特集 2015年1月24日

ガジュマルに覆われた小さな商店の閉店の集いに行ってきた

3本のガジュマルに覆われた外観が特徴的な、昔ながらの小さな商店。
3本のガジュマルに覆われた外観が特徴的な、昔ながらの小さな商店。
沖縄本島南部の南風原(はえばる)町にある、照喜名(てるきな)商店。創業約50年のお店ですが、道路拡張のため1月をもって閉店となりました。

そして閉店の翌日には「閉店の集い」が催されるらしいのです。閉店の集いとは?気になったので行ってきました。
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沖縄本島南部に位置する南風原(はえばる)町。那覇市に隣接した人口3万6千人の町で、沖縄本島内の市町村で唯一海に面していない町として知られています。その南風原町大名というところに「照喜名(てるきな)商店」という、3本のガジュマルで覆われた外観が特徴的な小さな個人商店があります。

創業約50年の照喜名商店ですが、残念ながら道路拡張のため2015年1月9日に閉店してしまいました。
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お店は県道(左の道路)と町道(右の道路)がぶつかる三差路に建っています。町道は首里方面に抜ける道として交通量が多いのですが、道幅が狭く、歩道もないため拡幅するのだとか。私もよく通りますが、電柱もはみ出てるし、結構な坂道なのでスピードも出やすく歩行者にとっては危険な道だと思っていました。
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仕方ないこととはいえ道路拡張が閉店理由というのは残念ですが、このような小さな商店が閉店するにあたり、閉店の集いという会を催すのはめずらしいことではないでしょうか。気になったので行ってきました。

閉店の集い

実はお店に来るのは初めて。常々いつか来たいとは思っていましたが、まさかこれが最初で最後になるとは...。
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閉店の集いは17時から。

17時を過ぎると、近所の人達が花束などを持って続々とお店に集まってきます。年配の方から親子連れも多く、何世代にも渡って愛されてきたお店なんだなぁという印象。
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入り口で様子をうかがっていると、気さくに招き入れてくれました。開会の挨拶などはなく、20人ほど集まった人達がワイワイと思い出話に花を咲かせているようです。

照喜名さんのご家族の職場の女性が三線で盛り上げたり、ご馳走が振舞われたりしました。
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店主のヨシ子さんは今年で88歳。初めて会う私達にもどんどん食べ物を勧めてくれます。いわゆる沖縄の「カメーカメー攻撃」というやつですね。※「カメー」は方言で「食べなさい」の意。
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お寿司や刺し身などのオードブルの他、豚汁もいただきました。
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1時間ほどすると、店内には入りきれないほどの人が集まってきました。店先にテーブルと椅子を出してゆんたく(おしゃべり)に花を咲かせています。

歴史を感じる店内

冷蔵庫にはビールやジュース。もう売り物ではなく、この日の振る舞い用です。
冷蔵庫にはビールやジュース。もう売り物ではなく、この日の振る舞い用です。
コンクリート造りのお店。

外壁は塗りなおしたりしているので、50年の歴史があるようには見えずまだまだキレイです。
懐かしの駄菓子。くすみ具合からして当時のもの。
懐かしの駄菓子。くすみ具合からして当時のもの。
オキコパンの商品棚は家の棚として利用。
オキコパンの商品棚は家の棚として利用。
比較的新しい平成9年の価格表
比較的新しい平成9年の価格表
お客さんがくると鳴るチャイム
お客さんがくると鳴るチャイム

力石

約50年前の創業当時は、アスファルトもなくのんびりとした場所で、ガジュマルやフクギが生い茂り、店のすぐ近くには公園があり地域の青年にとって憩いの場だったそう。
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公園の鉄棒に並んで人気だったのが「力石」と呼ばれる大きな石。

この力石、大中小と3つあった石の大で、「男2名でも持ち上げられんかったよ~」と。
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やっぱり持ちあげることはできず、転がす感じで店内に運んでいました。

ガジュマルはどうなる?

シンボルであるガジュマルは、3本あるうちの正面向かって右の木。樹齢100年のこの木だけが残るそう。ヨシ子さんが物心つく頃には立っていたそうです。この場所に留まるか、どこか別の場所へ移植されるかは、あとひと月くらいで決まるのではというお話。
あと数十年経てばお店全体がガジュマルに覆われていたかもしれません
あと数十年経てばお店全体がガジュマルに覆われていたかもしれません
掲示板に絡みつくガジュマル。こうなるのに何年かかるのでしょうか
掲示板に絡みつくガジュマル。こうなるのに何年かかるのでしょうか
店の裏側にも大きなガジュマル。これも伐採される予定
店の裏側にも大きなガジュマル。これも伐採される予定
伐採されてしまう方のガジュマルも、太くて立派な枝ぶりを見て名護の森林センター(※おそらく沖縄県の森林資源研究センターのこと)から枝を分けて欲しいとの持ちかけもあるそう。みんなの思い出のガジュマル、なんらかの形で残してほしいものですね。
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「この木に住んでるキジムナー(※精霊のこと)のことも心配だったけど、1本は残るからみんなその木に引っ越ししたはずね」と、ヨシ子さんの息子さん談。来る人みんなが写真を撮っていく姿が何とも印象的でした。

取材の記念にヨシ子さんと記念撮影
取材の記念にヨシ子さんと記念撮影
小さなお店の閉店というと、いつの間にかひっそりと閉店していたり、貼り紙1枚だけでお知らせしたりすることも多いと思いますが、地元のみなさんと笑って思い出話をしながらの閉店の集いはとても温かく、みんなの心に残るいい時間だったのではないでしょうか。

照喜名商店さん、今まで長い間お疲れさまでした。
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