特集 2016年4月12日

たこ焼きはフランス料理のソースで食べても美味い

たこ焼き+フレンチは余裕でいける。
たこ焼き+フレンチは余裕でいける。
ふと、気がついた。
たこ焼き、なにかけても美味いな。
もちろん基本的にはたこ焼きソース+カツオ節+青のりが黄金コースなんだろうが、でも、他にいろいろかけても美味いのだ。
刻みネギをぶっかけて醤油ダレとか、そういうのにも余裕で受け止めるたこ焼きの地力というか、潜在力の高さ。

じゃあ、たとえば何かこう、フランス料理のソースとかかけたら、たこ焼きはどうなるのか。
あいつ、やってくれるのか。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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たこ焼きなんでも受け止める説

なんでこういう流れになったかというと、たこ焼きチェーン『銀だこ』のアレが美味かった、ということなのだ。
京都・大阪に30年近く住んでたけど、銀だこ最強ですよ。
京都・大阪に30年近く住んでたけど、銀だこ最強ですよ。
銀だこの普通のたこ焼き自体は、外カリカリ、中とろっ、ソースの香りとカツオ節がふわっ…という誰が食べてもテンション上がるやつだ。

でも、アレは果たしてどうなのか。アリなのか?と前から疑問だった。
たこ焼き=ソースという固定概念が邪魔をするやつ。でも美味い。
たこ焼き=ソースという固定概念が邪魔をするやつ。でも美味い。
それが、銀だこの定番メニューになっている、タマゴサラダ+てりやきソースの『てりたま』だ。

たこ焼きはソースだろう、という思い込みのせいで今まで食べずに避けてきた。が、たまたま機会があって食べてみたら、ちゃんと美味いじゃないか。
甘辛い醤油系のタレと、マヨネーズ入りタマゴサラダのこってり感が、カリッとした食感に合う。ダシをふくんでとろっとした小麦粉に合う。タコの旨味に合う。

すごいな、たこ焼き。
じゃあ、もっとハードル上げてフレンチとかイタリアンのソースで食べてみよう。
名前聞いても「なに言ってんの?」ぐらいにしか思えないソースの数々。
名前聞いても「なに言ってんの?」ぐらいにしか思えないソースの数々。

高級ソースたこ焼きへの道

とは言え、そんな高級そうなソースなどまともに食べた記憶も無いので、本を見ながらレシピ通りにやっつけることにしよう。
作りながら味見をしてもピンとこないが、たぶん合ってる、ということにする。
作りながら味見をしてもピンとこないが、たぶん合ってる、ということにする。
ソースは自作したが、たこ焼きは個体差を揃えるためにプロにお任せした。
要するに、たこ焼き屋さんに「ソースとか全部無しで」とお願いして買って来ただけなのだが。
いわゆる「素たこ焼き」。
いわゆる「素たこ焼き」。
ここにお馴染みのたこ焼きソースとマヨネーズをかけて…といきたいところだが、今日はちょっとお高い所から攻めさせてもらおう。
焼きたてのアッツいところにフレンチのソースをかけて試食。
焼きたてのアッツいところにフレンチのソースをかけて試食。
カツオ節だの青のりだのネギだのばかり上からかけられてきたたこ焼きが、いま、名前もよく分からないような、でもなんか高級そうなソースをかけられていく。

大丈夫か。やれるのか、たこ焼き。

Sauce vin blanc(たこ焼きのヴァン・ブランソース添え)

まずはフランスの魚介料理によく使われるらしい、ヴァン・ブランソースをかけてみた。
たこ焼きも魚介(タコ)料理と言えなくはない。
斬新なたこ焼きビジュアル。
斬新なたこ焼きビジュアル。
炒めたエシャロットを白ワインで煮詰めて、フュメ・ド・ポワソン(魚のダシ)を加えて生クリームで仕上げた白いソースである。

エシャロットとか フュメ・ド・ポワソンとか何やねん、という感じだが、ネットで見たらエシャロットは玉葱で、フュメ・ド・ポワソンはカツオだしで代用可とのことだったので、簡単路線で仕上げてみた。

元々の味をまともに知らないので、この際代用でもぜんぜん問題が無い。
では、いただきます。
では、いただきます。
おわー。なんだこれ。すごい旨い玉だ。
おわー。なんだこれ。すごい旨い玉だ。
あ、うまいわー。

