特集 2016年6月24日

白身魚フライは本当にメルルーサなのか

ぜんぶフライにしました
ぜんぶフライにしました
スーパーや弁当屋の惣菜の定番に「白身魚のフライ」がある。何気なく食べてるけど、あの白身魚って結局何だろう?

というか、フライにしていちばん美味しい白身魚はどれだろう?

8種類の白身魚を揚げてみた。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

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「白身魚」という漠然としたもの

そういえば今まであまり疑問を持っていなかった。弁当屋で390円の「のり弁」の上に乗っている「白身魚のフライ」の「白身魚」が何なのか。いわゆる「フィッシュバーガー」の「フィッシュ」が何なのか。

調べてみると、基本的にはタラの仲間を材料にしていることが多いらしい。スケソウダラを筆頭に、メルルーサやホキなどが使われているという。

ちょっと待って。メルルーサやホキってあまり聞いたことない。いかにも外来魚みたいな名前だけど食べてみたい(食べてるんだろうけど)。あとそれ以外の白身魚もフライにして食べてみたい。その、メルルーサとやらを超える白身魚はないのか。

というわけでスーパーに出向き、以下の白身魚を買ってきた。
スーパーで購入したのは7種類(マウスオンで魚の名前が出ます)
スーパーで購入したのは7種類(マウスオンで魚の名前が出ます)

選手紹介

近所のスーパーを3店まわって、買ってきたのは以下の白身魚たち。まずは泣く子も黙る高級魚マダイ。
ああ美しい...刺身で食べたい...
ああ美しい...刺身で食べたい...
続いてあまり聞き慣れないアブラカレイ。
これも美しさではまったく負けていないのでは
これも美しさではまったく負けていないのでは
たぶんまだ食べたことないサメ。
切り身なのに凶暴そう
切り身なのに凶暴そう
フライより焼いたり煮たりするイメージのアカウオ。
いかにも粕漬けが似合いそう感
いかにも粕漬けが似合いそう感
これが本命かマダラ。
スケソウダラが見つけられなかったのでこれで
スケソウダラが見つけられなかったのでこれで
単価としてはいちばん高かったかも知れないイサキ。
初めて1尾で売られていたのを加工窓口で3枚おろしにしてもらった
初めて1尾で売られていたのを加工窓口で3枚おろしにしてもらった
これもまるごと1尾をさばいてもらったスズキ。
安くはないが大きいのでお得感がある
安くはないが大きいのでお得感がある
メルルーサはスーパーをめぐっても見つけられなかったので通販で買った。ホキはすぐ手に入るものが見つからなかったので今回は見送り。
メルルーサが届いた!意外にも大手ブランド品である
メルルーサが届いた!意外にも大手ブランド品である
拍子抜けするほど普通の切り身だった。しめ鯖っぽい
拍子抜けするほど普通の切り身だった。しめ鯖っぽい

さっそく揚げますよ

以上の8種類の白身魚をフライにしてみる。塩胡椒したら小麦粉をまぶし、卵をつけてパン粉を纏わせる。そして熱した油に投入!
塩胡椒をして馴染ませたら(マウスオンで魚の名前が出ます)
塩胡椒をして馴染ませたら(マウスオンで魚の名前が出ます)
小麦粉、卵、パン粉をつけて(マウスオンで魚の名前が出ます)
小麦粉、卵、パン粉をつけて(マウスオンで魚の名前が出ます)
熱した油で気持ちよく揚がれ!(マウスオンで魚の名前が出ます)
熱した油で気持ちよく揚がれ!(マウスオンで魚の名前が出ます)
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からりと揚がりました

こまめに油の温度管理をしながら丁寧に揚げたのですごく時間がかかったけど、すべての魚が揚がった。さっそく試食をしてみよう。
マウスオーバーしても魚の名前出ません(どれがどれかメモするの忘れた)
マウスオーバーしても魚の名前出ません(どれがどれかメモするの忘れた)
試食、とは言っても白身魚フライなのでそれほどわくわくはしないけれど、でもどのくらい違いがあるのか、もしくはないのか、少しドキドキする。

マダイ

では揚げた順で、まずはマダイから。
白さが際立つマダイの白身魚フライ断面
白さが際立つマダイの白身魚フライ断面
まず何より感じるのは繊維が細かくてふわふわ、噛むとほろほろと崩れる。色も純白でこれは高級な感じがする!

