特集 2015年4月12日

ペン栽の愉しみ ~器の美と大小~

名画のようなペン栽、揃えました。
名画のようなペン栽、揃えました。
春うららかな候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。私がペン栽道家元、きだてです。
皆さん、ペン、立ててますか?

自宅や職場でいつも使っている文房具の保管場所である『ペン立て』を盆栽のように見立て、その枝振りの勢いや鉢・器の美しさ、そして埃をかぶった古びのわびさびなどを鑑賞し、楽しむ遊び。
それが『ペン栽』です。

今回もまたさらにペン栽マスターな皆さんからの投稿ペン栽が集まっております。
じっくり鑑賞し、褒めて、味わっていきましょう。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

前の記事:欲望の永久機関 巨大いらないものガチャ

> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

器を楽しむ・かっこいい編

ペン栽連載も5回目ということで、そろそろ皆さんも『ペン栽の楽しみ方』的な部分はご理解いただきつつあると思います。
具体的にいうと、「他人の普段使ってるペン立てって性格とか出るし、覗き見ると面白い」です。身も蓋もなく。

で、これまではわりと中身である文房具の部分に焦点を当て気味にしていたんですが、前回「器のリサイクル利用」に関して言及したこともあり、今回も「器の魅力」について掘り下げてみましょう。
器もかなり性格とか出て、面白いです。
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ペンは鉛筆削りにぶちこむ派。
kochan @kozychang
ペンや鉛筆を突っ込むのにこれ以上ふさわしい形はないだろう、という器。
この方は、イギリスの雑貨メーカーから出ている、巨大鉛筆削り型のペン立てを使用されています。(ペン立てとしては結構いいお値段します)
手元にあるもので済ませがちなペン立てにまで雑貨テイストを入れてくる時点でもうかなりの文房具おしゃれ黒帯なんですが、そこへさらにホチキス懸崖による「おしゃれですか?いや普段使いのペン栽ですよハハハ」という崩しも追加。間違いなく師範クラスです。

ところで、顔をのぞかせている魚はカッターナイフだと思うんですが、上にちょこんと乗っているマーブルチョコの筒キャップみたいなのは何に使うものなんでしょうか。これが分からず、家元、悶々としています。
これまたおしゃれ系の器。
これまたおしゃれ系の器。
普段使うものだけで、2軍はすべて引き出しの中。
gyaos @Gyaos_500 1月19日
MoMA STOREでも扱ってる、おしゃれペン立て。
写真一番右の消しゴム付き鉛筆は実はスチール製で、リングを支えるオブジェです。
以前に見かけて「おー、おしゃれだなー。欲しいなー。でも高いなー」と思って諦めた器なので、覚えてます。

先ほどの鉛筆削り器はギチギチ詰め込みでも似合うんですが、このようにシンプルな器はスカスカでないといけません。
この方は2軍選手を引き出しに入れて選りすぐりだけを挿すことで、見事に余白の美を作り出しているんですね。
幅を取りがちなハサミもスリムなものを挿してシャープさを保ち、さらに耳かきで緊張感を和らげつつ一本の芯を通す。
おしゃれペン栽には作り込みの技術も必要、という好例でしょう。
和の美しさ。こういうのもかっこいい。
和の美しさ。こういうのもかっこいい。
竹細工職人の #ペン栽
西本 有(かご屋 by 有製咲処) @tamotsuyaki
文房具好きによる文房具モチーフの器に続いては、職人による職人モチーフ器。
これはストレートにかっこいいですね。竹を切っただけの竹筒というのがいかにも職人なストイックさで、いい。
長めの竹筒を使うことで道具が広がらずまっすぐ収まっているあたりも、ストイックさの演出に一役買っていると思います。

中身もノギスやペンチなど、ストレートに日常の仕事にお使いだろうという道具をセレクト。鉛筆やカッターなども変に凝ってないところがまた実用一筋な感じでグッと来ます。

器を楽しむ・たっぷりとちょっぴり編

器の外観を愛でる以外にも、器の容積で遊ぶという楽しみ方があります。
たっぷり入る器に文房具をたっぷり挿すとか、一輪挿しに小さくまとめるとか、そういうやつ。
今回届いているペン栽中、最大容積を誇る。
今回届いているペン栽中、最大容積を誇る。
上から見ると、几帳面に文房具の種類ごとでまとめられてます。
上から見ると、几帳面に文房具の種類ごとでまとめられてます。
色鉛筆はほぼ観賞用になってるけど、ペン栽だからいいのか #ペン栽
水岐嶺 @RAYmizuki
とにかくたっぷり入る器に、好きなだけ放り込んでるなー、という印象。のびのびとした自由な作風が魅力です。鑑賞用になっているという白軸の色鉛筆が、育ちすぎた水耕栽培のもやしか何かに見えてきます。
器自体はどう見ても文房具を入れる用のものではないですよね。台所の調味料ストッカーとか、もしかしたらプランターなんでしょうか。

文房具がいくつかのパートに分かれており、このペン栽自体がまるで一幅の風景画のような雄大さを感じさせます。見所がいくつもあって、見飽きない。
大きすぎる器を使うと、対比的に文房具がよりこじんまりと見えてしまい、逆にスケールの小さなペン栽になってしまいがちなんですが、この方は、上段に長尺の定規をいくつも広げて挿すことで大きく見せるように工夫されていますね。
ザ・侘び。なんという渋さ。
ザ・侘び。なんという渋さ。
DPZさんのタグで…。部屋にあるペン立て全てです。フラスコは、 閉鎖する研究所の廃棄品を、実験補助のパートしてる叔母さんからもらいました。一本挿しの赤ペンは勉強用にベッド付近に置いているものです。#ペン栽
甘味うさこ @Amami_Usako
この方は4点もご投稿くださったのですが、なかでも渋さが際立つこのペン栽をプッシュしたい。世界よ、これが渋味だ。
ペン栽においては、埃をかぶってる状態はマイナス要素ではありません。むしろ粉雪の降り積もるが如き風流であり、侘びなのです。

器としては、細口であまり本数が挿せない三角フラスコを小さな一輪挿しのように上手に活かしています。
そして、詫び具合もいいフラスコの器に、鮮やかな赤の油性0.7mmを一本という凛々しさ。背景の無線ルーター(これまたいい感じの埃具合)の赤ラインと合わせて、色彩の薄い世界に緊張感のある存在感を出しています。

個人的には、もうこの写真を掛け軸にして床の間に飾りたいぐらい。
これまた存在感のあるペン栽。配置の妙。
これまた存在感のあるペン栽。配置の妙。
ヒラマサ @tyobi1010103
最後に、一輪挿しつながりでこちらも紹介しておきましょう。
サイズ的にはけっこうたっぷり入る大きめの分け挿し器ですが、中心にツリー型の変形ペンを一本。小高い丘に一本杉が立っているような、広がりのある風景を美しく表現しています。
周囲の文房具あえてスカスカに挿すことで孤独感を強調しています。思わずうなってしまうような巧さ。
構成力のある方が変形の器を使うと、ここまでいいペン栽が作れるということです。

引き続き、皆様の生活感あるペン栽を募集しております。
自分の手元にある普段使いのペン立てを、とくに形を整えたりせずそのまま写真に撮ってご投稿ください。皆様が想像してなかったような意外な方向から、べた褒めいたします。

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