俺のT字カッコいいよなーって毎朝思ってた
もうかれこれ3年は使っているT字カミソリがある。
鏡に向かってヒゲを剃るたびに、(このT字カミソリってば、なんてカッコいいデザインなんだろう)と思っていた。
なんなら今でも毎朝そう思っている。俺のT字カミソリはカッコいい。
(いやー、カッコいいなあ、コレ)
調べたら「ジレット・フュージョン・プログライド」という商品らしい。
このカミソリの、なにがそこまで僕の心の琴線をゆらし続けるのか。
まず、クロームメッキがほどこされたボディがカッコいい。ムダに高級感がある。質感が高いとでも言おうか。
それから、ブルーとブラックの配色がカッコいい。なんだか近未来的だ。
(図解1)
そんなクールな配色に身をつつんだアーム部分の、しなやかなカーブも美しい。
そのしなやかなカーブの先端に収まる「ジレット」のエンブレムがこれまたシブい。
(図解2)
そして、これこそが一番のハイライトだと思うのが、アーム部分が細く分岐し、美しく曲がってカミソリ部分を支えるフロント部の処理。まったくもってホレボレする。
この曲線を見ながらご飯たべたい。
というようなことを妻に力説したら、なにを言ってるか分からないといわれてしまった。
なぜだ。こんなにカッコいいのに。
今に見ていろ
そのカッコよさは理解できない、と言われて落ち込んだ、僕とジレット・フュージョン。
しかし、そこは3年間も毎朝をともにしてきた、いわば戦友だ。(大丈夫、俺はわかってる。おまえのカッコよさを誰よりもわかってる。)そうフュージョンに語りかけると、彼は僕の手の中で「ありがとう」とつぶやいた(気がした)。
僕はフュージョンの美しいクロームメッキのボディに、ワックスをかけ始めた。
最高のカミソリに、最高のステージを。
フュージョンのために、専用の台座も用意した。A4サイズのボードに、石畳風のシートを貼ったものだ。照明として、LEDのランプも用意した。
ジオラマシート使用例。T字カミソリを飾ることは想定されていないようだ。
これが俺のフュージョンだ!
怖いぐらいセクシー。
突然、高級スポーツカーの写真が出てきて驚かれた方も多いと思う。
しかし、これはフェラーリでもランボルギーニでもない。まぎれもない、僕のジレット・フュージョン・プログライドである。
ワックスがかかったボディは、ヨーロッパを思わせる石畳の上で美しく輝いている。
おまえのオーナーであることを誇りに思う。
カッコいいフェラーリの写真が撮れた、といって上の写真を妻に見せた。妻は大笑いしながら「カッコいい!」と言った。そうだろう、そうだろう。
つづけて妻は「バカすぎる!いい意味で!」と言った。ああそうさ。カッコいいモノを前にすると、オトコはバカに、いや、コドモに戻っちまうんだぜ。
カッコいいカミソリを、もっと手に入れたい
妻の称賛に気を良くした僕は、もっとたくさん、カッコいいカミソリを手に入れたくなった。まったくもって、人間の欲望はとどまるところを知らない。
ワクワクした衝動を胸に、近所のドラッグストアに出かけた。
目移りしちゃうぜ。
ひとくちにT字カミソリといっても、デザインや機能など、実にさまざま。売り場に並んだ15種類の中から、純粋に見た目のよさだけで5種類をチョイスした。
機嫌よくカゴに入れてみたものの、レジに持っていくときは少し緊張した。
(この人、替え刃だけ売ってるの知らないのかしら)と思われないか心配だったからだ。
思わず、「あれ?頼まれたヤツどれだっけなあ」などというカモフラージュのセリフが口をついて出そうになるが、グッと飲み込む。(そもそも冷静に考えたら何のカモフラージュにもなっていない)
なにも恥ずかしいことなんかない。僕はただカッコいいカミソリをたくさん集めたいだけなんだ。胸を張ってレジへと進んだ。
会計は、びっくりするほど何事もなくスムーズに進んだ。5500円だった。事前にざっと計算はしていたものの、けっこういった。
なんとなくくやしいので、その場でドラッグストアのポイントカードに入会した。レシートを見ると51ポイント発生していて、あぁ、まぁそんなもんか、と思った。
この際だから今後はどんどんポイントで得してやろう。
剃り味なんてどうでもいい!見た目で選ぶ最新カミソリベスト5!
