安くてすごい情報量
今回紹介するのは、実教出版の「オールガイド食品成分表」という本。
表紙からしてうまそう
文部科学省が公表している「日本食品標準成分表」を基本情報として載せつつ、そこに収録されている食品について写真や解説を加えた本だ。
どのページも充実度が高い
食品数は1878。360ページでオールカラー、それで本体価格750円だから安い。価格設定は高校の家庭科の授業で使われることにも関係しているのかもしれないが、読み物としても楽しい。
食べ物に関する豆知識がざくざく登場するので、いくつか紹介・検証してみよう。
食べ物に関する豆知識がざくざく登場するので、いくつか紹介・検証してみよう。
えっ?そうだったの?と思わされた知識。冷蔵庫にしまうとき、なんとなく見た目の安定感からとがってる方を上にしていたと思う。
今まで逆さにしててごめん
鶏卵には丸い方に「気室」という空間がある。ゆでたまごにするとへっこんでる部分だ。気室を上にすると、空気の出入りがある殻と卵黄が接触せず、変質を防げるらしい。
確かにパックの中でもそうなってる!
スーパーで買ってきたタマゴを改めてよく見ると、丸い方を上にしてパックに入れられているではないか。「本に書いてあること」と、「知らなかったけど世の中はちゃんとそうなってること」とが一致すると、なんだか嬉しい。
えー?そんなことで?と思わされる技。なんとなく、おばあちゃんに「塩でこするといいんじゃよ」と教えてもらえそうな豆知識だ。
ナイス実験材料
茶渋っていつの間にかたまって、結構しつこいものではなかったか。ちょうど紅茶の茶渋がついているカップがあったので、検証してみよう。
効果ばっちり
おお、確かによく落ちるぞ。塩すごい。
他にも、塩水で皿や陶器を煮ると割れにくくなるとの情報も載っていた。意外な活躍、調味料としての枠だけにおさまらない塩がかっこいい。
他にも、塩水で皿や陶器を煮ると割れにくくなるとの情報も載っていた。意外な活躍、調味料としての枠だけにおさまらない塩がかっこいい。
特に分けて考えたことなかったけど、言われてみればそういう風に言ってるなと思わされた。
これは「煮しめ」
「煮付け」は魚のように短時間で済ませるもので、「煮しめ」は根菜類などを煮たりさましたりを繰り返して味を含ませるものとのこと。
煮汁が少なめなのは両方の共通点。材料がひたる程度に煮汁が多いものは「煮込み」。確かにそう呼んでたけど、改めて分類された言葉を聞くと納得感が強まる。
煮汁が少なめなのは両方の共通点。材料がひたる程度に煮汁が多いものは「煮込み」。確かにそう呼んでたけど、改めて分類された言葉を聞くと納得感が強まる。
えー、そうだったの!と個人的には裏切られた気がする事実。木綿豆腐は製造工程で布を使うが、絹ごし豆腐は使わないそうだ。
イメージ重視のネーミング
脱水工程がある木綿豆腐と比べ、水分が多くてなめらかだから木綿じゃなくて絹、ということらしい。その名前はあくまでイメージだったのだ。
ちなみに絹ごし豆腐を作る材料の豆乳は、木綿豆腐より濃いものを使うらしい。これから買うときどっちを買うか、情報が集まると迷いも深まりそうだ。
ちなみに絹ごし豆腐を作る材料の豆乳は、木綿豆腐より濃いものを使うらしい。これから買うときどっちを買うか、情報が集まると迷いも深まりそうだ。
またしてもイメージ戦略。あの紙、特に意味はないのか。
「ROYAL」や「まる」で高級感アップ
といっても、以前は意味があったらしい。かつてはカニの成分と缶の鉄分との化学変化で、変色や変質が起きるのを防ぐ意味があったそうだ。
紙で包まれると確かに高そうに見える
現在は缶の質が高まって鉄分が出ないようになっているそうだが、「やっぱ紙がないとカニ缶気分出ないよね」ということで紙は用いられているままらしい。
