特集 2015年5月1日

西ヘボコン出場レポート ~ごり太郎よ永遠なれ~

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1982年生まれ、関西在住。漫画家・イラストレーター・宅録音楽家。わりと大規模なたこあげ大会で総合優勝した経験を持つが、その才能を活かせず悶々とした日々を送っている。

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みなさまこんにちは、あおむろです。突然ですが、「ヘボコン」をご存知でしょうか?

昨年第一回大会が東京で開催されるやいなや、そのなんとも言えない魅力が様々なメディアをとりこにして全国各地、いや、今や世界各地で話題となっているヘボコン。

第一回大会の映像を見て、かつて工作少年だった小学生時代のことを思い出しました。
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自身のミニ四駆にロケット花火を装着して点火させた瞬間目の前に現れた火柱、そして数秒後に木端微塵になってしまったマシン。鼻腔にこびり付く、焼け焦げた絨毯の香り。
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ゲームボーイを買ってもらえず、友人たちが通信対戦をする隣で、ダンボールで作った自作のゲームボーイでひとり黙々と遊んだあの日…。


あれっ、なんか、涙が出てきた…。


まあそんな切ない過去の思い出話は虹の彼方においやりまして、こうして工作少年時代があった私としましてはメディアで報じられるヘボコンの様子を見て、ハンカチの端を噛みつつウズウズとしていた次第であります。

そんな折、この度大阪にて初のヘボコン大会が行われると聞き、一瞬の迷いも無くエントリーをさせていただきました。

因みにこの時点でロボットの構想は全くありませんが、なんとなくパシフィック・リムに出てくるロボットのようなものは作れるような気がしていました。
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(構想段階でのロボットの設計図。ちゃぶ台にセンサーがついていて、それに敵機が触れるとちゃぶ台返しをするという仕組み)


今回はスポンサーを募って、スポンサーから提供していただいた材料のみを使ってロボットを作る事にしました。

正直申し上げまして、この当時ちょっとイキっていたので、私がインターネット上でスポンサーを募ったらものすごい数の方が名乗りを上げて下さり、数えきれないほどのロボットの材料が届くものと思っておりました。

募集期間を経てスポンサーから集まったロボット材料を一気にご紹介致します。
(1)タミヤの歩く象キット
(1)タミヤの歩く象キット
(2)タミヤの歩く象キット(ふたつ目)
(2)タミヤの歩く象キット(ふたつ目)
(3)何かのバネ
(3)何かのバネ
(4)なんか光りそうなやつ
(4)なんか光りそうなやつ
(5)プラ板
(5)プラ板
以上!!

この時点で、事前に書き起こした設計図に沿ったロボットを組む事は困難を極める事が明白になったため、予定を変更して、取り急ぎ動力源になりそうな「歩く象キット」を組んでみます。

初めてのタミヤキット製作

まあ、何しろ子供でも作れるように設計されている工作キットなので楽勝でしょと思っていたのですが、予想に反してキット製作は困難を極めました。
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昔プラモデルを作っていた時は説明書に「Aの⑤」などとパーツの番号まで細かく書いてあり、パーツ側にもひとつひとつ番号がつけられていたのですが、今回は各パーツに何も採番されていないため、説明書の中で指定されるパーツがどれなのかも分かりません。

ギアなんかはどれも同じに見えるので、発狂しそうになりながら作業させていただきました。
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気絶しそうになりながら3時間かけて象の一体目が完成。二体目の象ができた頃には作業時間はすでに6時間以上経っていました。
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思わず「もう、これでヘボコン用のロボットは完成でいいや・・・」と思ってしまいます。
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やってみて分かったことなのですが、いかんせん普段工作をしないために、電池を入れてモーターがウイーンと動いただけで尋常じゃないほどの充実感に包まれてしまって、一瞬にしてそれ以上のものを求めなくなってしまうんですよね。すでに設計図はゴミ箱の中です。
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よっぽど嬉しかったのか、この象キットの完成写真をデジカメで243枚写真を撮っていました。

