ファッションとしてのマステの可能性
どうせデコるのならば、元が地味な方が結果が映えるし分かりやすいだろう。
地味な格好の人間といえば、それはもうエンジニアじゃないか。(決め撃ち)
そしてニフティはインターネットサービスの会社だ。エンジニアだっていっぱいいるはずだ。
とにかくマステはいろいろ用意した。8000円分ぐらい。
ということで、ニフティのクラウド事業部からエンジニアの方を3名お呼びして(これも立派な社用である)、飾り立てられてもらうことにした。
マステに興味を示すエンジニアの人。(期待通り地味)
ここで怖いのが、マステでデコって逆にダサくなってしまうことだ。僕もファッションが嫌いなわけではないが、所詮は素人である。
ここで失敗すると「いつも派手なシャツとか着てるクセにセンス悪い」という、非常に悲しい話になってしまう。
ということで、ファッションのプロの方をお迎えすることにした。センス悪いと言われたくないが為に、僕も必死である。
立ち姿がもう決まってる。プロのすごみだ。
『MiDiom』というメンズ向けブランドでデザイナーをしている、小林翼さん。見ての通りシュッとしたイケメンでファッションデザイナーで名前が翼。
たぶん前世で世界を破滅の危機から2回ぐらい救ってないとこういう人にはなれないはずだ。
こんないけ好かないヤツとは絶対友達になれないと思ったけど、喋ってみたらすごいフレンドリーで気遣いもある、超イイ人だった。むしろ友達になりたい。世界の危機は3回救ったと見た。
マステでバイカラーのシャツ作り
まず1人目のモデルとなるニフティの新人エンジニアさんを前にして、小林さんは早くもプランを固めたようだ。
モデルさんを前に構想を練るデザイナー。さあどうデコるか。
モデル一号、新人エンジニア(研修中)の丸山さん。企画通りの地味さだ。
モデルのエンジニア丸山さん(地味)や、同行していた編集部石川さん(眼鏡は派手)が「バイカラーってなんだ」という顔をする。
ククク。地味な人間どもめ。バイカラーって言ったらアレだよ。なんかこう、2色のほら。
「2色使いのことですね。コントラストを大きく変えてやってみましょう」
良かった。合ってた。
決めたら躊躇無く貼っていく。モデルをあまり人間扱いしないのがデコの基本だ。
丸山さんは濃紺のシャツを着ていたので、そこに明るく黄色のマステを半身に貼っていくことに。
黄色といえば、塗装用の元祖マスキングテープだ。まさに家具の塗装か、というレベルでみっちり黄色く貼りつぶされていく丸山さん。
半身だけ完全に黄色くなったシャツ。作業時間は2人がかりで15分ほどとお手軽。
ちなみに上の写真、マステの隙間だらけに見えるかもしれないが、3mほど離れたらもうほぼ気にならない。
マステ服を着て人と会う時は、距離を3m以上保つようにしてほしい。
反対側の胸ポケットも黄色くする。完成系が見えてきたぞ。
胸ポケにワンポイント(丸く切り抜いたマステ)も。いいぞ、もうかなりおしゃれさんだ。
この辺りから、最初かなり不安げだった丸山さんの表情がどんどん明るくなってきた。
最初に「君は今からマステでデコられます」とだけ聞いてここに来たとのことで、それは不安にならない方がおかしいだろう。
しかし、ファッションデザイナーの指示と作業の的確さは伝わったらしく、プロの手で格好良くなってきた自分を自覚してきたようだ。
パンツには、さりげなく竹定規柄と青の細いマステでラインを施す。足が長く見えるおまじないだ。
パンツにラインを施して、完成である。
作業時間は、ここまでで40分弱。当初は1人1時間ぐらいを想定していたので、かなり早い。
モデルとしての自覚も欲しい
せっかくおしゃれになったのだから、以前と同じように単に気をつけの姿勢で写真を撮るのも芸がない。
立ち振る舞いもおしゃれを目指さずしてなにがデコか、という話だ。
じゃあ、どういう風にポーズを取ってもらおうかと考えていると、小林さんが動いた。
