特集 2016年4月16日

「ここから、徒歩1時間59分」の看板から2時間13分で到着した

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「横浜中華街に『ラーメン博物館まで1時間59分』という案内看板が設置されていました。実際に歩いたらどのくらいかかるのでしょうか。」という投稿がオイスターソースさんからはまれぽ.com編集部へとどいた。

調査してみたら「『ここから、徒歩1時間59分』の看板から2時間13分で到着。信号や歩く速度で前後する。設置から9日間、実際に歩いたという報告はまだない 」ということだった。
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ラーメンはもう食べた

横浜中華街になぜ来たのか、100人に聞けば「中華料理を食べに来た」からだと、95人ぐらいは答えるのではないかと思う。中華街にいるのは「中華街で食事をしたい人」が大半だ。

なぜ、そのような当たり前のことを言うかというと。
この看板
この看板
中区山下町185の喫茶店「エル」の上に設置されている。

投稿にあるように「本当に1時間59分」なのか、ということも確かにキニナるが、加えて横浜中華街で腹を満たした人たちに対して何を訴えたいのか、スタンスが謎。
行きますか? ねえ、行きます? 「徒歩」で
行きますか? ねえ、行きます? 「徒歩」で
みなさんどう思います?
みなさんどう思います?
10分ほどその場で周囲を観察したが、看板に反応していたのは60代ぐらいの奥様グループ1組のみ。「新横浜ラーメン博物館だって」とつぶやいていたので、お声がけし「行きますか?」と伺うと「いや…今日は中華街に中華料理を食べに来たから…」とのことだった。

ですよね。
看板の向かいに座っていた、れおさん(左)といよさんに直撃
看板の向かいに座っていた、れおさん(左)といよさんに直撃
香川県在住のお二人は「オーストラリア帰りで横浜から東京へ観光」というダイナミックなルートで行動。この機動力があれば今からラーメン博物館に行くのではと思ったが、看板を見て「…看板の意味がないですよね。案内されても徒歩では行かないでしょ」と現実的なコメントをくださった。

消費者の目線って、シビアだ。みなさま、貴重なご意見ありがとうございました。

1時間59分って何

では、そろそろ行きましょうか。3月下旬、正午前。中華街まで来たのに何も食べずに「ラーメン博物館」へ。
おなかすいた(撮影:れおさん。ありがとうございます)
おなかすいた(撮影:れおさん。ありがとうございます)
今回は編集部・山岸が看板の広告文言に挑む。理由は「超がつくほどの方向音痴」だから。取材先に行く際でもiPhoneで見るマップのルートを理解できず、ライターに携帯ごと渡し「案内して…」というぐらい方向感覚がない。新人時代は関内駅から徒歩5分の編集部まで迷って遅刻をしそうになったことが何度もあった(懐かしいなあ)。

さておき、今回仮に分かりづらいルートでしかラーメン博物館に行けなかったとしたら、はまれぽ編集部としては「電車で行きましょう」とおすすめするつもりだ(電車だと約40分)。
スマホでGoogleMapのGPSを見ながらでも目的地に着けない
スマホでGoogleMapのGPSを見ながらでも目的地に着けない
では、ルート検索をしてみよう。
えー
えー
全力で「1時間53分」と主張する携帯の画面に困惑。何度検索しなおしても1時間53分。看板に偽りあり。いや、山岸がGoogle先生を信じすぎているのか。
6分多いです
6分多いです
この段階で調査の方向性がかすんだが、もしかしたら「実際に歩いたら1時間59分」なのかもしれない。