しかし自分の中の「タミヤの工作キットを使っている事を知られたくない」という謎のプライドから、外装は作る事にします。
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因みに今回は「スポンサーから提供していただいた材料のみを使う」という自分ルールがあるので、外装はパーツが届いた時のAmazonのダンボールを使用しています。
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パーツを切り出す。
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絵の具で色付け。

こうして私の初めて作ったゴリラ型ロボット『ごり太くん』が完成しました。
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足元を照らせるので、夜間でも安心です。
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手は可動式。
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完全に存在を忘れていたバネについては、セセロハンテープで無理やり貼り付けました。

(以下、ロボットが完成したことが嬉しすぎたことがわかる写真が続きます)
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よーし、すべり台も登るぜ!
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ヨッシャーッ!
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この落下事故により足が取れたので、4時間かけて修復しました。

こうしてロボットの完成を喜んでいた折、テレビ取材のお話がきました。大会出場者の出場前の様子を撮影したいというものです。

しかしまあ、あの、なんですね。
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…シーン。

びっくりするくらい緊張してしまい、まったく気の利いたコメントができませんでした。撮影中の大半は緊張のあまりお魚のように口をパクパクさせていたように記憶しています。

こうしてついに出場の日を迎えました。大会の日の朝、穏やかな晴れ空が広がります。
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ロボットの輸送は結婚式の引き出物の袋が理想的。
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自転車で駅まで向かっていたら、向こうからコマなし自転車練習中の親子が来たんです。

まあ、避けますよね。
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小学生が片山右京もびっくりするくらい鋭角なコーナリングを決めてトップスピードで私のロボットに激突しました。
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ロボット大回転
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しかも父親ブチギレ
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ロボットも壊れたかもしれないし、正直もう家に帰ろうかなとも思いましたが、それではごり太くんが報われないと思ったので、気を取り直して会場に向かいました。
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グランフロントに到着。人がいっぱい。
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いらないものガチャは大盛況でした。
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こちらがヘボコン会場のある、ナレッジキャピタル。ガチガチの企業展示もあったりして、大賑わい。
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少し遅れて到着したこともあり、すでに到着済のヘボコン参加者はすでに打ち解けており、居場所が見つからず。ごり太くんを抱きしめながら、イベントの始まりを待ちます。
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出場者待合室にもテレビの取材が入ります。先日のテレビ取材のトラウマがあるので、画面に映りこまないように必死で逃げました。

今思うと、シャドーボクシングのような動きでカメラを避けていたので周りから見ると私は相当不審者だったと思います。出場者の皆様、あの節は申し訳ありませんでした。

こうしていよいよ、西ヘボコンが始まります。
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会場はギャラリーで埋め尽くされ、上階からの見学者もいるほどの注目度。池袋サンシャインシティの噴水広場でライブするアイドルの気分でした。
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石川さんによるルール説明。かなり大雑把な資料と緩やかな説明に会場から何度もドッと笑い声が上がります。
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いよいよ試合開始。
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試合本番で全く動かないマシンが出たりと、ヘボコンならではの展開に会場が大いに沸きました。
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司会進行は石川さんと大北さん。
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プロフェッショナルな司会進行を前にして、ガチガチに緊張してきました。
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そしていよいよ私の出番。
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対戦相手は、自機の周りをホウキがぐるぐると回る、見るからに強そうなマシンでした。
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行けーっ!ごり太-っ!!
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マシン名「ごり太くん」
製作時間、約一か月
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試合開始後約5秒で敗退
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こうして私のヘボコン出場は終わりました。
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自分のマシンで勝てるとは思っていなかったものの、やはり負けるとショックで、その後の記憶があまりありません。

記憶はないのですが、デジカメに写真が残っていたのでそちらを掲載させていただきます。
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最後の写真は、何故か大阪駅の巨大さに感動して泣きながら撮った写真です。

西ヘボコン大会は終わってしまいましたが、ヘボコンは更なる進化を続けていきそうなので、今後とも注目されてみてはいかがでしょうか?


ちなみに試合終了後「ごり太くん」をいらないものガチャに出品しようとしたのですが、すでに受付時間を過ぎていたので出品できませんでした。
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