モデル立ち指導中。丸山さんの食い付きがすごい。
「椅子をこうつかんでもらって、脚をクロス気味にしてみましょう。顔の向きも変えて」
おお、なんだかっこいいぞ。
話を聞くと、小林さんは自分のブランドでモデルまでやっているという。
イケメンファッションデザイナーで気さくなモデル。なんだこの完璧超人。世界はどうやら4回救われていたらしいぞ。
ポーズはまだ少しぎこちないが、かなりおしゃれさんに。
どうだろう。最初の写真と比べると、もう完璧に別人ではないか。
ライザップのCMの「パーパパッパパー」という高らかなファンファーレが聞こえてくるようだ。
重たい濃紺のシャツに黄色を取り込んだことでコントラストが派手になり、見た目ではっきり明るく目立つようになった。
ブギャーッ、ブギャーッ(ライザップの痩せる前の音)
丸山「なんか驚きました。僕、格好いいシャツ着てますね」
この魅惑の変身がマステだけで行われたとは、とても信じられない。すごいぞ、マステ(とプロの腕)。
マステでさらなるおしゃれ上級者に
次の地味なエンジニアは、山口さん。
失礼ながら、誰がどの角度から見ても地味だ。そして、誰がどの角度から見ても「いい人」とわかる。
こういう人なら、少し冒険をしても笑って許してくれるのではないか。
パンツに白シャツインという全方位型の地味力を発揮する山口さん。
「僕はバンドをやってるので、なにかそういうテイストがあると…」
ロックやアニソンを演奏するという山口さんの希望だが、さて、どうしよう。
きだて「…実は今回、レース柄のかわいいマステを買っておいたんですが、それ使ってみたいんですよね」
小林「あー、じゃあゴスっぽいの、しましょうか。僕、レディースのブランドでゴスロリも取り扱ってるんです」
よし、こんな感じで行きましょう(冒険の始まりだ)。
本当に申し訳ないがマステ優先で、希望はかなり無視した形で始めよう。
その場でメンズのゴスっぽい画像を検索し、方向性を決める。
今の時点ではまだ体育のジャージっぽい。ここからだ。
「パンツにライン入れるとそれっぽくなるはずです」
という小林さんの指示のもと、まずは白のマステで縦ラインをいれる。
この辺、いちど方向性を決めたらプロのデザイナーは素早い。ほぼ迷い無く目測でラインの幅を決めて、スッスッとマステを貼っていく。
「パンツにライン入れるとそれっぽくなるはずです」 という小林さんの指示のもと、まずは白のマステで縦ラインをいれる。 この辺、いちど方向性を決めたらプロのデザイナーは素早い。 ほぼ迷い無く目測でラインの幅を決めて、スッスッとマステを貼っていく。
「次は…ベストいきましょうか。黒マステで」
白シャツは活かす形で、上からベストを羽織ったような形で黒のマステを貼る。
おっ、白シャツに光沢の少ない黒マステ、いいぞ。隙間無く貼っていくと、かなりちゃんとした服っぽくなるな。今後、ついうっかりフォーマルな服装を忘れた場合は、これでもいける気がする。
男性はカバンに黒マステを1本ぐらい常備しておいてもいいだろう。
山口さん、ちゃんと格好良くなってますから。大丈夫だから。
正面からはちょっと見えづらい切り返し部分も気をつかってある。こいういところがいちいちプロの仕事っぽくて、いい。
ベストが完成したら、いよいよ僕が使いたかったレース柄マステを裾にあしらっていく。
これは、ちゃんとテープがレースのような形に切り抜いてあるという特殊なやつである。
レースが入るととたんにゴス感が大幅アップする。
うん、買っておいて良かった。レース柄マステ。シンプルな中にこういう細かい柄が入ると雰囲気が出るな。
さらに、前ボタンとして、レトロなロータリースイッチ柄のマステを切り抜いて貼り付けると、もう完全にゴスっぽいベストの完成である。
小林「うーん、もうひとつ何か欲しいですね」
きだて「蝶ネクタイ、どうすか」
小林「いいすね、それで」
蝶ネクタイはマステさえあれば2分で作れるぞ。