午前11時50分、看板の下から新横浜ラーメン博物館に向けて出発した。
歩きスマホは危険。交差点手前で立ち止まり道をチェック
歩きスマホは危険。交差点手前で立ち止まり道をチェック
いい天気。鼻歌まじりで開港広場
いい天気。鼻歌まじりで開港広場
セルフタイマーで撮影。カメラも日差しを浴び白飛びする季節になった
セルフタイマーで撮影。カメラも日差しを浴び白飛びする季節になった
まだ元気
まだ元気
中区から西区に突入し、スタートから20分ほどは人通りの多い観光スポットを歩く。開港広場~横浜赤レンガ倉庫~パシフィコ横浜まで、散歩にはもってこいのエリアだ。
気持ちよし
気持ちよし
お日様大好き
お日様大好き
これから神奈川区に向かいます
これから神奈川区に向かいます
ここまでで49分経過
ここまでで49分経過
神奈川区に入り、横浜市中央卸売市場の前で60代ぐらいのおじさまに山岸の姿の撮影をお願いする。「どこ行くの」と聞かれて「ラーメン博物館です」と答えると「みそラーメンが好きそうだね」と言われる。みそ顔…?
ここまで道は間違えず
ここまで道は間違えず
いったん広告です

新横浜ラーメン博物館への道

先日お世話になった「つた金」や
先日お世話になった「つた金」や
川窪牛肉店を通過し
川窪牛肉店を通過し
滝の川沿いを歩く
せり出した家を見てドキリとし
せり出した家を見てドキリとし
そして国道1号と交差する広台太田町の交差点を東白楽方面へ
そして国道1号と交差する広台太田町の交差点を東白楽方面へ
そんなこんなで歩けばもう1時間20分経過
そんなこんなで歩けばもう1時間20分経過
閑静な住宅街、神奈川区平川町を越え
閑静な住宅街、神奈川区平川町を越え
六角橋へ向かい歩みを進める。「ボンメイト」の看板に挨拶
六角橋へ向かい歩みを進める。「ボンメイト」の看板に挨拶
新しくなった六角橋商店街のアーチを右手に見て
新しくなった六角橋商店街のアーチを右手に見て
カメラが被写体を嫌がっているからか、白飛びを繰り返す
カメラが被写体を嫌がっているからか、白飛びを繰り返す
…暑い(取材日の最高気温は21度!)。そして何より、空腹だ。ただ、唯一テンションを上げているのは「道が分かりやすい」こと。ほとんどここまで「まっすぐ」歩いている。しかし、ちょっと疲れた。休憩なしで1時間以上歩いているので足が張っている。むー。
1時間37分経過。ついに見えてきた。「新横浜」の文字
1時間37分経過。ついに見えてきた。「新横浜」の文字
横浜市営地下鉄の駅がすぐそば、岸根公園。電車に乗ろうか本気で迷う
横浜市営地下鉄の駅がすぐそば、岸根公園。電車に乗ろうか本気で迷う
日なたで憩っている壮年の紳士に撮影していただきました
日なたで憩っている壮年の紳士に撮影していただきました
その後、ちょっとした油断がまずかったのか、初めて道を間違えた
その後、ちょっとした油断がまずかったのか、初めて道を間違えた
看板どおりだとあと14分で目的地に到着予定だが、この距離感だとなかなかどうして、怪しい雲行き。歩く速度は一定なはずだが、果たしてどうなるか。
コンビニがない「篠原町」を歩くと見えてきた、新横浜プリンスホテル
コンビニがない「篠原町」を歩くと見えてきた、新横浜プリンスホテル
あ、新横浜駅だ
あ、新横浜駅だ
もうすぐ、もうすぐだ…もう…
時間ぎれ
時間ぎれ
看板から「1時間59分」の場所は篠原町2987付近。歩みを止めず、ゴールまでどのくらいの時間がかかるか計測してみよう。
新横浜駅、篠原口の
新横浜駅、篠原口の
地下道を抜け
地下道を抜け
オフィス街を通り
オフィス街を通り
到着・・・
到着…
1時間59分ではなく2時間13分かかった
1時間59分ではなく2時間13分かかった
写真を撮影したり1度だが道を間違えたりサイドゴアブーツで歩いたりしていたこともあり、多く時間がかかったのかもしれない。33歳、ちょっとガニ股で歩く酒量の多い女性のスペックだとこのぐらいだという参考記録にしてほしい。にしても、1時間59分で到着しなかったことが少し悔しかった。

