特集 2015年3月14日

丘の傾斜を覆うように建つマンション「ルネ上星川」

!
上星川駅前のマンション「ルネ上星川」がかっこよすぎます。エスカレーターや渡り廊下など、内部がどうなっているか見てみたいです。という投稿が ときさん からはまれぽ.com編集部に届いた。


調べてみると…迷いそうなほど複雑でした!
斜めに上がるのは、エスカレーターではなくエレベーターでした。

はまれぽ.com 吉岡 まちこ

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これがその、すごいオーラの「ルネ上星川」

相鉄線に乗ると、もっともっと目の前に迫って見える
相鉄線に乗ると、もっともっと目の前に迫って見える
今回取材のために横浜駅から相鉄線に乗って上星川駅へ。
すると駅に着く寸前、なんじゃこりゃ~!と思う瞬間が。右手にドーンと白い丘が立ちはだかる。
ほんの一瞬だけど、間近に迫ってくる感じがカッコ良くて鳥肌が立ちそう。

わくわくな気分で上星川駅の改札を出て、国道を渡り近づいてみる――。ところが不思議なことが。
近づけば近づくほど、あの異彩を放っていた巨大なものがどこにあるかわからない…。
近づくと見つけにくいルネ上星川の不思議
近づくと見つけにくいルネ上星川の不思議
マンションの大半は道路に面しておらず、斜面に沿って奥に奥に建っているからだ。
そして下から見ると、あの圧倒的な存在感はなく、親しみやすい感じの3~4階建てに見える。

ウロウロ見回していると、エスカレーターらしきものを発見!
天窓の鮮やかなブルーの縁が、なんともリゾートな雰囲気。
行ったことはないけどスペインのリゾート、コスタ・デル・ソルという感じ
行ったことはないけどスペインのリゾート、コスタ・デル・ソルという感じ
やっぱり違う角度から見るとすごいデザインだ。中が想像できないが、どうなっているのだろう?

エレベーターがとにかく飽きないほど面白い

1~3階の一部が事務所や不動産屋さん、塾などになっているので、入口もちょっとわかりづらい。
中に入り管理事務所にご挨拶。今回マンションの中というプライベート空間を、特別にお願いして撮らせていただくからだ。
事前に特別に許可をもらい入らせていただきました
事前に特別に許可をもらい入らせていただきました
エントランスホールで、珍しいものに目が止まる。マンションの模型。
1~5号棟に分かれて全255戸。なんと19階建だった!
1~5号棟に分かれて全255戸。なんと19階建だった!
斜めに上がって行くさっきの青い天窓は、エスカレーターかと思ったらエレベーター。そして短いのと長いのと2基あるようだ。
短い方は8階止まりで、長い方は9階より上の階に止まるようになっている。

管理の方が図面で解説してくださったが、正直言ってあまりに複雑で構造がつかめない。
わかったのは、エレベーターは各階には止まらず、長いほうなんて17階行きまでの間に3回しか止まらないこと!斜めだから1階の間隔が狭いかららしい。
一番距離が近い階で降り、四方の部屋に向かって分かれて行く感じだ。
それでは、エレベーターに(写真は1階ではありませんが)
それでは、エレベーターに(写真は1階ではありませんが)
あれ!? ケーブルカーみたいに斜めの箱じゃないんだ?
エレベーターの箱の外観を見ることは物理的に不可能だが、斜めのレールの上に車輪で水平を保っているらしい。大きな窓からはエレベーターの内部が見えて、機械好きにはたまらない感じ。
ケーブルカーみたいにレールが! 階数ボタンにも注目
ケーブルカーみたいにレールが! 階数ボタンにも注目
ガシンガシンガシンとゆっくりで、けっこう物々しい動き方
ガシンガシンガシンとゆっくりで、けっこう物々しい動き方
あれは何!? もしや裏側から見るエレベーターのドア
あれは何!? もしや裏側から見るエレベーターのドア
エレベーターのドアを裏から見れるなんて、レアな体験!
相当面白いけれど、3箇所に止まりながらだと17階まで3分近くかかる。逃すとけっこうキツイだろうなと想像。急いでいる朝などは、階段で下りる人が続出だそうだ。

どうやって動いているのだろう?