リンゴや柑橘類も、紙に包まれている1個売りのは高そうに見える。紙で包むとなにかしら高く見えるのだ。
リンゴや柑橘類も、紙に包まれている1個売りのは高そうに見える。紙で包むとなにかしら高く見えるのだ。
甘い和菓子のようかんは、本来は肉料理。どういうことだろうか。そう言えば、ようかんを漢字で書くと「羊羹」だ。
君たち、もともとは肉料理だったなんて…
「羊羹」はつまり「羊のあつもの」。そもそもは羊肉を煮た中国料理だったそうだが、肉食禁止の僧侶によって伝えられたため、肉の代わりにあずきを用いるようになったらしい。
その僧侶の「ほんとは肉なんだよな…」という胸の内を想像すると何とも言えない気持ちになる。
調べてみたら、中華料理店では元祖の方の羊羹を出す店もあった。何も知らずに「羊羹です」とそっちを出されたら驚くと思う。(参考リンク)
その僧侶の「ほんとは肉なんだよな…」という胸の内を想像すると何とも言えない気持ちになる。
調べてみたら、中華料理店では元祖の方の羊羹を出す店もあった。何も知らずに「羊羹です」とそっちを出されたら驚くと思う。(参考リンク)
いやいや、どう考えてもスイカは果物でしょ、と思うのだが、根拠はある。
きみが野菜だなんて脳が理解できない
植物学上、野菜は一年草、果物は多年草と分類されているそうだ。そういうわけど、スイカは一年草なので農林水産省の統計上は野菜として扱われている。
ただ、一般的には果物であると捉えられているので、食品成分表では「果実類」のカテゴリにいるスイカ。
野菜炒めと言われてスイカを炒めたらかなり変。やっぱり果物の方がしっくり来る。
ただ、一般的には果物であると捉えられているので、食品成分表では「果実類」のカテゴリにいるスイカ。
野菜炒めと言われてスイカを炒めたらかなり変。やっぱり果物の方がしっくり来る。
ファンタが無果汁なのは知っている。子供の頃に喜んで飲んでいたが、ある日果汁が入ってないと知って、小さく衝撃を受けた覚えがある。
ただそれを「果実色飲料」と呼ぶのは初耳だ。
ただそれを「果実色飲料」と呼ぶのは初耳だ。
果実色飲料です
フルーツをイメージして着色をおこない香料を加えたもの、それが果実色飲料。
説明が事実であるのは分かるが、こうして解説されるとなんとなくむなしさが漂う。「果実色飲料あるけど、飲む?」と言われたら、あんまりおいしそうな感じはしないだろう。
事実を知った今も、ファンタはファンタと呼びたい。
説明が事実であるのは分かるが、こうして解説されるとなんとなくむなしさが漂う。「果実色飲料あるけど、飲む?」と言われたら、あんまりおいしそうな感じはしないだろう。
事実を知った今も、ファンタはファンタと呼びたい。
パイナップルは下の方が甘いな、というのはこれまで食べた経験から知っていた。ただ、それを逆さにすると甘さが均一になるという発想はなかった。
違和感のある保管法
上と下では結構甘さが違うので、カットした中から選んで食べることもあった。それが均一になるなら、全体がまんべんなくおいしくなっていいではないか。
そういうことならやってみよう。パイナップルを買ってきて、丸1日逆さにして置いてみた。
そういうことならやってみよう。パイナップルを買ってきて、丸1日逆さにして置いてみた。
左が上側、右が下側
カットして上下を食べ比べてみる。甘さ、均一じゃない。話が違う。
明らかにまだ下の方が甘い。ただ、ものによってはやたらと酸っぱいこともある上部分も、まずまず甘くなっているようにも感じる。
経験からすると「パイナップルは逆さにして保管すると甘さが均一になるかもしれないけど、1日じゃ無理」ということになる。
明らかにまだ下の方が甘い。ただ、ものによってはやたらと酸っぱいこともある上部分も、まずまず甘くなっているようにも感じる。
経験からすると「パイナップルは逆さにして保管すると甘さが均一になるかもしれないけど、1日じゃ無理」ということになる。