調味料として醤油、ソース、タルタルソースを用意していたんだけど、これはもうタルタル一択。おいしいけれど上品過ぎてごはんのおかずにはならない感じ。

山手線の内側にしか存在しなさそうな白身魚フライである。

アブラカレイ

次はアブラカレイ。フライ以外でも食べた記憶がないけれど、どんな味なのだろう。
しっとりしているのが見た目でもわかる
しっとりしているのが見た目でもわかる
これはちょっと驚いた。すごく柔らかくて美味しい!衣がカリッと、身がしっとりとしてそのコントラストがいい感じ。そしてその名の通りジューシーな脂分を感じる。その脂に醤油がベストマッチ。のり弁の白身魚フライより好きだけど、2つ目を食べたら脂分がちょっとくどく感じてしまった。

ここぞという時に実力を発揮、ワンポイントリリーフな白身魚フライである。

サメ

続いてはこれも初体験のサメ。サメと言ってもいろいろ種類はあると思うけど、ラベルにはサメとしか書かれていなかった。
みっしりしている
みっしりしている
固くてクセのある魚、を想像していたらこれが正反対。繊維が細かくてみっしり締まっている。魚っぽいクセはなく、どちらかと言うと肉みたい。いちばん合う調味料はソースで、密度が濃いので食べた満足度も高い。ミルカツを食べているような錯覚になった。

サメ、あんなに凶暴そうなのに、その実態は従順な白身魚フライだった。

アカウオ

定食の友、アカウオ。なんとなく和の魚、という感じがするけどフライはどうか。
昔のフィアットのマークのような断面
昔のフィアットのマークのような断面
これはひと口食べて笑ってしまった。パン粉をつけて揚げたはずなのに完全に和食の味で、脳は煮魚を食べているような錯覚を起こすのだ。繊維ひとつひとつが大きくて魚っぽいクセが強く、脳内にある味と食感のビッグデータと照らし合わせると煮魚が弾き出される、という感じ。何口食べてもフライとは認識されなかった。

弁当屋よりもやよい軒や大戸屋が似合う白身魚フライである。
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マダラ

今回の本命、マダラ。家庭で作る白身魚のフライと言ったらふつうこれだろう。
見た目のバランスも取れている
見た目のバランスも取れている
これはもうそのままタラを揚げたもの。ややしっかりしているけれど、ここまででいちばん市販の白身魚フライに近い。というかこれも売られていると思う。醤油もタルタルも合うけれど、タルタルをつけたら某巨大ハンバーガーチェーンのフィッシュバーガーに激似だった。あー、あのフィレ、これかー。

そんな、グローバルスタンダードな白身魚フライだった。

イサキ

次はイサキ。たぶんあまり食べてこなかった魚だなー。
そういえば皮をつけたままだった
そういえば皮をつけたままだった
これもアカウオと同じ現象が起きた。和の魚の風味があって、種類が違うのに、大きさや食感からアジフライを食べているような気分になるのだ。タルタルは合わず、醤油をかけると本当にそのままアジフライ。

でもアジフライならもっと安い。コスパがイマイチな白身魚フライだった。

スズキ

続いてはスズキ。これは和でもフライでもなく、岩塩とか香草とかと一緒に焼く魚、という印象である。
ぱっと見はこれもアジフライっぽいけれど
ぱっと見はこれもアジフライっぽいけれど
すごくあっさりしている。淡白だけどなぜか飽きない味。醤油もソースもタルタルもいまいち合わず、下味の塩胡椒で十分おいしく食べられてしまう。なんというポテンシャル!これはかなりおすすめである。

マダイほどの気品はないけれど、素直で明るい、育ちの良さを感じる白身魚フライだ。

メルルーサ

最後はいよいよ登場のメルルーサ。ネットでハンドルネームはよく見かけるけど本名を知るのは初めて、というような距離感。緊張する。
たぶん見たことあるよねこの断面
たぶん見たことあるよねこの断面
ひと口食べて、あっはっは、あーやっぱり君かー!という安心感。間違いない、市販のすべてがそうだとは言わないけど、少なくとも職場の近くの弁当屋で、たまに食べるのり弁に入っている白身魚フライは間違いなくメルルーサである。馴染みのない名前だけどすごい親近感。魚の味もちゃんとして、繊維の大きさもちょうど良い。やっぱり白身魚フライと言えばメルルーサと言っていいんじゃないかと思う。フライ以外の料理も食べてみたい。もっと流通してほしい魚だ。

飛び抜けて美人ではないけれど、会いに行ける身近なアイドル的白身魚フライだ。

総合力でメルルーサ

ひとくちに白身魚フライと言っても、それぞれ特徴があって美味しかった。その中でメルルーサは市場ではそうとう安いらしく、値段も含めた総合力で圧倒的なんだと思うけど、個人的にはアブラカレイやスズキも良かった。あとサメもまた食べたい。
残った魚も全部揚げたので今後数日間は1日2食白身魚フライが続く
残った魚も全部揚げたので今後数日間は1日2食白身魚フライが続く

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