レストランでゼリーを食べている時、ふと「体の一部がゼリーだったらどうなるんだろう」という疑問がわいた。歩くたびにぷるぷるし、人に触られるたびにぷるぷるする……。大変楽しそうだ。やってみよう。
1990年沖縄生まれ。営業日のお昼休みに(ほぼ)毎日更新する「今日の休憩」というブログを運営しています。
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ぷるぷるにするなら、やっぱり頭がいい
この実験にあたってまず「どこをぷるぷるにするのか」を考えたのだが、やはり頭部をまんまゼリーにできたら最高だ。頭部にゼリーを装着して町を歩けば、子供たちにも「ゼリーが歩いている」と認識してもらえるだろう。
頭部をぷるぷるにした場合のイメージ図。ゼリーヘルメット?
さっそく研究を開始
「ゼリーはゼラチンでつくる」ということしかわからないので、配合量などを一度ミニチュアで研究してみることにした。
協力:近所でかった歩兵フィギュア(よく洗う)
百均で買ってきたゼラチン粉をまず通常配合にしてゼリーを作ってみる。
容器もなんとなく二つ用意。オレンジジュース+ゼラチン
詰めて固めます。普通のゼリー作りだ
一時間ほどでぷるぷるに固まった
テストゼリーができたところで、歩兵フィギュアにかぶせてみる。歩兵もまさかゼリーをかぶせられる運命だとは思っていないかっただろう。
歩兵フィギュアは自力でゼリーを支えられないのでサポートを装着。
グシャ
予想はしてたが普通に失敗した。どう考えても柔らかすぎる。
ゼラチンの量を増やす必要がありそうだ。
この失敗ゼリーはこのあと泣く泣く食べたが、これから人の頭が入るほどのゼリーを作るとなると味をつけて食用にするのはよくなさそう。ということで、コラーゲン風呂用の入浴剤にするため無味でつくることにした。(肌にいいそうです)
ゼラチン量2倍+水のみで再度制作。さらに2時間待つ。
バッチリ固めに出来上がった! 成功!!!!
試しにコップサイズでも作ってかぶせてみた。
後ろのペットボトルがないと自立は難しいが立派にゼリーを装着できている。 この配合量ならいけるぞ!
ここからが本番
配合量がわかったので、さっそく菓子材料店で業務用のゼラチンを購入した。普通のスーパーでは少ない量でしか売っていないのだ。
内容量500gを2個=1kg!
9Lの水に大量のゼラチンをドーン
「菓子材料店」という存在も今回はじめて知ったのだが、店内は品の良いお母様がたで溢れかえっていた。マダム達が「今度はなんとかチーズでケーキ作ってみようと思うの」「このナッツはおいしいわよ」などの会話を繰り出す最中、「なるべく固くて強いゼラチンってどれになりますかね?」と店員に聞いた時は「私には大事な使命があるんだ」と変なアニメのような優越感がわいた。
弱火でぐるぐる回しながら溶かす
10分ほどで無事溶けきった。次は型に液体を流し込んでいく。
溶けきったゼラチン溶液と型(ホームセンターで500円)
鍋×2.5回を入れた。全部で22Lほど。まだサラサラの液体です
入れきったら粗熱をとり冷やしていく。現状めちゃくちゃ熱いのだけどこれは本当に固まるのか……な……。
我が家のステンレス風呂に設置
この写真を撮った時に「本当に食用にしなくてよかった」と思った。食べることになっていたら風呂で冷やしたことを思い出してえづいていた気がする。
水と氷でギッチギチに冷却
一日と半分経過
冷やしはじめて一日半。半日で風呂の氷が全て溶けてしまったので、残り一日は冷蔵庫に移動した。果たして固まっているのか。
できたー!! 巨大ゼリー(無味)だーー!!
強度も申し分ない。重さは11kg
正直言うとこんなにしっかり固まるとすら思っていなかったので、とても驚いた。これは本当にゼリーを装着してしまえるかもしれない。突然の現実感にワクワクと緊張がピークに達する。
ゼリーヘルメットを制作
念のため部屋にビニール袋を敷き、ゼリーヘルメット制作に入る。
ひとまずゼリーの神様にお祈り(ここまでくるのに三日かかりましたお願いします)
ヘルメット状にするわけなので穴をあけていくが、「最初に型から取り出した時点で崩れた」なんていう切ない事態はメンタル的に避けたい。
ここは思い切って、
(1) 自分が入る穴をあけてから
(2) 実際にかぶったあと
(3) 最後に型から外す
という作戦で挑んでみる。
緊張の第一入刀
むちゃくちゃ固い。慎重に穴を掘り進めていきます
くるっと回したら
手でちぎって取り出す、を繰り返す
ぷるぷるを掴むのはちょっと楽しい
溜まりゆく我が家の入浴剤
ある程度穴をあけたら、妹(美容師)が使っている頭部マネキンで自分の頭が入る幅か計測する。
いつみても物騒なマネキン
無事鼻まで入った。これ以上掘るのは危ないのでここで止める
いざ装着
ここまできたらもう装着するだけだ。写真映りが悪くなることより髪がぐしゃぐしゃになることの方が嫌だったのでシャワーキャップをかぶった。
不安と緊張で顔がこわばる。隣にいるサポートの母(東京旅行中)も、心なしかすぐ駆けつける家来のような座り方になっている。
いけぇ!(ひんやり)
そっと持ち上げる
バケツが取れない呪いにかかった娘と外そうとする母の図(イメージ)
いよいよ! はずれますよ! いくぞーーー!!
でっ……
できたー!!!!!!!!!!
親族が悲しみそうな写真になってしまったが、本当にゼリーをかぶれてしまった。
貴重な休みをつぶしまくってゼリーを作り続けた苦労がいま、報われたのである。
あとは母(東京満喫中)に手を離してもらうだけだ。
「お母さん手離して!!」『は!? 離したら崩れるけど!?』 の攻防
ボロボロに崩れた。なんとか支えようとかっこいいポーズになってしまう
上部はしっかりしているが側面がちぎれるちぎれる
ただめちゃくちゃ楽しそう
グシャーン!(結局全部ちぎれた)
大きいゼリーはちぎれる
意地で「できた」と書いたが、素直になってみるとこれは失敗だ。ゼリーとしての暮らしは一瞬で消え、叶わなかった。
固くて大きなゼリーは少しの衝撃でどんどんちぎれてしまうようだ。実際に装着して歩行するには、それなりに特化した型とサポートが必要らしい。
しかし、大きなゼリーとたわむれるのは想像を超える楽しさだった。しばらくはコラーゲン風呂を満喫しよう。