ入れる。
チーイリチャー弁当(小)で450円
めーかちわったーまちSHOP
金武でチーイリチャーを食べようと思ったら、もっともハードルが高いのが「めーかちわったーまちSHOP」。不定休でいつも開いているわけではない上、チーイリチャーのオーダーは予約が必要。しかし、それにもかかわらず那覇からの常連さんがいたりと、評判が高い。
シャッターが半分閉まっているのがお店の開いているサイン
店内は近所のおばさんたちの憩いの場となっている。
ここで食べることもできるが、一度座ると帰らせてもらえなそう。
お値段はご飯付きで500円。
他のお店との違いはあるんですか?と伺うと「お肉しか入っていないところかな」と言われた。
屋台村
いしじゃゆんたく市場の前にあるお弁当屋さん。
残念ながらめーかちわったーまちSHOPの開店と合わせたら、こちらの定休日だったため今回は買えなかったのだが。
他のお店が日曜日が定休日の中、ここは日曜日も営業している。
以前通った時に撮った写真
以前通った時に撮った写真
食べ比べよう
ということで買い集めたチーイリチャーがこれだ。
往復3時間。時間がかかったわりに3つである。
左がめーかち、右上が菜菜、右下が久松食堂
茶色いお弁当だ。
もっともボリュームがあるのは700円だった久松食堂。
菜菜とめーかちわったーまちSHOPは同じぐらいの重さだった。
久松食堂
美味しい。やっぱり美味しい。
ご飯の上にチーイリチャーを乗せ、生ニンニクを添えるのは、戦前からではなく戦後に久松食堂がはじめたことだそうだ。
キャベツやニンジンなどの野菜と一緒にお肉が炒めてありどろっとしている。まろやかなのに旨味が凝縮されていて、生のニンニクがアクセントとなりご飯が進む進む。
ちなみにニンニクだから臭いがすごいと思われそうだが、友人曰く「久松は臭わない」そう。
菜菜
うん?という顔をしているのは美味しくないからではない。こんな顔になるほど久松食堂とは味が全然違ったのだ。
こちらは炒め物という感じ。がっつり肉だが油っぽくはない。女性よりは男性の方が好む人が多そう。これも臭みはいっさいない。
めーかちわったーまちSHOP
あ、これも美味しい。お店の人が肉しか入っていないと言っていたとおり肉。赤身だけでなく脂身も入っているので、しっとり感は久松と菜菜の間ぐらい。お肉の形はしっかり残っているので、肉を食べている感がしっかりある。まぁ肉しか入っていないのだが。
まとめ
店ごとの味の違いをきちんとレポートするはずが全然言葉に置き換えられなかった。どの料理とも比較できない味なのだ。でも美味しい。間違いなく美味しい。
好みにもよると思うが、私が好きな順は
久松食堂→めーかち→菜菜だった。
久松食堂はクセは少なく旨味は多く、誰が食べても美味しいはずだ。
ちなみに久松食堂には「チースパ」というチーイリチャーを沖縄そばに絡めてチーズをトッピングして食べるという、チーイリチャーなのか沖縄そばなのかタコライスなのかわからないメニューもあるがこれも美味しい。
なにせ血とニンニクをたっぷり食べたら暑い夏も元気に乗り越えられそうなのがいいですね!