言うなり、小林さんは赤のマステで手早く蝶ネクタイを作ってしまった。
これで、2人目のデコ変身も完成である。
見よ、地味から派手ゴスへの大変身を。
ステッキか何か欲しいところだったが、残念ながらマステで作れそうになかったのでビニ傘で代用だ。そこは薄目で見ていただくとして、このパンツとベストの大規模改造っぷりは見事だろう。
地味の象徴のようだったシャツインも、こうすればかっこいい。
山口さんも気に入ってくれたようで、今回は小林さんのポーズ指導無しでこのキメ姿である。
前ボタンと同じ柄で、カフスも作成。完璧におしゃれ上級者の装いじゃないか。
「絶対に自分からは着ない服ですけど…いいですね」
マステによる、新たな自分の発見が行われたようだ。
Tシャツのシマはマステで潰せ
続いての改造素体こと3人目のエンジニアは、大長さん。
ボーダーにポケットだけ白というTシャツは前の2人と比べるとさほど地味ではないが、ここからどう変身させていけるだろうか。
遅れて来て、山口さんの変身っぷりに引き気味の大長さん。
きだて「さて、次はどんな感じでいきましょうか」
小林「…ボーダー、邪魔ですね。潰しましょうか」
小林さん、何を思ったのかいきなりの「シマ潰し」宣言だ。荒くれ者か。
Tシャツのボーダー模様を白のマステで丁寧に埋める荒くれ者2人と、為す術もない被害者。
20分かけてシマを1本ずつ丁寧に埋めた結果に出来上がったのが、ちょっとゴワゴワしてるけど普通の白Tシャツである(前半分だけ)。
「これ、白T…ですよね?」そうですね、僕もそう思います。
最初からエンジニアらしく地味な白Tを着て来てさえいれば、こんな無法な暴力に合うこともなかっただろう。
少しでもおしゃれ心があったばかりに、大長さんには同情を禁じ得ない。
しかし、本当のマステおしゃれはここからが本番である。
プロのファッションデザイナーが単に白Tだけ作ってOKとするわけは無い。
ここからが本番である。
白スニーカーも一気に派手でかっこよくなる。
まずは、靴。大長さんの白スニーカーにカラフルなモザイク柄のマステを貼ってドレスアップだ。
見ていた周囲から「この靴、売ってたら普通に欲しい」「おしゃれー」と声が上がる。たしかにこれはかわいい。
マステはファッション小物にも使えるという発見
そして、ここからさらになにかアクセサリーも作りたいよね、という話になった時に、編集石川さんが気付いた。
「すんません、この時点でニフティクラウドのマステ、全く使ってません」
ちなみにこれが噂のクラウドマステ。 Zくんと雲(クラウド)が並んでてかわいいよ。
しまった。いちおう『ニフティクラウドでマステもらえるよキャンペーン』きっかけの記事なので、全く使わないのはまずい気もする。
あらやだ、このマステ、貼るだけで超かわいくなるやつだわ。
しかしご安心。こんなこともあろうかと僕が持ってきていたバングルにクラウドマステを貼れば、白Tにマッチする爽やかアクセサリーの完成だ。
「ついでにクラッチバックも作っちゃいましょうか」
ノートPC用のソフトケースにマステ貼るだけだけどな。
これで、小物はあらかた完成と言うことで良いだろう。
すっかり出来上がりな気分になっていたが、冷静に考えたら大長さんの服は白Tシャツにしただけだ。
見た目より手間はかかっているが、とはいえちょっとあんまりすぎないか。エンジニアに白T、似合ってるけど。
かっこよくデコるという企画のコンセプトとしては、このままでは問題だ。
突然、小林さんが黒マステを白Tに貼り始めた。
「最近、カタカナTって流行ってるんですよねー…はい、これで」
ダサ格好良くていい…んじゃないかなぁ。
ポーズ撮影してる時点では「おー、大長さん、目線まですっかりモデルになりきってるな」と思っていたのだが、いま写真を再確認して気付いた。
これ、モデルになりきってるのと違う。この表情はもしかしてがっかりしてるやつか。
現場では周囲も精一杯
「わー、これダサカッコイイですよ」
