特集 2015年10月15日

タコ焼きの中にタコ焼きよりも大きいタコが入っていたとしたらこうなる

物理的に不可能かと思われたがアイマスクで実現された
物理的に不可能かと思われたがアイマスクで実現された
タコ焼きの中のタコが小さいと悲しい気持ちになる。タコは大きければ大きいほどいいのだ。

タコがどんどん大きくなって、もし、もしもタコ焼きの中のタコがタコ焼きを超えて大きかったとしたらどうなるだろう。タコと生地の割合が逆転した状態だ。

そんなことができるのか、と思われるだろうが、まあアイディア次第である。できるのだ。
本業は指圧師です。自分で企画した「ふしぎ指圧」で施術しています。webで記事を書くことをどうしてもやめられない。(動画インタビュー)


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お祭りのタコ焼きのタコがでかい

大人気で行列ができていた
大人気で行列ができていた
お祭りでタコ焼きを食べて驚いた。最近の屋台のタコ焼きはハイレベルだ。すなわちタコがでかい。
粗い画像ですまん。でもでかくないですかこれ
粗い画像ですまん。でもでかくないですかこれ
タコがでかすぎて、タコ焼きからちょっとはみ出している。かなり「得した」気分になった。
タコがでかいと秋祭りも最高
タコがでかいと秋祭りも最高
タコがでかいだけでこんなに気持ちいいんだな。ならもっとでかくしたいと思うのが人として当然の気持ちである。

タコ焼きのタコを極限まででかくする

アイマスクはとても便利
アイマスクはとても便利
タコ焼きの中のタコを極限まででかくするのに必要なのはアイマスクである。アイマスクをつけてタコのぶつ切りとタコ焼きをいっしょに口の中に入れるのだ。
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タコ焼きの生地とタコって、結局口の中で分離するだろう。ぼくはここに目を付けた。

ふつうのタコ焼きと一緒に大きなタコのぶつ切りを口の中に入れたら、それは巨大なタコが入っているタコ焼きを食べているのと同じだ。

この時にアイマスクをつけさせてもらう。視覚にまどわされないためだ。ちゃんと見たら別々のもん食ってるとバレだろう。

この発明で、タコの大きさはタコ焼き本体から完全に自由になった。今日はタコの独立記念日だ。

人気マンガ家に食べてもらうことに

デイリーポータルの会議でライター仲間と一緒に食べようと思っていたのだが、この時たまたま会議にゲストが来ていた。マンガ家のカラスヤサトシさんと秋田書店の編集者の方々だ。

(ちなみにぼくはカラスヤさんのマンガが好きでこの時にサインをもらった。)
カラスヤサトシさんと秋田書店の方々にアイマスクをつけさせる
カラスヤサトシさんと秋田書店の方々にアイマスクをつけさせる
「せっかくなのでゲストに食べてもらったがいいですね!」と編集部の古賀さんが元気にいった。売れっ子かつ取引先であるカラスヤさんにアイマスクかけさせていいのかな……。

でもそういう冷静なこと考えるのはよくない。企画も説明しないほうがきっといい。やってもらいましょう。
アイマスクしてても不安な表情ビンビン伝わる
アイマスクしてても不安な表情ビンビン伝わる

タコ焼きと同じ大きさのタコを同時に食べる

まず最初に用意したのは「タコ焼き」と「タコ焼と同じ大きさのタコ」だ。
これがタコ焼きの中に入っていると想定すると、すごくないですか
これがタコ焼きの中に入っていると想定すると、すごくないですか
編集部古賀さんによる「あーん」で食べさせてもらう
編集部古賀さんによる「あーん」で食べさせてもらう
これを同時に食べることにより、口の中で「タコ焼きと同じ大きさのタコが入っているタコ焼」という物理的に不可能な存在ができあがる。
でかい……! しかし
でかい……! しかし
うまい!!!うまいぞこれ
うまい!!!うまいぞこれ
でかいタコが入っているタコ焼き、うまいんだろうと思っていたが想像以上にうまかった。

