ライオンに襲われる寝袋
女優・松島トモ子さんの女優活動を、私は『ミネラル麦茶』のCMくらいしか知らない。
しかし、テレビ番組の取材中にライオンに襲われ大怪我を負い、その数日後に今度はヒョウに襲われて再び大怪我を負ったということは知っている。
ライオンに襲われるだけでも大事件なのに、加えてヒョウである。
そんなスペクタクルな人生に痺れる、憧れる!でも、痛い思いはしたくない。
そこで考えたのが、『野生動物に襲われている気分になれる寝袋』だ。
これが『野生動物に襲われている気分になれる寝袋』だ!
横たえると棺のようにも見える。
ライオンをイメージした寝袋に入ることによって、ライオンに食べられている気分を味わうというものである。
さっそく入ってみよう。
脚から食べられていく。
首まで食べられた。
全身まる飲みされました。
冬の公園で撮影しているにもかかわらず、とても暖かい。手間を惜しんでコートを脱がずに着用したら暑すぎるほどだった。
きっと取材中の松島トモ子さんも、ケニアの空の下で焼け付くような暑さを感じていたことだろう。
また、ライオン寝袋にはフードにたてがみを意識したひらひらの飾り(正式名称分からず)を付けているのだが、このため視界が非常に悪い。
たてがみが視界をさえぎる。
編集部・橋田さんに写真撮影をお願いしたのだが、私の視界に入っていないところでひっそり帰ってしまっていないかと不安になった。
ひとり、この恰好で公園に置き去りにされたら恐ろしすぎる。
きっとライオンに襲われた松島さんも、自分はこのままケニアの地で果ててしまうのかと恐怖と不安でいっぱいだったのだろう。
この寝袋で感じる暑さや不安、恐怖を2万倍くらいにして、さらに痛みを加えたら松島トモ子さんの気持ちに近付けるのではないだろうか。
試してもらいました。
橋田さんにも試したもらったところ、「襲われているかはともかく、結構暖かいですね」というコメントをいただいた。
おそらく、橋田さんもケニアの暑さを感じとってくれたはずだ。
ライオン寝袋の実態
実は私は寝袋を使ったことがない。
近所のホームセンターに行ったが、アウトドアコーナーに『シュラフ』という携帯の布団っぽいものはあったが寝袋は売っていなかった。
なので、本当の寝袋がどんなものか知らないのだということを強調しておきたい。
ライオン寝袋を広げた姿。
寝袋というよりは、袋である。私の裁縫スキルではこれが限界だった。
普通の布を使っていたら『ただの巨大な袋』としか見えなかっただろう。ボアっぽいアニマル柄の布を買ってよかった。
日暮里繊維街で買ってきたアニマル布。
布代だけで原稿料を超えそうな勢いだったが、後悔はしていない。
ただの袋ではあるが、『折りマチ』の袋にしたのは唯一のこだわりである。
折りマチは何も入っていない状態では平らで広げると底が丸くなるので、寝袋をコンパクトにまとめることが可能となる。
ぺたんこの状態。
物を入れると丸く広がる
ただ、袋自体が人間が入るくらい巨大な上、布も分厚いので、コンパクトといっても限度があった。
頑張ってたたんでも結構かさばる。
今後の課題として寝袋の正確な形状を把握すること、もっと軽くて薄い動物っぽい布の使用が挙げられる。
ヒョウにも襲われたい
前述のように、松島さんはライオンに襲われた数日後、今度はヒョウに襲われている。
松島さん気分を味わうというからには、ヒョウにも襲われるべきである。
先ほどからちょいちょい裏地が見えているかと思うが、実はこの寝袋、裏地にヒョウ柄を使っている。
両面でアニマル柄。若干クドい。
ヒョウに食べられている私。
実はライオンの方は布屋さんで見かけてライオン柄だと思い込んで買ったのだが、「それってキリン柄じゃないの?」という指摘を受けた。未だにどちらなのか判別できていない。
それに引き替え、こちらは自信を持ってヒョウ柄といえる。
ヒョウに襲われる私。
ヒョウ襲撃後、ボロボロになった私。
袋に入っていると手足を自由に動かせないので焦りを感じる。その上、厚い布を2枚重ねて使っているので結構重い。
きっとヒョウに襲われている松島さんも、逃げようとしても逃げられない焦りを感じたのだろう。圧し掛かられた重さを感じたことだろう。
松島トモ子さん気分になるという点は甘いかもしれないが、自分としては概ね満足している。
ただ、今さらながらこれは『ライオンに襲われている』というよりも『ライオンのコスプレをしている』ように見えないかと不安になっている。
寝袋、あったかい
多分寝袋ってこういうものじゃないんだろうな、と薄々感じていたものの、アニマル布のおかげで何とかなった感がある。
何かを作る時には材料にはこだわる。これを肝に命じ、今後ものを作る時の指針にしたい。
あと、家庭用ミシンは分厚すぎる布を縫うのに向かないことも分かったので、手縫いの技術を身に付けたいと思います。