「カタカナT、最新ですよー」
「愛社精神バリバリじゃないですか。査定上がりますよ」
などと持ち上げていたのだが、やっぱり駄目だったみたいだ。
変なところにジッパーついてるおしゃれTシャツに変更。
小林さんもさすがにこれではと思ったか、カタカナからジッパー柄マステ(実際にミシン目つきでびりびり開けられる機能付き)に貼り直してバージョンアップ。
しかしこれ以降、大長さんが笑顔の写真はあまり無かった。
地味エンジニア、本当に格好良くデコれたか
では、これまでの作業によって3人の地味エンジニアがどのように格好良く変身したのか。
改めて並んでモデル立ちをしてもらって確認しよう。
全員どこを見てるのか分からない感じが、いかにもモデルっぽい。ノリノリか。ギャツビーか。
モデルだ。間違いなくモデルだ。皆さんのポージングからプロのモデル魂を感じる。
そして、服装も見事に派手かつオシャレになっている。
比較用に、ほぼ無加工の背面を見せて並んでもらった。わかりやすい。
しかし、作業をしていた我々関係者だけが「かっこいい」と言っていても、それが世間一般的に正しい評価であるとは限らない。
ここはあえて厳しい第三者の意見も聞いてみるべきだろう。
「………!」
お呼びしたのは、ニフティクラウド事業の企画を担当する女性社員の方々。
ファッションに厳しい女性の目線から、マステデコファッションの可能性を判定していただこうではないか。
行け、エンジニア諸君。マステの可能性を見せつけてやれ。
「僕たち、どうですか!」
「…かっこいいですよね(半笑い)」
「…思ってたよりちゃんとしてました(半笑い)」
チェック中は常に半笑いだったことは気になるが、おおむね高評価だと言えるだろう。
なにより、普段から地味な格好をしているエンジニアでも、ファッションのプロとマステがあれば簡単に格好良く変身できる、という良い指標になったのではないか。
ぺろんと脱皮するように脱げる。これは楽しい。
あと、マステでデコった服は脱がせるのが簡単なのもいい。
糊部分が弱めなので、ベースとなった服の生地を傷めにくいのも優れている。
これだけメリットだらけだと、もう次シーズンのファッションでマステ来るんじゃないか。
今後もしファッション業界がマステを売り始めたら、「やつらも本気だ」と理解してもらっていいと思う。
小林さんのブランドでマステ売りませんか、と聞いたら「ハハハ、そうですねぇ」ってビックリするぐらいあいまいに濁されたが。
ともあれ、人間ですらもかっこよくデコれるというマステの優位性は証明できたと思う。塗装に、小物のデコに、人間のファッションに。
衣服として使った後はまるめて燃えるゴミにできるのも便利だ。
ニフティクラウドからのお知らせ
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資料&応募はこちらから
おしゃれになりたいエンジニアの方をはじめ、もともとおしゃれなエンジニアの方、エンジニアでない方でも、お気軽にご請求ください。なぜマステなのかは謎です。担当者は「女子にプレゼントするとモテるよ」といってましたがその真偽も謎です。
撮影協力:
MiDiom
ミニマルとデコラティブ。
その相反する2つの要素を独自の観点から切り取り、
組み合わせることにより生まれるイディオム。
Minimal × Decorative × Idiom
イディオムとは、単語における一定の配列での連結の総称。
複数の要素から構成され、全体で1つの意味になる言葉。
MiDiomによるトータルコーディネートが、
その人のライフスタイルになる。
全てのお客様をプロデュースするブランド。
それが、MiDiom [ミディオム]
MiDiom Atelier Shop
151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-55-13 1F
営業時間:13時~20時、定休日:水・木