特集 2015年12月21日

即席麺、そのままかじってうまいのは?

インスタント麺、生で食べるよね?
インスタント麺、生で食べるよね?
いま、巷では「10分どん兵衛」が人気だという。通常はお湯を入れて5分後が食べ時といわれるどん兵衛を、あえて10分待ってから食すというものだ。麺がやわらかくなり、つゆがしみ込んでうまくなるらしい。ネットには実際に試してみた人の絶賛の声が寄せられている。

だが、僕は即席麺は硬いほうが好みであるため、この食べ方の良さがいまいちわからない。

袋麺などはむしろ、そのままかじるのが最高にうまいと思うのだ。
1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。

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> 個人サイト Twitter (@noriyukienami)

硬いほうがうまくないすか?

べつに10分どん兵衛を批判しているわけではない。単に好みの問題だ。ラーメンも硬さが選べる場合はかならず最硬(最も硬い)をオーダーする。もはや麺を茹でずに、お湯をかけるだけでいいとさえ思う。
一番好きなラーメンは博多ラーメン。硬さが選べるからだ
一番好きなラーメンは博多ラーメン。硬さが選べるからだ
硬い麺を大量に持ち上げひたすら吸い上げるのがマイスタイル。こうして食べている間にも麺がのびはじめるので、1分以内に勝負をつけたい
硬い麺を大量に持ち上げひたすら吸い上げるのがマイスタイル。こうして食べている間にも麺がのびはじめるので、1分以内に勝負をつけたい
そんな硬麺愛が高じて、最近はインスタント袋麺をお湯で調理せずそのままかじって食べている。人間、好きが高じると極端に走るものだ。

ただ、即席麺の生食愛好者は一定数存在するらしく、検索すると邪道と知りつつもその旨さを激賞する意見がちらほら見られた。偏った食の嗜好を語るのって、己の変態性をさらけ出すみたいでドキドキしますよね。
食べ方は簡単。麺に付属の調味料をふりかけて
食べ方は簡単。麺に付属の調味料をふりかけて
そのままボリボリとかじるのです。ラーメンというよりスナック感覚。ちなみにこの食べ方は、初期の『こち亀』でも紹介されていた
そのままボリボリとかじるのです。ラーメンというよりスナック感覚。ちなみにこの食べ方は、初期の『こち亀』でも紹介されていた
パッケージに書かれている「おいしい召し上がり方」(だいたいお湯で茹でろって書いてあるよね)を完全に無視しているし、もはやラーメンとは別の食べ物だが、これも僕にとってはおいしい召し上がり方なのだ。

食事の途中で仕事の電話がかかってきても、麺がのびることはないのでイライラせずに対応できる。
お湯を含むと、口のなかでラーメンが完成する。すごい、天才!
お湯を含むと、口のなかでラーメンが完成する。すごい、天才!
そういえば子どもの頃、「ラーメンばあ」という駄菓子が流行っていた。文字通り、フライ麺をバー状に固めたものだ。僕はこれが大好きで、おこづかいを貰う度に大量買いしていた。思えばフライ麺をそのままかじるという習慣は、幼少期から刷り込まれたものだったのだ。

生食向きの即席麺とは?

さて、そろそろみなさんも即席麺を生かじりたくなってきたのではないかと思うが、コンビニへ走る前に聴いてほしいことがある。

それは、袋麺には生かじり向きのものと、そうでないものがあるということだ。まず、パッケージの裏を見て麺の製法をチェックしよう。
おすすめは「油揚げ麺」
おすすめは「油揚げ麺」
即席麺は大きく2種類に分かれる。油で揚げて乾燥させる「フライ麺(油揚げ麺)」と、熱風で乾燥させる「ノンフライ麺」である。

両者のうち生かじりに向いているのは圧倒的にフライ麺のほうだ。スナック感覚でサクサクいける。また、スープはできれば、麺にふりかけて食べられる粉末タイプが望ましい。
なかでも特におすすめなのが、「マヨら~めん」。大阪のご当地即席麺
なかでも特におすすめなのが、「マヨら~めん」。大阪のご当地即席麺
生かじりビギナーにぜひ試してもらいたいのが、こちらの「マヨら~めん」だ。ベースのスープと粉末マヨネーズ、2種類の粉末スープがついているので、味を変えつつ最後まで飽きずに食べきることができる。
「かやく」をどう使うかも腕のみせどころ
「かやく」をどう使うかも腕のみせどころ

と、いいつつノンフライ麺もいける

筆者ぐらいになるとフライ麺だけでは飽き足らず、ノンフライ麺にも手を出したくなってくる。先ほど生かじり向きではないとはいったが、慣れればこっちもうまい。
ノンフライ麺からは「利尻昆布ラーメン」の塩味を推したい
ノンフライ麺からは「利尻昆布ラーメン」の塩味を推したい
スープは粉末ではなく液体。めん全体にまわしかけるスタイルで
スープは粉末ではなく液体。めん全体にまわしかけるスタイルで
なお、ノンフライ麺はフライ麺よりもスープに凝っているので、麺にまとわせた液体スープをちゅうちゅう吸いながら食べる楽しみもある。

フライ麺はいかにも即席麺らしいジャンクな粉末スープが主流だが、ノンフライ麺は風味を活かした液体タイプのものが多い。
スープを吸いつつ、おもむろにかじる
スープを吸いつつ、おもむろにかじる
付属のとろろ昆布は、あごが疲れたときに有難い存在
付属のとろろ昆布は、あごが疲れたときに有難い存在
ノンフライではこちらもおすすめ、寿がきや食品の「富山ブラック」
ノンフライではこちらもおすすめ、寿がきや食品の「富山ブラック」
破壊的な黒コショウのパンチ力が、生かじりによってさらに増幅される。グローブをつけずに素手で殴られたような、刺激的な味わいだ
破壊的な黒コショウのパンチ力が、生かじりによってさらに増幅される。グローブをつけずに素手で殴られたような、刺激的な味わいだ
では最後に、僕が思う生かじり部門ナンバーワンの即席めんを紹介しよう。みなみかわ製麺の「毛がに味 北海道ラーメン」である。
これがうまいんだ
これがうまいんだ
毛がに味でみそ味とは、これいかに
毛がに味でみそ味とは、これいかに
毛がにの粉末を練り込んだという贅沢な麺。生でかじると、その風味をダイレクトに感じることができる。

そのままでも十分いけるのだが、スープをかけると極上になる。
かにのエキスを入れたというみそスープ
かにのエキスを入れたというみそスープ
ご覧のようにドロっとした液体スープを、タレみたいに麺につけて食べる。麺もスープも濃厚で、毛がにがどすこいどすこいと押し寄せてくる、そんな味である。
ただ、硬くて前歯を持ってかれそうになる
ただ、硬くて前歯を持ってかれそうになる

生かじろう

即席麺界ではマイノリティと思われる生食派。だが、一度やるとクセになるのでぜひ試してほしい。その旨さに驚くと同時に、「おれ何やってんだろう…」という気持ちになることうけあいです。
今回紹介した即席麺は、池袋駅直結の「やかん亭」で買えます
今回紹介した即席麺は、池袋駅直結の「やかん亭」で買えます
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