タコのうまさに素直に感動できる。一見変態プレイにしか見えない行為だが、純然たる味の追求であることを再確認できた。
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ぼく以外の参加者は不満そう

ちゃんと「物理を超えてでかいタコが入っているタコ焼」は口の中でちゃんとできたし、想像をはるかに超えてうまかった。

しかしカラスヤさんと秋田書店チームは納得がいっていない様子である。
「えーと。結局なんだったんでしょうか?一回説明してもらえますか?」
「えーと。結局なんだったんでしょうか?一回説明してもらえますか?」
「つまり口の中で……」(説明)
「つまり口の中で……」(説明)
「口の中で大きなタコの入ったタコ焼きが疑似的にできるという企画です」

「それがよくわからなくて……、もう一回説明してもらっていいですか?」

「タコ焼きのタコってでかい方がいいですよね? でもタコを極限まで大きくしたらタコ焼きの中に入りきらなくなるじゃないですか、だからいっそのことタコ焼きにいれないで口の中で作ればいいという……」

「うーむ」

すごい。ぼくは一生懸命説明しているのに、底の抜けたひしゃくで水をすくっているみたいな手ごたえだ。

「話をちょっと変えます。うまいかうまくなかったかでいうと、どうですか?」

「いや、うまいことはうまかったですが」

「ありがとうございます。それではこの方法で『タコ焼きと同じ大きさのタコが入ったタコ焼きが食べられる』というロジックには賛成いただけましたか?」

「ロジック……」

「ひょっとしたら感覚的には納得いってないかもしれませんが、せめて理屈はわかってもらえたらと思っています。理屈はわかりますよね? わかってもらえた方、手を挙げてもらえませんか?」
「賛成の方、手を挙げてもらえませんか!」 →シーン
「賛成の方、手を挙げてもらえませんか!」 →シーン

タコ焼きより大きいタコが入ったタコ焼き

みな納得がいっていないみたいだが、間髪入れずに次の試食をしてもらう。さらにタコをでかくして「タコ焼きより大きいタコが入ったタコ焼き 」。

これもまた物理的に不可能な存在である。いや……今思ったが、4次元とか5次元とかの概念持ち出せばできるのだろうか。

まあそんなことはどうでもよくて、首尾よく食べてもらわねば。
こんなでかいタコは口の中に入りきらないんじゃないのと思っていたら
こんなでかいタコは口の中に入りきらないんじゃないのと思っていたら
あんのじょう全然入らない
あんのじょう全然入らない
ウッ
ウッ
ここまでくるとタコ焼きの生地部分は「ちょっとしたソース味」くらいの感じでほとんどタコだ。

でもうまい。タコ単体で食べるよりこうして食べた方がずっとうまい。口の中はどこまでもタコなのに、タコ焼きの素晴らしさがちゃんとわかる。

ふと、砂漠が美しいのはどこかに井戸を隠しているから……そんな言葉を思い出した。

わかってもらえた

「今度はもっとタコをでかくして、『タコ焼きよりもでかいタコが入っているタコ焼き』だったんですが、理解してもらえたでしょうか」

「いや、今度はなんとなくわかってきた気がします」
今度は満場一致で理解してもらえた
今度は満場一致で理解してもらえた
なんと! 今度は理解してもらえた。理解してもらうのに時間がかかる難解な概念だったか。それとも「もういいよ」という妥協の挙手だったのか。

そのへんは深く追求せずに「なんとなくいい雰囲気になった」というこの瞬間だけを抱きしめて、この企画を終わりにしたい。

タコ焼きはうめぼしと一緒に食べてもうまい

この企画の撮影をしてくれた安藤さんが突然「うめぼしと一緒にタコ焼きを食べたらうまい」といいだした。

今回の話と全然関係ないけど、いちおう得られた情報としてここに追記しておきます。
たまたまその場にうめぼしがあった
たまたまその場にうめぼしがあった
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