リンゴは植物の成熟を早めるエチレンという物質を発するらしい。うまく使うと未熟な果物を熟させることができるが、バナナの場合はどんどん黒くなってしまうとのこと。
なかよくやりたまえ
そういうわけで、リンゴとバナナ、そしてまだ固いキウイを密閉してみよう。
1日経ったあとの写真が下のものだ。
1日経ったあとの写真が下のものだ。
開けたときめちゃくちゃいいにおいだった
変わってない。
バナナにも自分自身というものがあるようで、1日くらいで真っ黒になるほどやわではないようだ。ただ、入れたバナナと入れてないバナナを食べ比べると、入れたバナナの方が少し柔らかくて甘さが強いかもな、でも入れてない方のバナナも相当うまい、そもそもこのバナナかなりうまい、という感想が湧いてきた。全くあてにならない。
キウイは指で押して確かめると、熟し具合が進んでいることが感じられた。リンゴ効果はあるのだと思う。
ちなみにキウイは熟してなければ冷蔵庫で数ヶ月保存できるとも書いてあった。たくさんもらうことがあったら、熟させずに安心して保存できそうだ。
バナナにも自分自身というものがあるようで、1日くらいで真っ黒になるほどやわではないようだ。ただ、入れたバナナと入れてないバナナを食べ比べると、入れたバナナの方が少し柔らかくて甘さが強いかもな、でも入れてない方のバナナも相当うまい、そもそもこのバナナかなりうまい、という感想が湧いてきた。全くあてにならない。
キウイは指で押して確かめると、熟し具合が進んでいることが感じられた。リンゴ効果はあるのだと思う。
ちなみにキウイは熟してなければ冷蔵庫で数ヶ月保存できるとも書いてあった。たくさんもらうことがあったら、熟させずに安心して保存できそうだ。
きのこは水洗いすると風味が損なわれるので洗わない方がよいそうだ。汚れは拭いたり軽く叩いたりして落とすべし、とのこと。
ここだけ急にワイルドなこと言ってるわけではなく、実際そうなのだと思う。
ここだけ急にワイルドなこと言ってるわけではなく、実際そうなのだと思う。
水っぽくなくてうまそう
そういうことなら、実際に洗わずにシイタケを焼いて食べてみよう。そして、焼くときにも豆知識があった。
シイタケはひっくり返して焼くと食感が悪くなるので、焼くときは表側だけで十分とのこと。
今までは両側を焼いてしまっていた。思い出してみるに、下手をすると軽い乾燥しいたけのようになってしまい、おいしくなくなった覚えもある。
今までは両側を焼いてしまっていた。思い出してみるに、下手をすると軽い乾燥しいたけのようになってしまい、おいしくなくなった覚えもある。
まだ生っぽいけど大丈夫か?
今回は表側だけ焼いて食べてみる。火の側は少し焦げ目がついてよく焼けたように見えるが、裏側は見た目の変化がなく生と変わらないようにも見える。
おそるおそる食べると……うまい!これ、おいしさが全然違うぞ。
歯ごたえがぷりぷりとしていて、きのこらしい香りも残ったまま。両面焼きとは明らかに違うので、これからは絶対こっちの食べ方にしよう。
おそるおそる食べると……うまい!これ、おいしさが全然違うぞ。
歯ごたえがぷりぷりとしていて、きのこらしい香りも残ったまま。両面焼きとは明らかに違うので、これからは絶対こっちの食べ方にしよう。
付録の下敷きに年・組・名前の欄があって甘酸っぱい
学校で使う本はすごいぞ
改めて読んでみた、家庭科の授業で使われる教材本。個人的には高校で家庭科の授業を受けた覚えはないけれど、生活に使える技がたくさん載っていた。
教科書の類は、内容の充実度に比べると値段も安いようだ。教科としては技術あたりもかなり実用性が高い気がする。
教科書の類は、内容の充実度に比べると値段も安いようだ。教科としては技術あたりもかなり実用性が高い気がする。