エレベーターが動くと、壁沿いのワイヤーみたいな物がスルスル伸びるのに目が行く。
エレベーターの動きと一緒に、カーテンのように伸び、降りると縮む
エレベーターの動きと一緒に、カーテンのように伸び、降りると縮む
別の日にエレベーターのメンテナンスの方に聞いたところ、これは最上階の機械室とつながっている電気のケーブルだそうだ。

引っぱり上げるワイヤーじゃないとすると、どうやって動いているの?
「縦に動く普通のエレベーターは箱の裏側に“釣り合いおもり”が上下しているんですが、斜行エレベーターでは、おもりはレールの下を通っているんです」という解説。エレベーターのしくみがなかなか理解できない筆者に、管理室の方も加わりみんなでわぃわぃ説明してくださる。

下の写真に見える青いタイヤで走る木の板がおもりというわけ。箱根のケーブルカーがちょうど真ん中で、上行きと下行きがすれ違うことでバランスをとっているのと同じだと聞いて、納得。
レールの下を通るおもりと、ちょうど真ん中ですれ違う瞬間!
レールの下を通るおもりと、ちょうど真ん中ですれ違う瞬間!

エレベーターを降り、ここからがさらに驚き

最上階に着いた。とりあえず出る方向は一つしかないので、ついて行ってみることに。
するとなんと! ふつうに外に出てしまったでは。
最上階は自然がいっぱい。
最上階は自然がいっぱい。
舗装された小路や桜の並木もあって、まるで町の中
舗装された小路や桜の並木もあって、まるで町の中
下の国道から、エレベーターで直行だと1分45秒。そこは鳥のさえずる別世界だった。
マンションの提供公園がすぐ横に2つもあるが、防犯上の理由で今は行き来できなくなっている。つまりここで行き止まり。
それにしてもこの贅沢な眺め…! ここで見る花火大会は住民だけの特権だ
それにしてもこの贅沢な眺め…! ここで見る花火大会は住民だけの特権だ
最上階から見おろす建物の美しさも、すごい。日本じゃないみたい。
ちょっと視線を上に向けるとエーゲ海が見えそう…
ちょっと視線を上に向けるとエーゲ海が見えそう…
ぁぁ違うやっぱり日本だった。でもすごい眺望だ
ぁぁ違うやっぱり日本だった。でもすごい眺望だ
トルコのカッパドキアにある洞窟ホテルみたいに、横穴のアーチの奥に玄関扉がある。

質問にもあったように、上の写真で階段上を横切っているものが“渡り廊下”みたいに横断して見えるが、実は部屋が飛び出しているデザインだった。
広いベランダを持つ部屋も多そうだが、こんなに広いらしい。
ここに家を建てちゃいけないのかな。もちろんいけません (写真提供/「横浜空間」の過去物件より)
ここに家を建てちゃいけないのかな。もちろんいけません (写真提供/「横浜空間」の過去物件より)
各階でパブリックの部分を歩いてみると、いろんな表情を見せ、同じ光景がない。
素敵な一角がいっぱいあるがプライバシーの問題上、このくらいが限界なのが残念。
まるで迷路。本当にエキゾチックだ。
まるで迷路。本当にエキゾチックだ。
エレベーターの下をくぐるトンネルだ。
エレベーターの下をくぐるトンネルだ。
よく見ると部屋のデザインが何通りもある。設計者には本当に感服してしまう
よく見ると部屋のデザインが何通りもある。設計者には本当に感服してしまう

取材を終えて

ルネ上星川ができたのは約25年前。この凝りに凝ったデザインは、まさにバブルの申し子だ。
完成当時、建築雑誌『新建築』でも採り上げられ、建築学会でも随分評判になったそうだ。

丸24年たってもポピュラーなタイプで2,500万円はなかなか下らず、今でも「ルネ上星川はあいていませんか?」という問い合わせが不動産会社にあるくらい。年に数回、売りが出るようなので興味ある方は不動産会社に聞いてみるといいだろう。

こうした丘の傾斜をそのまま利用した建築物は、今では緑地保全の観点から横浜市は推奨していない。
斜行のエレベーターも今は製造されていないそうだ。
平地にすれば膨大な戸数になる所をあえて斜めにし、しかも入り組んだ複雑なデザインを完成させた。こんな贅沢なマンションはもう建つことはないだろうなと感じた。


― 終わり ―
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