ともあれ、僕はカッコいいT字カミソリを大量に手に入れた。
机に並べてウットリ、まさにハーレム状態だ。ここで彼らを紹介しよう。
肌をうるおす「モイスチャージェルBOX」を刃先に装備する、シックハイドロ5。
全身は白と青に塗り分けられ、爽やかなことこのうえない。こんなカミソリと朝を迎えられたら最高だろう。
プロポーションは細身で、正統派のアイドルといった印象。5人組なら間違いなくセンターの立ち位置である。TOKIOでいうなら長瀬くんだ。
底面の「HYDRO」ロゴもクール。
先にあげたハイドロ5でも、こちらは電動トリマーをお尻に備えたDX版。乾電池を内蔵する都合上、同じ刃先を持つハイドロ5とはプロポーションが異なり、鎧を着こんだような力強さが魅力だ。頼れる兄貴分といったところか。
5人組アイドルの中では、力仕事、ガタイの良さ担当だろう。つまり、TOKIOでいうと山口くんということになる。
「モミアゲだってバリバリ刈るぜ!」
「キレてなーい」のCMでおなじみの、シックプロテクター3。4枚刃、5枚刃が主流のT字カミソリ界においては、3枚刃とシンプル。
しかし、セーフティワイヤー装備の彼女で、おっかなびっくりT字カミソリデビューした中学男子も多いハズ。
アーム部分がゆるやかにカーブを描くさまがなんともセクシーで、エロい。T字カミソリ界のお色気担当は彼女にキマリだ。(TOKIOの比喩はやめました)
モザイクかけなくて大丈夫だろうか。背中のカーブがエロすぎる。
僕が愛用するフュージョンの最新版がコイツだ。フレックスボールという、左右への首ふり構造が特徴。
全身がダーククロームメッキでおおわれ、そこに登山靴のようなグリップが巻き付くアウトドアなデザインが、山ガールを思わせる。
電池内臓の電動型だが、それを感じさせないスマートさも魅力だ。
セクシーな女性が腕を頭のうしろにまわしてポージングしているようだ。
頼もしいグリップだが、昆虫が苦手な人にはビジュアル面でややキビシイか。
電池内臓、スイッチONで光る、震える!
日本製をウリにするサムライエッジ。刀をイメージしたと思しきクロームメッキと黒のコントラストが、気品を感じさせる。
5人組アイドルグループの中では、シブいお兄さん的ポジションだろう。ハイドロ5ファンの女の子グループと、サムライエッジファンの女の子グループ同士は、きっとお互いのことを良く思っていないに違いない(妄想)。
「キャー!おサムライ様ー!(裏声)」
「絶対ハイドロよりサムライのほうがカッコいいわよねー!」「そうよそうよ!」
カミソリが映える夜景をさがそう
ここまでご覧いただいた皆さまは、もうすっかりT字カミソリのカッコよさの虜になってしまったに違いない。
ダメ押しとして、僕が屋外で撮影してきたカミソリたちの写真を載せておく。明日、ドラッグストアの店頭からT字カミソリが消えてしまわないか心配だ。
横浜・みなとみらい
そしてそこに1台のハイドロ5。ドラマのワンシーンのようだ。
港町横浜に、自慢の愛刃を並べて集う若者たち。
カッコよさのクロスオーバー。映画になりそうだ。
こんな感じで撮っている。
夜景なんてどうでもいい。
僕はただキミたちを撮影していたい。
赤レンガ倉庫の前に、
サムライがひとりたたずむ。
赤レンガ倉庫とスポーツカー。絵になる風景だ。
こんな感じで撮ってます。
なにかとんでもない芸術作品じゃないかと思えてきた。
22世紀の通信機器だと言われたら、信じてしまいそう。
オシャレなBARの前に横付けするスポーツカー。
オシャレなBARの前に横付けする不審者。
行け!時空をパトロールするんだ!
やべぇ!時空警察だ、ズラかれ!
そんな横浜の夜を、今日もマリンタワーは見守る。
えへへへへへへ。俺のカミソリカッコいい。
来るね、T字カミソリブームが。僕は撮り終えた写真を眺めて、そう思っている。
手元にはカッコいいカミソリたち。5000円の出費も、今にして思えば安いものだ。なぜって、今年いっぱいは替え刃を買わなくても済みそうだからだ。
シンプルなT字も撮影してみた。競技用みたい雰囲気がカッコいい。