特集 2016年2月11日

ばれないように座りたい

立っているように見えますが、座っています。
立っているように見えますが、座っています。
立つよりも座る方が好きだ。みんなそうだろう。

駅のホームで電車を待つときや待ち合わせで相手が来るまでの時間など、できることなら座っていたい。近くに椅子があればいいが、見つからないことの方が多い。

そんな座りたさが高じて、先日とうとう持ち運びできる折り畳みのイスを買った。これさえあればどこでも座れる。それもできるなら、ばれないようにこっそり座りたい。
その願いを叶えるため、座っているのがばれないイスを作ることになった。
1991年北海道生まれ。会社員。推理小説が好き。名探偵になる夢は諦められても、怪人への憧れは捨てきれない。


> 個人サイト わたしたわしじゃないじゃない

立っているように見えるイス

まずはこちらの写真をご覧いただきたい。
説明がないと何のことやらわからない写真だと思う。
説明がないと何のことやらわからない写真だと思う。
ただ立っているだけじゃないかと思われるかもしれないが、お尻の下をよく見ていただきたい。別に変な意味ではなく、よく見ればそこにイスがあるからだ。
こぶしを握り締めているのは寒かったから。
こぶしを握り締めているのは寒かったから。
角度を変えてみると何かがあるのが分かりやすい。
これが今回作ったイスである。

かなり便利だぞこれは

作ったといっても一から作ったわけではなく、既存のイスにちょっとした工夫を施して見えなくしたのだ。
少し特殊なものなので、まずはそのイスを紹介したい。
ケースから出して、
ケースから出して、
持ち上げると勝手に組みあがる。
持ち上げると勝手に組みあがる。
移動中は杖としても使えます。
移動中は杖としても使えます。
Flip stick(フリップスティック)という商品で、Amazonなどの通販サイトで購入できる。自転車のサドルに棒を刺したような見た目だが、公式サイトを見ると、実際にそのような経緯で発明されたと書いてあった。

アナグマを観察するために作ったらしい。アナグマを見るためのイス。あまりにニッチだが、実際に私はお金を払ってそのニッチを買い、ニッチの上に座っている。
信号待ちでもこの通り。
信号待ちでもこの通り。
このイス、非常に便利なのだが、ちょっとした問題がある。妙に目立つのだ。実際に使っていると近くにいる人の視線が自分の足元に集中するのが分かる。これはちょっと恥ずかしい。

企画会議の際にイスを見せながら、目立つのをどうにかしたいと相談したところ「消してしまえばいいのでは?
という意見を頂いた。

イリュージョン!

「消してしまう」と一言でいっても、実際に消すのは魔法使いでもなければ無理だ。そもそも魔法が使えればいちいち座る場所を探す必要もない。足腰を強靭にする魔法とか、きっとあると思う。

イスを消すためには、魔法ではなく鏡を使う。
身体が透けている! ように見えてほしい。
身体が透けている! ように見えてほしい。
背景と同じ風景を鏡に映せば、鏡の部分が透けているように見えるというトリックである。

撮影の際、上着を着ていると何が起こっているのか分かりにくいので、コートを脱いで撮ったのだが、なかなかうまくいかず寒空の中、十分ほど鏡の角度を調整し続けることになった。
万華鏡を裏返したらきっとこんな感じ。
万華鏡を裏返したらきっとこんな感じ。
このトリックを利用してイスのケースを作る。
鏡を切ってプラスチックダンボールに張り付け、角筒状にした。これをイスの脚に被せてしまえば、周囲の風景が反射してイスが見えなくなるという目論見だ。
どの角度で撮っても部屋のカーテンが写りこんでしまう。
どの角度で撮っても部屋のカーテンが写りこんでしまう。

さっそく試してみる

床の線に注目していただきたい。
床の線に注目していただきたい。
サドル状の部分までは鏡で覆えなかったが、座ってしまえば見えなくなるので問題ない。
完全に消えて見える角度を探したが、これが限界だった。
完全に消えて見える角度を探したが、これが限界だった。
表情が硬いのは寒かったからです。
表情が硬いのは寒かったからです。
さっそく試してみたのが上の写真だ。
どうだろう。期待していたほどには消えていない気がする。いや、気がするどころか光の反射ではっきりと鏡が見えてしまっている。

足の間に鏡を入れている人がいたら、かなり不審だし何やら犯罪の匂いがしなくもない。
こんなはずではなかった。
こんなはずではなかった。
中には一旦立ち止まって、何をしているのか確認する人までいた。目立ちたくないから作ったはずなのに、これでは本末転倒だ。私はばれないように座りたいのに。

場所をかえてもう一度

敗因を分析するに、さっきの写真で鏡が見えてしまったのは、床の柄が悪かったからだ。今まで床の柄を気にせず生きてきたツケが回ってきた。

どんな床ならばれずに座れるのか。街を歩き回って鏡を置き、なるべく目立たない床の傾向を掴んだ。秘伝の床選びのコツはこの3つになる。

・光の当たり方が均一である
・タイルなどごちゃごちゃした床は意外と適している
・たぶん草原が最適だと思う

これらを考慮したうえで、撮影したのがこちらだ。
待ち合わせでケータイを見ている設定です。
待ち合わせでケータイを見ている設定です。
新宿駅東口前の床が、ちょうど細かいタイル状になっていた。どうだろう。今度こそ立っているように見えるのではないだろうか。見えてほしい。そうでないと困ってしまう。

ばれずに座れるおすすめスポット

さらにあちこち探し回った結果、一番バレずに座れる場所を見つけた。駅のホームだ。ホームといえば、座りたい場所ランキング一位のスポットである。(自分調べ)
遠くから見れば何が起きているか分からない。
遠くから見れば何が起きているか分からない。
ここまで近づけば違和感に気付くかもしれない。
ここまで近づけば違和感に気付くかもしれない。
知らなければイスに座っているとは思わないだろう。
知らなければイスに座っているとは思わないだろう。
一番こっそり座れる場所は、一番座りたい場所だった。幸せの青い鳥をおしりの下から見つけたような展開だ。
パソコンから1mくらい離れて見てください。
パソコンから1mくらい離れて見てください。
ホームの床はざらつきがあり、補修の痕らしき唐突な継ぎ目があるので、多少違和感があっても鏡の存在に気付かれにくい。ばれずに座るならホーム。この知識を活かして、今後も座って過ごしていきたい。
宙に浮いている写真にはならなかった。
宙に浮いている写真にはならなかった。

暖かい場所で座っていたい

撮影を行ったのは寒波が押し寄せて東京にも雪が降った翌日である。路面にはまだ雪が残っているし、風が強くてとても寒い日だった。
「こんなことなら家で座っていればよかった」と何度も思った。座りたいなら家が一番良い。間違いない。

あと寒い中、文句も言わず撮影に付き合ってくれたKさん、ありがとうございました。
駅前では食べる除雪が行われていた。
駅前では食べる除雪が行われていた。
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