ソースが普通に美味くできたんだけど、たこ焼きが負けてない。
生クリームのコクと白ワインの酸味、魚介ダシの旨味がカリッとろっとしたたこ焼きに染み込んで、ものすごい幸せな味がする。
魚介料理のソースだけあってタコにもばっちり合う。

たこ焼きという料理の無い世界の人にこれを教えたら、回り回ってなんかの都合で王様になれるんじゃないか、ぐらいの美味さだ。
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Sauce hollandaise(たこ焼きのオランデーズソース添え)

続いては、卵の黄身とバターにレモン汁をあわせたオランデーズソースだ。

ちょっと前に流行ったエッグベネディクトとかにかかってる、どろっとした黄色いソースである。
見た目に高級感あるぞ。
見た目に高級感あるぞ。
オランデーズソースと言うと高級っぽいが、これ、バターの代わりにサラダ油を使ったらほぼマヨネーズができるのだ。
ほぼマヨネーズ。高級マヨネーズだ。
なんだ。じゃあ、たこ焼きに合わないはずはないな。
当然のように美味いわ。
当然のように美味いわ。
すごいコッテリとしたマヨネーズっぽいソースは単体だとすぐ飽きそうだが、合間にたこ焼きのダシ味が丁度良く挟まるので、味が変わって延々と美味い。
で、あとくちはレモンの酸味でさっぱり。

まずくなる要素は最初からゼロだと確信していたが、それでも、たこ焼きの受け止める力も大したものだ。

Pesto alla genovese(たこ焼きのジェノベーゼ)

続いてはイタリア料理のソースで、パスタなどでおなじみジェノベーゼソース。
白とか黄色のソースが思ったよりたこ焼きに合って写真写りが良かったので、ついでに緑色もやってみたかったのだ。
これもちゃんと高級たこ焼きっぽい。
これもちゃんと高級たこ焼きっぽい。
バジルのペーストにニンニクや粉チーズ、アンチョビなどいろいろ足した、これ単体でかなり美味いソースである。

果たしてこの濃厚な美味さをたこ焼きが受け止めきれるのか。
何の抵抗もなく受け止めた。
何の抵抗もなく受け止めた。
何の問題も無く、美味い。そして、すごく覚えがあるというか、既視感のある味が。
これ、ピザだ。
カリッとした歯応えに、ソースに入ってるバジルとチーズとアンチョビ、そしてタコ。
普通に、シーフードが乗ってるピザの味だった。

うなぎのタレ(たこ焼きにうなぎのタレかけたやつ)

最後に、高級ソースの日本代表として、うなぎのタレをたこ焼きにかけてみた。
うなぎのタレに山椒をプラスするも、高級感はあまり無かった。
うなぎのタレに山椒をプラスするも、高級感はあまり無かった。
冷静に考えてみたら、最初のてりたまたこ焼きがすでに甘辛いてりやき風タレを使っているので、合わないはずはない。

ただ、市販のタレに入っているうなぎダシ(うなぎ骨を煮だしたもの)がどうたこ焼きに作用するか?
美味いに決まってるって。
美味いに決まってるって。
とか考える間もなく、やっぱり美味かった。
うなぎの香ばしい風味が、単なる照り焼きタレ味のたこ焼きからグレードをちょっと上げた感じ。
あと、ついでにかけてみた山椒が予想以上にちゃんと働いてた。甘辛いだけで終わらない、大人のたこ焼きだ。

あれこれかけたものを全てをいったん受け止め、さらなる美味しさで投げ返す。
まるで合気道か何かの達人技のようである。今度から、たこ焼きのことは屋台フード界の植芝盛平と呼びたい。

今回はソースを三つ試して、一勝一敗一分け…ぐらいでも記事として成立するかなと思っていたのだが、なんと全勝、しかも余裕の圧勝だった。
たこ焼きの地力、恐るべしである。たぶん塩水つけるだけでもふつうにいけるんじゃないだろうか。

作ったことのないソースなんかで無理して挑戦しなくても良かったと思う。
しれっと完成したのだけ見せたけど、オランデーズソースは3回失敗した。難しい。
しれっと完成したのだけ見せたけど、オランデーズソースは3回失敗した。難しい。
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