そして2枚前の不自然な写真には触れずにこのまま記事をしめようかと思ったのだが、そうもいかない。検証にあたり新横浜ラーメン博物館の方に主旨を伝えており、なんとサプライズで山岸を待っていてくださったのだ。
・・・うれしい
…うれしい
「麺に見立てた」というゴールテープ? を構え、写真も撮影してくださったサービス精神あふれるスタッフの方々の厚意に疲れがぶっ飛ぶ。

「どうでしたか?」「どうでしたか?」と感想を求める営業戦略事業部の中野正博(なかの・まさひろ)さんに、正直にかかった時間をお伝えすると「そうでしたかー!」と笑顔(いいのか…?)。「私たちもこれから検証したいと思っているんです」と、ここで当事者が検証をしないであの看板を設置したことが発覚した。
「ラー博特製の冠」をかぶせてくださり顔がくずれる(中野さん撮影)
「ラー博特製の冠」をかぶせてくださり顔がくずれる(中野さん撮影)

看板の意図

気を取り直して、看板設置の経緯を伺った。
中野さん。出迎えてくださってうれしかったです
中野さん。出迎えてくださってうれしかったです
「ちょうどあの位置が空いたので、より多くのお客さんに来てもらおうと看板を設置しました。設置日は2016(平成28)年3月22日です」

宣伝のための設置場所が適切かどうか伺うと「みなさん中華街に来たら中華料理を食べて行かれるので、あの看板を見る方はすでにおなかがいっぱいだと思うんです。なので、あえてラーメンの写真などは入れずにどうにか存在をアピールすることができたらと…」とのお答え。
確かにインパクトはありますね
確かにインパクトはありますね
本気で1時間59分もかけて徒歩でラーメンを食べにきてほしいとお考えでしょうか? と伺うと「そうですね。腹ごなしをしながら!!」と笑顔でお答えくださった。

1時間59分という時間の算出については「GoogleMapで出てきたんです」とのこと。
春休みでにぎわう「ラー博」
春休みでにぎわう「ラー博」
山岸が検索したGoogleMapでは1時間53分であったことと、実際に2時間13分かかったことについては「交通状況によってもいろいろありますから!!」とざっくりしたコメントだった。

今まで「看板を見て歩いてきた」という声も「看板と時間が違う」というクレームもないという。費用対効果がいいかどうか伺うと「すでにメディアの取材が3件きたんです」と、好調な様子だった。

確かにシュールでインパクトがある看板。「あくまで中華街で美味しくご飯を食べてから、ラーメン博物館に来てほしい」という意図を知り、謙虚なふりをして図々しい宣伝文句はサバサバしていて気持ちいいなと思った。

ちなみに、本当に徒歩でラーメン博物館まで歩く際、「我慢ができないほどラーメンが食べたい」と思っている方は注意していただきたい。中区・西区・港北区のルートでは見かけなかったが、神奈川区のルートで10店舗ほどのラーメン店を発見した。
六角橋周辺はラーメン激戦区
六角橋周辺はラーメン激戦区
このあたりでは、わき目を振らず、目的地に向かうしかない。

取材を終えて

腹ペコだったので、ちゃっかりラーメンもいただいてきた。
ドイツ生まれの有名店「らーめん無垢」にて「無垢ラーメン(900円)」
ドイツ生まれの有名店「らーめん無垢」にて「無垢ラーメン(900円)」
しっかり歯ごたえのあるモチモチの麺はピザ粉を使用。鶏ガラと豚骨のスープはコクがあり甘味が強いがしつこくないので、どんどん飲んでしまった。

そして、中華街からの徒歩ルートは分かりやすいが、足がパンパンになり、ラーメンを食べただけで一気に眠くなったので体力に自信がある人のみチャレンジしてほしい。

―終わり―

新横浜ラーメン博物館
http://www.raumen.co.jp/
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